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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1281371 
審判番号 不服2013-7813
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-26 
確定日 2013-11-11 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2012- 4735「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2011年9月7日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,本意匠を意願2012-4734号とする,平成24年(2012年)3月2日付けの関連意匠の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表されている部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。各図面のタイヤ表面に見られる梨地状の複数の点は,タイヤを立体的に表現するためのものであって,権利を要求する意匠の構成要素ではない。」(以下,本願において,意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁普及支援課が2010年5月27日に受け入れた中華人民共和国意匠公報2010年4月21日10-16号所載の「自動車用タイヤ」(公開番号CN301176149S)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH22003877号)の本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠(以下,本願部分に相当する引用意匠の部分を「引用部分」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれも「自動車用タイヤ」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

2.本願部分と引用部分の対比

(1)本願部分と引用部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分と引用部分(以下,「両意匠の部分」という。)は,いずれも自動車用タイヤのサイドウォール部を除いたトレッド部,ショルダー部の表面の部分であるから,両意匠の部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,一致する。

(2)両意匠の部分の形態
両意匠の部分の形態を対比するにあたり,両意匠のトレッド部及びショルダー部を,周方向に施した4本の縦溝で5つの区画に分割し,これら各部について,中央の区画を「中央区画」,その左右両側の区画を「左右中間区画」,左右両端の区画を「左右ショルダー区画」と分けて表記すると,両意匠の部分の形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。

まず,共通点として,(A)全体は,ショルダー部を丸く形成した環状体とし,そのトレッド部及びショルダー部を,周方向に施した4本の縦溝で,中央区画,左右中間区画,左右ショルダー区画の5区画に分割したものであって,(B)中央区画は,細幅帯状体とし,傾斜した細溝を,左右両辺からこの区画の約1/3の所まで,一定間隔で形成している点,(C)左中間区画は,中央区画よりやや幅広の細幅帯状体とし,内側の辺に向かうに従い漸次細くなる右上がりに傾斜した弓形状の細溝を,左辺から対辺付近まで,中央区画の細溝とほぼ同一間隔で形成している点,(D)右中間区画は,左中間区画と点対称となるよう形成している点,(E)左ショルダー区画は,内側の細幅帯状体と外側の太幅帯状体からなり,細幅帯状体には,サイピングを,左中間区画の細溝とほぼ同一間隔で形成し,太幅帯状体には,右辺から弓形状の横溝とサイピングを,左中間区画の細溝間の約1/2の間隔で交互に形成している点,(F)右ショルダー区画は,左ショルダー区画と点対称となるよう形成している点,が認められる。

他方,相違点として,
(ア)トレッド部及びショルダー部に形成された細溝及びサイピング(以下,「溝部」という。)の配置態様について,本願部分は,中央区画及び左右ショルダー区画の太幅帯状体に形成された溝部を,やや右下がりの傾斜で形成し,左右ショルダー区画の細幅帯状体に形成されたサイピングを急勾配の右下がりの傾斜で形成し,左右ショルダー区画左右中間区画の細溝を,右上がりの傾斜で形成しているのに対して,引用部分は,中央区画,左右中間区画及び左右ショルダー区画の細溝を,全て右上がりの傾斜で形成している点,
(イ)各区画の縁部分の態様について,本願部分は,各区画の縦溝に面した両縁に沿って,周方向にサイピング(以下,「周サイピング」という。)を1条形成しているのに対して,引用部分は,そのようなサイピングを形成していない点,
(ウ)左右中間区画の溝の態様について,本願部分は,左中間区画につき,周サイピング部分に略V字状の切り欠きを形成した弓形状の細溝を,右上がりの傾斜で形成し,この弓形状の溝と溝の中間に,サイピングを,外側の辺から区画の約1/2の所まで,右上がりの傾斜で形成し,小サイピングを,弓形状の溝と溝の間の約1/2の間隔で,内側の辺から区画の約1/6の所まで,右下がりの傾斜で形成し,右中間区画にも同様の弓形状の細溝及びサイピングを点対称に設けているのに対して,引用部分は,左中間区画につき,弓形状の細溝を,外側の辺から区画の約3/4の所まで形成し,この細溝に連なるように,略円弧状の小細溝を,この細溝の上方に2つ形成し,この弓形状の細溝と細溝の中間に,略直線状の小細溝を,外側の辺から区画の約1/5の所まで,右上がりの傾斜で形成し,右中間区画にも同様の弓形状の細溝及び小細溝を点対称に設けている点,
(エ)左右ショルダー区画の溝の態様について,本願部分は,周サイピング部分に略U字状の切り欠きを形成した細幅帯状体のサイピングを,急勾配の右下がりの傾斜で形成し,太幅帯状体の細溝を,やや右下がりの傾斜で形成し,この細溝と細溝の中間に,サイピングを,内側の辺から区画の約4/5の所まで形成し,さらに,このサイピングと細溝との中間に,小サイピングを,内側の辺から区画の約1/10の所まで,サイピング及び細溝と同様にやや右下がりの傾斜で形成しているのに対して,引用部分は,細幅帯状体のサイピングを,右上がりの傾斜で形成し,太幅帯状体の細溝を,右上がりの傾斜で形成し,この細溝と細溝の中間に,サイピングを細溝と同様の右上がりの傾斜で形成し,このサイピングの外側の辺の間に,略三角形状の小片部を形成することで,ショルダー部外周部分に,略鋸歯状の切り欠き部を形成している点,
(オ)中央区画の溝の態様について,本願部分は,周サイピング部分に略U字状の切り欠きを形成したサイピングを,右下がりの傾斜で形成しているのに対して,引用部分は,細溝を,右上がりの傾斜で形成している点,が認められる。

(3)両意匠の部分の類否判断
両意匠の部分の形態における共通点は,両意匠の部分のトレッド部及びショルダー部の態様のみを概括的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の部分の類否判断を決定することはできない。

これに対し,相違点(ア)については,溝部の配置態様が,右下がり,急勾配の右下がり,右上がり,右下がり,右上がり,急勾配の右下がり,右下がりの構成となる本願部分と,全て右上がりのみの構成の引用部分とは,与えられる印象が全く異なるものであるから,この相違点が,両意匠の部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に,相違点(イ)については,部分的な相違ではあるものの,各区画の縁部分における溝部の態様の相違と相まって,この相違点が両意匠の部分の類否判断に一定程度の影響を与えているものといえる。
また,相違点(ウ)については,両意匠の部分の細溝の態様が大きく異なる上に,引用部分には全くサイピングが施されておらず,別異の印象を与えるものであるから,この相違点が,両意匠の部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
そして,相違点(エ)及び相違点(オ)についても,部分的なものではあるものの,相違点(ウ)の溝の相違と相まって,両意匠の部分の類否判断に一定程度の影響を与えているものといえる。
さらに,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,両意匠の部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものであるといえる。

3.両意匠の類否判断

両意匠の意匠に係る物品については,一致し,両意匠の部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても,一致しているが,両意匠の部分の形態については,上記のとおり,相違点が類似判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,全体として別異の印象と与えるものであるから,本願部分と引用部分は類似するものではない。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-10-30 
出願番号 意願2012-4735(D2012-4735) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 原田 雅美
特許庁審判官 橘 崇生
江塚 尚弘
登録日 2013-11-29 
登録番号 意匠登録第1487671号(D1487671) 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 
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