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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 J6 |
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管理番号 | 1280006 |
審判番号 | 不服2013-6951 |
総通号数 | 167 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-04-15 |
確定日 | 2013-09-17 |
意匠に係る物品 | 樹脂製中空ボール投擲型消火器 |
事件の表示 | 意願2011- 25922「樹脂製中空ボール投擲型消火器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本審判請求に係る意匠登録出願は,平成23年(2011年)11月10日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「樹脂製中空ボール投擲型消火器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」ともいう。)を,願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には以下のとおりである。 「この意匠登録出願に係る消火器の分野において,立体容器内に消化剤を充填してその外観形状を球状体に形成することは,本願出願前より極普通に見られるところであり(例えば,資料1,資料2に記載の消火弾),この意匠登録出願の意匠は,本願出願前に公然知られたものと認められる球形状の消火弾の意匠(資料1,資料2)の形状を,本願出願前に公然知られたものと認められる硬式野球のボールに見られる縫い目模様をその全周面に表して,消火器の意匠としたまでに過ぎないので,容易に創作できたものと認められます。 資料1(当審注:別紙第2参照) 特許庁発行の公開実用新案公報記載 昭和63年実用新案出願公開第146662号 考案の名称を「手投げ消火弾」と表記の第1図及び同2図に記載の 球体状の消火弾の意匠 資料2(当審注:別紙第3参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 平成9年特許出願公開第075472号 発明の名称を「消火装置,消防自動車及び消火システム」と表記の 図2及び同図4に記載の消火弾の意匠 」 第3 当審の判断 本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠はこの意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」ともいう。)が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。 1.本願意匠 本願意匠に係る物品は,「樹脂製中空ボール投擲型消火器」である。 その形態については,(A)基本形状が球形であって,(B)その一部を小さく切り欠いた円形の平坦面とし,その中央に消火剤の充填口と推察される円孔を設け,その縁に環状の小凸条部を設け,円孔の栓と推察される有底の円筒体を設け,(C)球形の表面には,硬式野球のボールの皮地の合わせ目の形状に沿った配置で,短く幅がある直線を2列に並べた略ハの字形が連続する縫い目状の模様を表し,(D)円孔とその対極位置を通って球形の表面を一周する一本の線を表したものである。 2.創作非容易性の判断 (A)基本形状について,資料1及び資料2の意匠に基本形状が球形の消火器が表されていることから,表面に溝を設けないことも含めて,消火器の基本形状を球形とすることについては当業者が容易に創作することができたといえる。 (B)消化剤の充填口及びその栓と推察される部分について,同様の形状が公然知られておらず,当業者が容易に創作することができたとはいえない。 (C)縫い目状の模様について,硬式野球のボールの縫い目は,2枚の皮地の合わせ目の線に沿って,その線から両側に縫い糸が左右交互に現れるものであるが,本願意匠の縫い目状の模様は,皮地の合わせ目に当たる線がなく,また,左右交互に表された縫い糸状の模様は,左側の模様列と右側の模様列の間に一定の間隔が空いていて,硬式野球のボールのように,同一線上から両側に縫い糸状の模様の列が表されているのではなく,本願意匠の略ハの字形が連続する縫い目状の模様を当業者が容易に創作することができたとはいえない。 (D)円孔とその対極位置を通って球形の表面を一周する一本の線について,種々の球形の物品において球形の対極位置を通って一周する一本の線は見られる形状であるから,消火器の分野の当業者においても,この線は造形上容易に創作することができたといえる。 そうすると,本願意匠には,当業者が容易に創作することができたものとはいえない要素があり,本願意匠は当業者が容易に創作することができたものとはいえない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-08-30 |
出願番号 | 意願2011-25922(D2011-25922) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(J6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 吉山 保祐 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 中田 博康 |
登録日 | 2013-10-11 |
登録番号 | 意匠登録第1483880号(D1483880) |
代理人 | 牧野 剛博 |
代理人 | 松山 圭佑 |
代理人 | 高矢 諭 |