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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B1
管理番号 1278871 
審判番号 不服2012-22830
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-11-19 
確定日 2013-09-03 
意匠に係る物品 使い捨ておむつ 
事件の表示 意願2011- 27007「使い捨ておむつ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成23年(2011年)年11月22日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「使い捨ておむつ」とし,その形態は,願書及び願書に添付された写真に現されたとおりのもので,「写真において,薄赤色に着色された部分を除く部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁が平成23(2011)年11月10日に公開した公開特許公報記載特開2011-224134号の【図1】に示された使い捨ておむつの本願意匠に対応する部分の意匠(以下,本願意匠の本願部分に相当する部分を「引用対応部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「使い捨ておむつ」で,引用意匠は,「吸水性物品」であるが,両意匠は,いずれも吸水体部分を有するパンツ型の「使い捨ておむつ」であり,意匠に係る物品が共通する。
本願部分と引用対応部分(以下,「両部分」という。)は,正面視左右の写真において薄赤色に着色されたサイドシール部分を除いた,使い捨ておむつの殆どに係るものであるから,両部分の意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲は,共通する。
両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。(なお,両部分の意匠を対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。)
(1)共通点
(A)全体をパンツ型の外装体の内側に液透過性のシートと液不透過性のシート及びこれら両シート間に配された吸水性本体を備え,前身頃と後身頃の間に吸水性本体を設けたものとし,ウエスト部及び両側のレッグ部に開口部を設け,前身頃のウエスト部寄りに伸縮部(以下,「伸縮部」という。)を設けた点,(B)ウエスト部の開口部(以下,「ウエスト開口部」という。)周縁に細かいギャザーを設け,左右両側のレッグ部の開口部(以下,「レッグ開口部」という。)の周囲にフリルを配した点,(C)伸縮部は,上方寄りに縦の長さが長い襞を形成している点,において主に共通する。
(2)差異点
(ア)前身頃のウエスト部寄りの伸縮部について,本願部分は,外装体を収縮させる弾性部材を固定していない部分を有し,襞を左右寄りに深く,中央寄りには浅く配しているのに対して,引用対応部分は,全体に弾性部材を固定しており,襞を左右も中央寄りも同じ深さに設けている点,(イ)前身頃のウエスト部寄りの側面部寄りの襞について,本願部分は,側面部全体の略2分の1程の長さに,ウエスト部寄りに縦の長さが長い襞を設け,その下方にレッグ開口部の上まで短い長さの襞を5段設け,その下方にやや長い襞を1段設けているのに対して,引用対応部分は,最上段の縦の長さが長い襞が側面部全体の略5分の1程の長さを有し,次に2番目に長い襞を3段設け,その下方に3番目に長い襞を4段設け,さらに最下段まで短い襞を4段設け,全てが弾性部材を固定し,縦方向にも規則的に襞を数段ずつ下方に向かうに従って徐々に細かく配している点,(ウ)レッグ開口部において,本願部分は,フリル部に外装体を固定する弾性部材が連続している部分があるのに対して,引用対応部分は,フリル部にそのような部分が現れていない点,(エ)正面視した全体における高さとウエスト開口部の高さとの比について,本願部分は,約1:0.07で低めであるのに対して,引用対応部分は,約1:0.12でやや高さがある点,(オ)後身頃の襞の態様について,本願部分は,前身頃と同様に,弾性部材を固定していない部分を有し,襞を左右寄りに深く,中央寄りには浅く配しているのに対して,引用対応部分は,後身頃の襞の態様は不明である点,において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)及び同(B)は,この種の物品の分野においては,他の意匠にも見られる,ありふれた態様であり,これらの点が両部分の意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,また,共通点(C)についても,この種の物品分野においては,両意匠のみに見られる特徴とはいえず,両部分の意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるから,共通点全体としても,両部分の意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,差異点(ア)は,弾性部材を固定していない部分の有無についての差異であるが,固定していない部分があることによって,あまりおむつらしくない点が,需要者の注意を強く惹く点であり,また,中央部と左右の襞に差のある本願部分の態様は,他に見られない特徴的な態様といえるもので,本願部分の印象を他のものとは異ならせるものであるから,その差異は,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)は,伸縮部の配置構成についての差異であるが,この種の物品分野において,伸縮部の具体的態様は,履き心地や着脱のし易さ等に関連して,その態様が注目される部位であり,また,前身頃において広い面積を占めるものでもあり,使用に際して需要者が深く注意を払う点でもあるから,その差異は,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)は,レッグ開口部のフリル部における弾性部材が現れているか否かについての差異であるが,本願部分のフリル部は,左右端部まで弾性部材があり,そのような弾性部材が現れていない引用対応部分とは,需要者に与える印象が異なり,前記差異点(イ)に係る態様と相俟って,その差異は,両部分の意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
そして,差異点(エ)のウエスト部の高さの差異については,両部分の態様は,いずれもありふれた態様といえるものであり,本願部分のみに見られる特徴的な態様とまではいえないが,その差異は,使用時に需要者が目にする部位であって注意を惹く部位であることから,無視することはできず,前記差異点(ア)及び同(イ)に係る態様と相俟って,その差異は,両部分の意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
さらに,差異点(オ)の後身頃の襞の態様についても,前身頃と同様に伸縮部の態様は,需要者が使用に際して注意を払う部位における態様であるから,前記差異点(ア)及び同(イ)に係る態様と相俟って,その差異は,両部分の意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の用途・機能及び位置・大きさ・範囲が共通するものであるが,両部分の形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-08-21 
出願番号 意願2011-27007(D2011-27007) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 市村 節子 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
中田 博康
登録日 2013-09-13 
登録番号 意匠登録第1481923号(D1481923) 
代理人 羽鳥 修 
代理人 岩本 昭久 
代理人 松嶋 善之 
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