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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服201320823 | 審決 | 意匠 |
不服201315398 | 審決 | 意匠 |
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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L2 |
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管理番号 | 1286501 |
審判番号 | 不服2013-19175 |
総通号数 | 173 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-10-03 |
確定日 | 2014-03-17 |
意匠に係る物品 | 防音壁 |
事件の表示 | 意願2012- 26699「防音壁」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠(以下,「本願意匠」という。)は,平成24年(2012年)11月2日に出願されたものであって,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「防音壁」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成14年(2002年)10月15日)に記載された意匠登録第1155438号(意匠に係る物品,道路用防音壁)の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 まず,本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれも道路において使用される防音壁に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 まず,共通点として, (A)全体は,正面視横長長方形状の板状体とし,背面側に設けた正面視横長長方形状の基盤の板部(以下,「基盤部」という。)と,正面側に設けた正面視横長長方形状の化粧板の板部(以下,「化粧板部」という。)との間に,正面視横長長方形状の中間層の板部(以下,「中間板部」という。)を設け,三層構造としたものであって, (B)化粧板部の表面模様の態様を,略正方形,横長長方形及び縦長長方形の大小様々な大きさのブロックを,略凹状の細溝(以下,「細溝部」という。)を挟んで,ランダムに配置し,全体としてモザイク状に模様を構成している点, (C)各ブロックの表面部分の態様を,略岩肌状の凹凸形状としている点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)化粧板部の態様 (ア-1)化粧板部の表面模様の態様について,本願意匠は,縦の長さが短い横長長方形の小ブロックを数多く配し,縦に最大6段のブロックを配置しているのに対して,引用意匠は,小ブロックは1つとし,縦の長さが中程度の横長長方形の中ブロックを数多く配し,縦に最大4段のブロックを配置している点, (ア-2)化粧板部の左右端部の態様について,本願意匠は,基盤部及び中間板部より左右長の短い横長長方形の板状体としているのに対して,引用意匠は,基盤部及び中間板部と左右長が同じ横長長方形の板状体とし,その左右端部を1段切り欠いた形状としている点, (ア-3)化粧板部の上下端部の態様について,本願意匠は,基盤部及び中間板部より縦方向の長さが短い横長長方形の板状体としているのに対して,引用意匠は,基盤部及び中間板部と縦方向の長さが同じ横長長方形の板状体としている点, (ア-4)化粧板部の細溝部の態様について,本願意匠は,細溝の側面が垂直な断面視凹状の細溝部であるのに対して,引用意匠は,細溝の側面がやや斜めの断面視略ラッパ状の細溝部である点, (イ)基盤部の態様について,本願意匠は,背面側の上辺及び下辺部分に面取りを施し,背面側表面部分に断面視V字状の横溝を3条形成しているのに対して,引用意匠は,背面側の上辺及び下辺部分に面取りを施し,背面側表面部分を平面状としている点, (ウ)中間板部の配置態様について,本願意匠は,基盤部と縦横の長さが同じ中間板部を,基盤部と四隅を合わせて配設しているのに対して,引用意匠は,縦横の長さが同じ基盤部,中間板部及び化粧板部を,中間板部のみを僅かに上方にずらして配設している点, が認められる。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 まず,共通点(A)ないし(C)における,全体の態様,及び化粧板表面部の態様については,全体を三層構造の横長長方形板状体とし,表面部を凹凸状としたブロックを,化粧板表面部にモザイク状の模様になるよう配設したものは,引用意匠のほかにも既に見られるものであり(例えば,参考意匠:2008年3月24日発行の大韓民国意匠商標公報に掲載された,登録第30-0484793号の意匠(意匠に係る物品,防音壁用板),別紙第3参照),防音壁の構成態様としてありふれたものであるから,両意匠のみに共通する特徴的な態様とは言えず,両意匠の類否判断に与える影響は軽微なものにとどまるものである。 そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対して,相違点(ア)化粧板部の態様の各相違点については,いずれも目に付き易い板体表面側の化粧板部に係るものであるから,これらの各相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はそれぞれあるという他ない。とりわけ,(ア-1)化粧板部の表面模様の態様についての相違点は,縦の長さが短い横長長方形の小ブロックを数多く配した本願意匠の態様は,縦の長さが中程度のブロックを数多く配した引用意匠のものとは異なる印象を与えるものであるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 次に,相違点(イ)についても,この種物品分野において格別特徴のあるものとはいい難いが,断面視V字状の横溝を3条形成した本願意匠の態様は,フラットな面の引用意匠のものとは需要者に別異の印象を与えるものであるから,この相違点が両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えていると言える。 また,相違点(ウ)についても,本願意匠の中間板部の配置態様は,この種物品分野において格別特徴のあるものとはいい難いが,中間板部より一回り小さい化粧板部をその表面中央部分に配設している態様の相違と相まって,引用意匠のものとは別異の印象を需要者に与えるものであるから,この相違点も両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えていると言える。 そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと言うことができる。 3.小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品については共通するものであるが,形態においては,両意匠の間には,複数の共通点が存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を大きく凌駕しており,意匠全体としては看者に異なる美感を起こさせるものであって,両意匠は類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-03-03 |
出願番号 | 意願2012-26699(D2012-26699) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 住 康平 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 中田 博康 |
登録日 | 2014-04-04 |
登録番号 | 意匠登録第1496647号(D1496647) |
代理人 | 中里 浩一 |
代理人 | 川崎 仁 |
代理人 | 三嶋 景治 |