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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H7
管理番号 1280003 
審判番号 不服2013-5708
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-03-28 
確定日 2013-08-29 
意匠に係る物品 ガス検知器用吸引管接続具 
事件の表示 意願2011- 18948「ガス検知器用吸引管接続具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする平成23年(2011年)8月22日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「ガス検知器用吸引管接続具」であり,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりのものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,本願意匠は,当該物品の内側に設けられたオリフィス状部位の周縁部分の形状に関する創作物であり,その基本的構成態様は,該部分を断面視V字形のリング溝状に形成してなるものと認められるが,この基本的構成態様は,技術的効果の差異はともかく引例意匠1に記載されていることから,本願意匠の構成態様は容易に想到し得るというものである。そして,拒絶査定において,オリフィスの流入側に漸次拡開するリング状溝部を形成することも,引例意匠2に見られるように,専ら技術的効果を目的とする一般的な手法である旨の追書きがなされた。

【引例意匠1】
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2009-297432【図1】及び【図4】の吸引ノズルの意匠における本願意匠の実線で表された部分に対応する部分(別紙第2参照)

【引例意匠2】
特許庁発行の公開特許公報記載
特開平3-111052第1図 従来の眼病用薬剤の放出システムを示す断面図中のスポイトチップの意匠(別紙第3参照)

第3 請求人の主張の要点
これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。
本願意匠に係る物品は「ガス検知器用吸引管接続具」であって,対象流体種が気体であり,本願意匠の部分である先端側(流入側)リング状溝部は,先端側(外部側)から流入する気体中に含まれる水滴や埃等を収容するという用途・機能を有するものである。本願意匠は,ガス拡散筒部の外周面の軸方向中間位置でガス流入孔の一方の開口端を形成する環状の縁線から,溝底部を経由して通路外周面側の屈曲線に至る範囲にあり,本願意匠の部分とその他の部分との境界2カ所に形状線が存在する。本願意匠は,ガス検知器に装着した状態で,外部に臨む位置にあり,先端側が開放形状をした特有の位置・形状を有する。
一方,引例意匠1及び引例意匠2に係る物品は,本願意匠に係る物品とは全く異なる物品分野のものであり,本願意匠の部分に対応する部分の用途・機能は,本願意匠の部分のそれとは全く異なり,外部側となる先端側か被装着物への装着部側となる基端側かの位置について,及び,先端側開放形状か基端側開放形状かも本願意匠とは異なる。また,当該溝部分の形状も,本願意匠とは異なる。
本願意匠と引例意匠とは,対象流体種も当該部分の用途・機能も全く異なり,それに伴い,当該部分の位置が先端側(外部側)か基端側(被装着物側)かの位置,先端側開放か基端側開放かの形状,溝そのものの形状も全く異なることから,本願意匠は,いかにこの種物品の通常の知識を有する者であったとしても,容易に創作をすることはできない。
本願意匠は意匠法第3条第2項の規定に該当するとした原査定には理由がなく,他に本願の登録の妨げとなるべき理由はなく,本願は登録されるべきである。

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠に係る物品「ガス検知器用吸引管接続具」は,ガス漏れを検知するガス検知器とガス吸引管との間に介装され,両者を接続するものである。
本願意匠の部分は,略筒状の透明な接続具の,筒体中間でオリフィス状部をなす,内壁面がまずガス検知器装着側に向かって漸次縮径する扁平円錐台形を形成し,その内側がガス吸引管側に反転し小径筒状に突出した,ガス拡散筒部外周に位置する,ガス流入側が開口したリング状溝部であり,この部分は,気体中に含まれる水滴や埃等を収容する用途・機能を持つ。
本願意匠の形態は,第1に述べたように,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりのものであり,
(A)全体は,開口断面を略V字形状とするリング状溝で,透明であり,
(B)このリング状溝の内周壁面は軸芯と平行であり,底部は丸みを帯びており,外周壁面は,底部から開口部に向かって漸次外側に拡開し,本願意匠の部分とそれ以外の部分の境界に,内周壁面,外周壁面とも形状線が表れているが,内周壁面の境界の形状線は,外周壁面の境界の形状線よりも,やや先端(流入側端)に近い位置にある。

2.引例意匠
原審において,本願意匠の態様について,本願出願前に公知・周知であるとした基礎となる引例意匠は,次のとおりである。

(1)基本的構成態様について例示した引例意匠1
引例意匠1に係る物品は「吸引ノズル」で,主として鼻汁等を吸引するものである。
原審が,本願意匠の実線で表された部分に対応するとした引例意匠1の部分は,略筒状をなす吸引ノズルの,吸引ポンプ側への流路である連通路中間のオリフィス状部をなす,上面角を丸面とする略扁平小円筒形状の弾性隔壁の外周に位置する,液体流入側の反対側が開口したリング状溝部であり,オリフィス状弾性隔壁は,隔壁中央部にスリットを形成することによって逆止弁を構成して,一度吸引した鼻汁等の液体が逆流するのを防止するためのものであり,引例意匠1の部分は,鼻汁等液体を一時的に収容する機能を持つ。
引例意匠1の部分の形態は,
(あ)全体は,開口断面を略V字形状とするリング状溝であり,
(い)このリング状溝の内周壁面は軸芯と平行であり,底部はごく細幅の平坦面をなし,外周壁面は,底部から開口部に向かって漸次外側に拡開し,例示意匠1の部分とそれ以外の部分の境界に,内周壁面,外周壁面とも形状線は表れていない。

(2)オリフィスの流入側に漸次拡開する態様として例示した引例意匠2
引例意匠2に係る物品は「スポイトチップ」で,主として眼病用の薬剤を分配するのに使用するものである。
原審が,本願意匠の実線で表された部分に対応するとした引例意匠2の部分は,略筒状をなすスポイトチップの,容器から外部に液体を放出する液体放出流路中間のオリフィス状をなし,略小円錐台形筒部の外周に位置する,液体流入側が開口したリング状溝部であり,オリフィス状部は,均一な所定の大きさの液滴を分配するためのものであり,引例意匠2の部分は,点眼薬等の液体を一時的に収容して,小径放出流路には一定の量のみ流入させる機能を持つ。
引例意匠2の部分の形態は,
(う)全体は,開口断面を略V字形状とするリング状溝であり,
(え)このリング状溝は,内周壁面は底部から開口部に向かって漸次内側に拡開し,底部は丸みを帯びており,外周壁面は,底部から開口部に向かって漸次外側に拡開し,例示意匠2の部分とそれ以外の部分の境界に,内周壁面,外周壁面とも形状線は表れていない。

3.本願意匠の創作容易性について
請求人の主張を踏まえ,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,意匠の創作容易性について,本願意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様について,それらの基礎となる構成,具体的態様などが本願出願前に公知・周知であったか,それらの構成要素を,ほとんどそのままか,あるいは,当該分野においてよく見られるところの多少の改変を加えた程度で,周知の創作手法であるところの単なる組合せ,構成要素の全部又は一部の単なる置換えなどがされたに過ぎないものであるか否かを検討する。

本願意匠に係る物品は,携帯型ガス検知器とガス吸引管に介装されて使用される接続具であり,本物品を使用するのは,主としてガス検知作業に従事する作業者である。本願意匠に係る物品分野は,ガス検知器が含まれる探知,検知,監視等のための各種機器及びその周辺物品分野であり,本願意匠に係る物品分野の通常の知識を有する者とは,これらの機器の使用者及びその製造,販売に携わる者であると認められる。

引例意匠1に係る物品は「吸引ノズル」で,主として鼻汁等を吸引するものであり,引例意匠1のオリフィス状弾性隔壁は,隔壁中央部にスリットを形成することによって逆止弁を構成して,一度吸引した鼻汁等の液体が逆流するのを防止するもので,引例意匠1の部分は,鼻汁等液体を一時的に収容する機能を持つものである。また,引例意匠2に係る物品は,「スポイトチップ」で,主として眼病用の薬剤を分配するのに使用するものであり,引例意匠2のオリフィス状部は,均一な所定の大きさの液滴を分配するためのもので,引例意匠2の部分は,点眼薬等の液体を一時的に収容して,小径放出流路には一定の量のみ流入させる機能を持つものである。
引例意匠1及び引例意匠2は,いずれも,本願意匠に係る物品の属する分野とは異なる物品分野に属する物品に係るものであり,当該部分の用途,機能は本願意匠の用途・機能とは異なっている。また,引例意匠1及び引例意匠2の形態を本願意匠の形態と比較すると,全体が,開口断面を略V字形状とするリング状溝である点では共通するものの,物品全体におけるリング状溝の開口部の向きやリング状溝の具体的態様,透明か不透明か等において相違している。
本願意匠を創作するにあたり,本願意匠に係る物品の属する分野の通常の知識を有する者が,本願意匠に係る物品とは異なる物品分野の,用途・機能が異なる部分の形態を,その創作の基礎とする事が一般的であるとは言い難く,引例意匠1及び引例意匠2の形態を創作の基礎としたとしても,本願意匠の具体的態様は,引例意匠1及び引例意匠2の具体的態様とは,内周壁面と外周壁面の拡開態様や部分とそれ以外の部分との境界における形状線の有無等について相違しているのであり,これらの相違点に係る創作が,この分野におけるごくありふれた手法を用いたにすぎないともいえない。
したがって,本願意匠の態様は,引例意匠1及び引例意匠2の存在を前提として,容易に導き出せるものではないから,本願意匠は当業者であれば容易に創作することができたということはできない。

第5.むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状等に基づいて容易に創作をすることができたものとはいえず、意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-08-06 
出願番号 意願2011-18948(D2011-18948) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 江塚 尚弘 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 原田 雅美
樫本 光司
登録日 2013-10-04 
登録番号 意匠登録第1483319号(D1483319) 
復代理人 太田 隆司 
復代理人 宮地 正浩 
代理人 北村 修一郎 
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