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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1285476 
審判番号 不服2013-17452
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-10 
確定日 2014-03-13 
意匠に係る物品 電気コネクタ用ハウジング 
事件の表示 意願2012- 13190「電気コネクタ用ハウジング」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成24年(2012年)年6月4日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「電気コネクタ用ハウジング」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁が平成15年(2003年)9月29日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第1186130号「電気コネクタ用ハウジング」の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,両意匠は,いずれも自動車の電気配線に用いられる,「電気コネクタ用ハウジング」であり,両意匠の意匠に係る物品は一致する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。

(1)共通点
(A)全体を略横長直方体状とし,平面中央には他のコネクタと係止するためのロック部(以下,「ロック部」という。)を設けたもので,正面及び背面に端子挿入用の小貫通孔を配し,平面の両側面端部,及び平面と底面の背面側端部寄りの上下に垂直壁を突設し(以下,側面側の部分を「側面垂直壁」,背面側の部分を「背面垂直壁」という。),背面垂直壁の平面側中央部に厚みをもたせ,正面側に向かって平面視アーチ状に窪ませ,背面側上方中央部に略横長長方形状の開口部(以下,「開口部」という。)を設けている点,
(B)平面において,ロック部を平面視略縦長帯状とし,ロック部の正面視左右に凹状の溝部を設け,背面垂直壁中央の開口部からロック部の背面側先端部を突出させ,突出した部分をロック部の係止開閉用のつまみとしている点,
(C)底面において,略横長長方形状の係止用スペーサーを設けている点,
において主に共通する。

(2)差異点
(ア)平面の背面垂直壁について,本願意匠は,側面垂直壁より高く形成することで,正面視や側面視した場合に上方に突出して見え,左右端部が正面視隅丸状であるのに対して,引用意匠は,側面垂直壁と略倒コ字状に同じ高さで連続して形成し,本願意匠より高さがやや低い点,
(イ)開口部のある背面垂直壁の中央部分について,本願意匠は,平面視形状が略逆台形状で内側の窪みが略椀状であり,側面視した場合に背面垂直壁の中央部分が視認でき,背面視した場合に,開口部の左右に縦長長方形状の凹部があるのに対して,引用意匠は,平面視形状が略横長長方形状で内側の窪みが略逆台形状であり,側面視した場合に背面垂直壁の中央部分が視認できず,背面視した場合の開口部の左右に凹部がない点,
(ウ)底面の背面垂直壁の態様について,本願意匠は,正面視した左右端部が隅丸状で平面の背面垂直壁より横幅が狭く,正面視左右寄りに側面視逆三角形状のリブを有しているのに対して,引用意匠は,正面視した左右端部が緩やかな面取り状で平面の背面垂直壁と同幅で,リブを有していない点,
(エ)ロック部について,ロック部上面と溝部左右の上面の正面視の高さが,本願意匠は,溝部左右の上面よりロック部上面の方がやや高いのに対して,引用意匠は,ロック部の方がやや低い点,また,ロック部のつまみの手前側の正面寄りの上面左右に,引用意匠は,縦方向に細帯状のリブを有しているのに対して,本願意匠は,リブを有さない点,
(オ)正面及び背面の貫通孔の態様について,本願意匠は,端子挿入用の小型の小貫通孔を中央寄りに横に8個ずつ2段の合計16個,その左右にやや大型の端子挿入用の貫通孔を左右に1個ずつ2段の合計4個設け,溝部の左右に偏平な横長の貫通孔を有しているのに対して,引用意匠は,端子挿入用の小型の小貫通孔を中央寄りに横に5個ずつ2段の合計10個,その左右にやや大型の端子挿入用の貫通孔を左右に2個ずつ2段の合計8個設け,溝部の左右に貫通孔を有していない点,
(カ)底面の係止用スペーサーの態様について,本願意匠は,略横長長方形状でやや背面側寄りにあり,側面部との間に余地部を有しているのに対して,引用意匠は,略倒コ字状で前後中央寄りにあり,側面部との間に余地部を有していない点,
(キ)引用意匠は,背面垂直壁の後側に段差部を有し,背面垂直壁が背面側端部より内側に設けられているのに対して,本願意匠は,段差部を有さず,背面垂直壁が背面側端部に設けられている点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,全体の特徴を概括的に捉えたものに過ぎず,また,両意匠の平面における垂直壁は,需要者の注意を惹く部位ではあるが,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,具体的な各部分の形状も異なることから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)は,帯状のロック部の左右に溝部を配した点が共通しているが,さほど特徴のないもので,両意匠のみに共通する態様とはいえず,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
さらに,共通点(C)についても,この種の物品の分野においては,係止用スペーサーを設けることは,他の意匠にも見られる,ありふれた態様であり,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして、共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,差異点(ア)及び(イ)は,需要者の注意を強く惹く部位である平面の背面垂直壁及び側面垂直壁の態様における平面視及び側面視の外形状に係るもので,背面垂直壁と側面垂直壁の高さの異なる本願意匠の態様は,同じ高さで中央部分の平面視形状も異なる引用意匠とは印象が異なり,平面視形状の差異と相俟って需要者に別異な印象を与えるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
差異点(ウ)は,底面の背面垂直壁の態様についての差異であるが,左右端部が隅丸状で平面の背面垂直壁より狭く,正面視左右寄りに側面視逆三角形状のリブを有している本願意匠の態様は,特徴的なものであって,正面視した左右端部が緩やかな面取り状で平面の背面垂直壁と同幅で,リブのない引用意匠とは,正面視の態様が異なり,その差異は小さな部分ではあっても顕著なものといえ,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
差異点(エ)のロック部の態様における差異は,ロック部上面と溝部左右の上面の正面視の高さや,リブの有無については,細部に係る差異ではあるが,つまみ部を指で操作することを考えると,正面視の高さや,リブの有無についても,需要者が注意を払う部位であることから,この点における差異は無視することができず,両意匠に異なる印象を与えるものであるから,その差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
差異点(オ)の正面及び背面の貫通孔の態様における差異については,大小の貫通孔が形成するパターンが与える印象が異なり,さらに,差異点(カ)の底面の係止用スペーサーの態様における差異や,差異点(キ)の背面側の段差部の有無の差異についても,コードの接続時やコネクタの接続時に触れたりする部位であって,需要者が注意を払い着目する部位における差異であることから,これらの差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-02-27 
出願番号 意願2012-13190(D2012-13190) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 宮田 莊平 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
中田 博康
登録日 2014-03-28 
登録番号 意匠登録第1495970号(D1495970) 
代理人 三好 秀和 
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