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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服201311693 審決 意匠
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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1282274 
審判番号 不服2013-7592
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-24 
確定日 2013-10-21 
意匠に係る物品 乗用自動車 
事件の表示 意願2012- 4002「乗用自動車」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,2011年(平成23年)9月9日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成24年(2012年)2月27日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「乗用自動車」とし,その形態を願書及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,欧州共同体商標意匠庁が発行した欧州共同体意匠公報(2011年3月15日発行)に記載の登録番号第001833450-0001号(意匠に係る物品,乗用自動車)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH23202376号)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠との対比

(1)意匠に係る物品について
本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれも乗用自動車に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

(2)両意匠の形態について
両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態には,以下に示す主な共通点及び相違点が認められる。
なお,対比にあたっては,両意匠の車体前方をフロント側及び前面側(本願意匠の写真では,「左側面図」として表われる。),車体後方をリア側及び後面側(本願意匠の写真では,「右側面図」として表われる。)とする。

[共通点について]
(A)全体は,3ボックスタイプの乗用自動車であって,
(B)車体側面側について
フロントコンビネーションランプ側面部上辺からリアコンビネーションランプ側面部前方上端部にかけて,ウエストラインを1条形成し,フロントフェンダー及びリアクォータパネルに,アーチ縁部に細幅の垂直面を形成した略円弧状のホイールアーチを設け,このホイールアーチ間に,後方に向かって緩やかに上向くキャラクターラインを1条形成し,フロントドアガラス前方下端部にドアミラーを配設し,フロントドアパネル後部上方部分に楕円状の窪みの上部に渡って略横長隅丸矩形状の把手を配したドアハンドルを配設している点,
(C)車体フロント側について
ボンネットは,Aピラー根元部分からフロントコンビネーションランプ内側上端部までほぼ直線状のプレスラインを施し,左右プレスラインの間をわずかに膨出させた形態とし,この膨出部前端部分をフロントグリル上端部の形状に合わせて略円弧状に切り欠き,フロントグリルは,枠内に4つの円環を部分的に重ね合わせて横一列に配したエンブレム及びライセンスプレートを上下に並設した枠付の前面視略六角形状として,この切り欠きに合わせて下部に配し,フロントコンビネーションランプは,全体を略直角三角形状とし,その下辺の形状を略クランク状として,ボンネット前端部左右部分に配し,フロントバンパーは,その下端部左右部分に,横スリットを2条配した吸気口を形成し,車体前面側下部に配している点,
(D)車体リア側について
トランク上面部と左右リアクォータパネル上部からなる車体リア側上面部は,ウエストライン上部の傾斜面からトランク上面部にかけて後面視略円弧状となるように形成し,トランク上面部後端部から下に向かって垂直に形成したトランク垂直部は,後面視略倒立台形状とし,この上端部に,水平方向に突出部を1条形成し,その下に,4つの円環を部分的に重ね合わせて横一列に配したエンブレム及びライセンスプレートを上下に並設し,リアコンビネーションランプは,後面視略横長倒立台形状とし,後面側上方左右端部からトランク垂直部の一部にかけて配し,リアバンパーは,後方に向かって下に傾斜した上面部及び垂直面部からなり,その中央部分をトランク垂直部下端部分の形状に合わせて切り欠いて形成し,下端部も略横長台形状に切り欠いた形状とし,車体後面側下部に配している点,

[相違点について]
(ア)車体側面側について
(ア-1)フロントフェンダー及びリアクォータパネルの形状について,本願意匠は,フロントフェンダー,リアクォータパネルとも,全体が膨出するブリスターフェンダーとし,該フェンダー上面部に外に向かって傾斜するわずかな段差部を形成しているのに対して,引用意匠は,ホイールアーチ外周部分のみが同心円状になだらかに膨らんで形成している点,
(ア-2)ウエストラインについて,本願意匠は,フロントコンビネーションランプ後端上角部からリアコンビネーションランプ前端上角部にかけて,後方に向かって上向きに施され,ブリスターフェンダー上辺部においては,段差部が形成する水平なラインのやや上方に,ゆるやかな円弧状のラインが表われるのに対して,引用意匠は,フロントコンビネーションランプ後端上角部やや内側寄りの位置からリアコンビネーションランプ前端上角部にかけて,ほぼ水平に施され,明確な浅いV字状溝のラインが表われる点,
(ア-3)ドア及び側面ガラスについて,本願意匠は,ドアパネル後端部が側面視で後方に膨出した形状のフロントドア上部に略台形状のフロントドアガラスを設け,その後方に略三角形状の嵌め殺しガラスを配設しているのに対して,引用意匠は,側面視略矩形状のフロントドア及び側面視倒立台形状のリアドアの上部に,略台形状のフロントドアガラス,略矩形状のリアドアガラス及びその後方に略三角形状の嵌め殺しガラスを配設している点,
(ア-4)Bピラー及びCピラーについて,本願意匠は,嵌め殺しガラス前端内側部分に目立たないようにBピラーを立設し,Cピラーを下方に向け漸次拡がる側面視略三角形状としているのに対して,引用意匠は,フロントドアガラスとリアドアガラスとの間,及び,リアドアガラスとCピラー下部の嵌め殺しガラスとの間に,Bピラーを2本立設し,Cピラーを下方に向け僅かに拡がる略直線状としている点,
(イ)車体フロント側について
(イ-1)フロントグリルについて,本願意匠は,前面視略六角形状のモールで囲まれたグリルの内部を,細かなハニカムメッシュとしているのに対して,引用意匠は,前面視略六角形状のモールで囲まれたグリルに,水平な横長スリットを等間隔に7本配設している点,
(イ-2)フロントバンパーについて,本願意匠は,バンパー左右下端部に,等間隔の横スリット2条と左右端部寄りに形成した縦スリット1条とを交差させた開口部を持つ前面視略五角形状の吸気口を形成し,バンパーの下端部を前面視略ハット状に形成しているのに対して,引用意匠は,バンパー左右下端部に,等間隔の横スリット2条と左右端部寄りに配設したフォグランプ1つからなる前面視略平行四辺形の吸気口を形成し,バンパー下端部を水平な板状に形成している点,
(ウ)車体リア側について
(ウ-1)リアコンビネーションランプについて,本願意匠は,該ランプ内側の斜辺は,下端部がトランクとの分割ラインまで達するほど,大きく傾斜しているのに対し,引用意匠は,該ランプ内側の辺は,わずかに傾斜した程度である点,
(ウ-2)上下に配設したエンブレムとライセンスプレートとの間の形状について,本願意匠は,リアコンビネーションランプ内側の最も突出した部位の間に,水平な段差部を形成しているのに対して,引用意匠は,リアコンビネーションランプ内側の下端角部の間に,水平な浅いV字溝を形成している点,
(ウ-3)リアバンパー下部について,本願意匠は,バンパー下部ほぼ全体にわたり略横長隅丸矩形状の切り欠き部を形成し,その左右端部に後面視略楕円形状のテールエンドパイプを配設し,その下部に隙間を設けて後面視略ハット状の板状体を1つ配設しているのに対して,引用意匠は,バンパー下部ほぼ全体にわたり略横長隅丸矩形状の切り欠き部を形成し,該切り欠き部に,左右端部に後面視略円形状のテールエンドパイプを配設したディフューザーパネルを配設している点,

2.本願意匠と引用意匠の類否判断

以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

まず,両意匠は,いずれも乗用自動車に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

次に,共通点(A)及び(B)の態様については,引用意匠のほかにも多数見受けられ,乗用自動車の構成態様としてありふれたものであって,本願意匠と引用意匠のみがもつ共通点とは言えず,両意匠の類否判断に与える影響は軽微なものにとどまるものである。
また,共通点(C)及び(D)の態様についても,本願出願前より既に見られるものであり,特段の特徴をもつものではないから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
これに対して,相違点(ア-1)及び相違点(ア-2)については,本願意匠は,Bピラーから後方のウエストライン上部の部分が,ブリスターフェンダー上辺部の傾斜した段差部により幅広に,かつ,後方に向けて上向きの傾斜で形成されていることにより,車体がキャビンから後方にかけてテールアップした視覚的印象を与えるものであり,引用意匠は,V字状溝による明確なウエストラインによって,前後にフラットな車体の中央部分からキャビンが突出したような視覚的印象を与えるものであるから,両意匠の形態全体の美感を大きく異ならせるものであって,この相違点(ア-1)及び相違点(ア-2)は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼす。
次に,相違点(ア-3)及び相違点(ア-4)については,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はそれぞれあるという他ない。とりわけ,Bピラーの相違については,本願意匠は,Bピラーがガラスの内側に隠されることで,側面ガラスは1枚で構成されたとの印象を与るものであり,引用意匠は,2つの明確なBピラーにより,側面ガラスが3枚で構成されたとの印象を与えるものであるから,この相違点が,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼす。
また,相違点(イ-1)ないし(ウ-3)の各相違点は,フロントグリル,リアコンビネーションランプ,フロントバンパー及びリアバンパーなど,いわゆるパーツの細部に関する具体的態様に係るものであり,車体全体としてみた場合には,小さな部分における相違ではあるが,それぞれはパーツごとの特徴を表わすものであり,これらの相違点は,両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼす。
そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと言うことができる。

3.小括

したがって,両意匠は,意匠に係る物品については一致するものであるが,形態においては,両意匠の間には,複数の共通点が存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を大きく凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-10-09 
出願番号 意願2012-4002(D2012-4002) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 神谷 由紀 
特許庁審判長 原田 雅美
特許庁審判官 橘 崇生
江塚 尚弘
登録日 2013-12-06 
登録番号 意匠登録第1487736号(D1487736) 
代理人 阿部 正博 
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