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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L4 |
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管理番号 | 1278873 |
審判番号 | 不服2013-7124 |
総通号数 | 166 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-04-18 |
確定日 | 2013-09-12 |
意匠に係る物品 | 建物用戸 |
事件の表示 | 意願2012- 1862「建物用戸」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠(以下,「本願意匠」という。)は,平成24年(2012年)1月31日に出願されたものであって,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「建物用戸」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2008年3月24日に受け入れた,カタログ「2008 NEW STYLE GUIDE BOOK 業務用 第1版」第20頁に所載の「建物用戸」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC20001694号)であって,その形態は,同カタログに掲載された写真により現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の認定 (1)本願意匠 本願意匠の意匠に係る物品は,「建物用戸」であり,その形態については,全体形状を略縦長長方形板状体とし,その正面視中央やや右寄り部分に,概ね上端から下端にわたって縦長長方形状の細幅の開口部(以下,「細幅開口部」という。)を設け,その内部に,略縦長長方形板状の縦すべり出し障子部を開閉可能に取り付けた構成態様としたものであって,正面視において,細幅開口部の左右両脇に,上端から下端にかけて段差を持った細幅長方形板状の部材(以下,「縦板部材」という。)を2本並列に配設し,その縦板部材間の上端及び下端部に,縦長長方形の装飾板を設け,その装飾板の間にも略正方形の装飾板を等間隔に7つ配設して,縦板部材間に略正方形の小さな窓部(以下,「小窓部」という。)を8つ形成したものであり,背面視において,細幅開口部の周囲に細幅長方形板状の枠体部を配設したものである。 (2)引用意匠 引用意匠の意匠に係る物品は,「建物用戸」であり,その形態については,全体形状を略縦長長方形板状体とし,正面視において,中央やや右寄りの部分に,略正方形の小窓部を等間隔に8つ縦一列になるよう設け,その左右両脇に,上端から下端にかけて細幅長方形板状の縦板部材を2本並列に配設したものであって,背面側の形態及び,本願意匠と同様の,縦すべり出し障子部を取り付けているかについては,不明なものである。 2.両意匠の類否判断 (1)共通点及び相違点 両意匠を対比し(以下,対比のため,引用意匠の写真を引用意匠の「正面図」とする。),検討すると,両意匠の意匠に係る物品は,共に「建物用戸」であり,一致し,その形態は,全体を略縦長長方形板状とし,その正面視中央やや右寄り部分に,小窓部を等間隔に8つ縦一列に設け,その両脇に,上端から下端にかけて縦板部材を2本並列に配設した点で共通するものの,具体的な構成態様において,以下のとおりの相違点が認められる。 すなわち,(A)縦板部材の態様について,本願意匠は,縦板部材に段差部を設け,小窓部側を装飾板と同一の高さとなるよう,一段低く形成しているのに対し,引用意匠は,そのような段差部を設けていない点,(B)小窓部の態様について,本願意匠は,小窓部は開口しているため,縦すべり出し障子部の開放により小窓部からの通気が可能であるのに対し,引用意匠は,小窓部の奥に透光性を有する板体が取り付けられているが,開閉可能な機構となっているか不明である点,(C)把手部及び鍵穴部の態様について,本願意匠は,把手部及び鍵穴部を配設していないのに対し,引用意匠は,戸板の正面部左端中央やや下部分に,正面視略縦長長方形状の把手部を設け,その上下に近接して正面視略円形の鍵穴部を1つずつ設けている点,が認められる。 (2)類否判断 両意匠の形態における共通点は,本願意匠の特徴である開閉可能な縦すべり出し障子部の機構を除いて,両意匠の正面視における態様のみを概括的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定することはできないものである。 これに対し,相違点(A)本願意匠の小窓部と縦板部材との間に段差によるスペースを設け,ゆったりとした視覚的印象を与えている点は,小窓部と縦板部材が接することで窮屈な印象を与えている引用意匠とは大きく異なるものであるから,この相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものといえる。 次に、相違点(B)本願意匠の縦すべり出し障子部の開放により通気可能とするために,小窓部を開口としている点は,小窓部奥に透光性を有する板体を取り付けている,同開閉機構を有するか否か不明な引用意匠とは大きく異なるものであるから,この相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものといえる。 また、相違点(C)鍵穴部及び把手部の有無の相違点は,部分的なものであるとともに,本願意匠についても,使用状態参考図に示されるように,鍵穴部及び把手部を設けることを前提にしているものであって,この相違点は,両意匠の類否判断にほとんど影響を与えるものではないといえる。 そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,開閉可能な縦すべり出し障子部の機構の有無を含め,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいといえる。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品については一致するものであるが,形態については,相違点の印象が共通点の印象を凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-09-02 |
出願番号 | 意願2012-1862(D2012-1862) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 恭子 |
特許庁審判長 |
原田 雅美 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 江塚 尚弘 |
登録日 | 2013-09-27 |
登録番号 | 意匠登録第1482679号(D1482679) |
代理人 | 梅澤 修 |
代理人 | 山本 哲也 |