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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L4 |
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管理番号 | 1285469 |
審判番号 | 不服2013-16420 |
総通号数 | 172 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-04-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-08-26 |
確定日 | 2014-02-26 |
意匠に係る物品 | 接合金具 |
事件の表示 | 意願2011- 19130「接合金具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成23年(2011年)8月24日付けの出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「接合金具」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表された部分が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の公開特許公報(公開日 平成15年(2003年)5月30日)に掲載された,特開2003-155780号(【発明の名称】ほぞ棒金物を用いた結合構造)における【図4】イに9と番号を付して示された結合用金物セットの意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) なお,拒絶理由通知書において,「本願意匠は接合金具の六角穴付きボルト頭部を除く部分について意匠登録を受けようとする出願ですが,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分と引用意匠の当該部分を意匠全体として観察すると」と追記されており,本願の意匠登録を受けようとする部分(本願部分)に相当する引用意匠の部分(以下,本願部分に相当する引用意匠の部分を「引用部分」という。)が,類否判断において比較対象となる部分である。 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,いずれも木造建築構造において,例えば桁や梁を柱等の構造材に固定する際に使用される接合金具に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 (2)本願部分と引用部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲 本願部分と引用部分(以下,「両部分」という。)は,いずれも接合金具におけるボルト頭部分を除く,座金及び軸部分であるから,両部分に係る用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲は,共通する。 (3)両部分の形態 両部分の形態を対比する(なお,対比の都合上,引用意匠の図面を「前方方向から見た斜視図」とする。)と,両部分の形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 まず,共通点として,全体は,螺子切りした円柱形状の軸部と,その首下部分に円板状の座金部を1つ配した点が認められる。 他方,相違点として,軸部の態様について,本願意匠は,全螺子であって,軸部の頭部側約4/5部分に,螺子山の頂と螺子溝の谷底の形状が円弧状でピッチが粗い,コーススレッドを形成し,螺子先の約1/5部分に,コーススレッドと谷の径が一致する螺子山が小さい,ナットと螺合するボルトを形成しているのに対して,引用意匠は,半螺子であって,軸部の螺子先側約2/3部分に,ナットと螺合するボルトを形成している点が認められる。 2.両部分の類否判断 以上の共通点及び相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して判断すると,上記共通点については,本願出願前に引用意匠のほかにも多数見受けられ,接合金具の構成態様として極普通に見られるものであるから,両部分のみに共通する特徴的な態様とは言えず,この共通点のみをもって両部分の類否判断を決定することはできない。 これに対し,相違点については,本願意匠における柱等の木造構造材に埋設する部位にコーススレッドを配し,その先端部にナット螺合用のボルト部を形成した2段の構成をもつ態様と,引用意匠における先端部にナット螺合用のボルト部を単に設けた態様とは大きく異なるものであって,看者に両意匠が別異であるとの印象を与えるものであるから,この相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。 3.両意匠の類否判断 両意匠の意匠に係る物品については,共通し,両部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲についても,共通しているが,両部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,全体として別異の印象を与えるものであるから,本願部分と引用部分は類似するものではない。 したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-02-13 |
出願番号 | 意願2011-19130(D2011-19130) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡邊 久美 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 中田 博康 |
登録日 | 2014-03-14 |
登録番号 | 意匠登録第1494771号(D1494771) |
代理人 | 柴田 淳一 |