• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2013880003 審決 意匠

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判    A1
管理番号 1286509 
審判番号 無効2013-880006
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-02-05 
確定日 2014-03-10 
意匠に係る物品 固形カレー 
事件の表示 上記当事者間の登録第1452329号「固形カレー」の意匠登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件登録意匠
本件意匠登録第1452329号の意匠(以下,「本件登録意匠」という。)についての出願は,平成24年(2012年)5月25日に意匠登録出願され,平成24年(2012年)8月31日に設定の登録がなされたものであり,本件登録意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「固形カレー」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2 当事者の主張
1 請求人の主張
請求人は,「意匠登録第1452329号の登録は,これを無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求める。」と申し立て,その理由として,概略以下の主張をし,証拠方法として,甲第1ないし第5号証を提出した。(平成25年2月5日付け審判請求書,平成25年11月7日付け口頭審理陳述要領書,平成25年11月29日付け第1回口頭審理調書)

(1)意匠登録無効の理由の要点
本件登録意匠は,当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であって本件登録意匠の出願後に意匠公報に掲載されたもの(意匠登録第1456305号,(当該登録意匠を以下「先行登録意匠」という。(当審注:別紙第2参照)))の願書の記載及び願書に添付した図面に現された意匠の一部と類似であるので,本件登録意匠は意匠法第3条の2の規定に該当する。
したがって,同法第48条第1項第1号の規定により,本件登録意匠の登録は無効とされるべきである。

(2)証拠方法
甲第1号証:意匠登録第1452329号の意匠公報
甲第2号証:意匠登録第1456305号の意匠公報
甲第3号証:本件登録意匠と先行登録意匠の比較図
甲第4号証:審理事項1への応答書面
甲第5号証:本件登録意匠の早期審査に関する事情説明書

(3)無効理由について
ア 意匠法第3条の2の適用範囲について
意匠法第3条の2の制度趣旨及び意匠審査基準からすれば,先願に係る先行登録意匠が包装用容器に係る意匠であって,後願に係る本件登録意匠が前記包装用容器から出来上がることが明らかである固形カレーに関する意匠の場合も,先行登録意匠及びそこから容易に想到できる固形ルウと本件登録意匠とが意匠(形態面)の類似の要件が満たされれば,先行登録意匠の存在から考えて本件登録意匠は何ら新たな創作を生み出しているものではないから,意匠法第3条の2の適用があることは明白である。

イ 本件登録意匠について
A 本件登録意匠の要旨
本件登録意匠は,固形カレーに係る意匠である。本件登録意匠に係る物品は,固形カレーに限定することなく,固形スープ・シチュー等も含むものである。

B 本件登録意匠の形態
基本的構成態様として,
(a)平面視隅丸正方形状であって,下方板部とその上方における四つのハート形凸部の二段にて構成されている。
(b)平面視において,ハート形凸部は,右上,右下,左下,左上に配置されており,向かい合う各ハート形凸部同士は対称に配置されている。

具体的構成態様として,
(c)下方板部は,側面視において,その下端から縦方向略中央まで設けられており,上方に向けてやや窄む形状である。
(d)下方板部の上端から上方へハート形凸部が設けられている。ハート形凸部の側壁と上面の隅は,側面視において明らかなように,大きなアールを形成している。よって,ハート形凸部は大きなアールに囲まれている。

イ 先行登録意匠について
A 先行登録意匠の要旨

先行登録意匠は,包装容器に係る意匠であって,実線で表した部分に関する部分意匠である。先行登録意匠に係る物品は,特に,シチュー等の固形ルウを収容するために使用される。

B 先行登録意匠の形態
基本的構成態様
(a)平面視正方形状の容器部を有する包装用容器において,容器部の縦方向下半分についての部分意匠である。
(b)容器部内は,上方容器部とその下方における四つのハート形凹みの二段にて構成されている。
(c)平面視において,ハート形凹みは,右上,右下,左下,左上に配置されており,向かい合う各ハート形凹み同士は対称に配置されている。

具体的構成態様
(d)容器部内の上方容器部は,容器上端から縦方向中央下まで設けられており,底面に向けてやや窄む形状である。
(e)上方容器部の下端から下方へ四つのハート形凹みが設けられている。各ハート形凹みの側壁と底面の隅は,側面視において明らかなように,大きなアールを形成している。よって,各ハート形凹みは大きなアールに囲まれている。

ウ 本件登録意匠と先行登録意匠との対比
固形カレーに係る本件登録意匠の形態と,包装用容器の形態に係る先行意匠の形態及びその容器部から容易に導き出される固形ルウの形態を対比する。

A 共通点
本件登録意匠が板部と四つのハート形凸部とからなる点で,先行登録意匠が容器部と四つのハート形凹みとからなる点で共通する。また,先行登録意匠は,固形ルウを充填させる容器であるから,このような先行登録意匠から作られる固形ルウ自体も両意匠の前記共通点に係る形態を有することは明らかである。前記ハート形は,右上,右下,左下,左上に配置されており,向かい合うハート形同士は対称である点で共通する。これら共通点は,本件登録意匠と先行登録意匠の形態の基本的骨格に係る共通点であり,各意匠の物品分野において,両意匠の美的印象を決定づける部分における共通点である。また,各ハート形は底面あるいは上面において大きなアールに囲まれている点においても共通している。

B 相違点
本件登録意匠と先行登録意匠(及び先行登録意匠から作られる固形ルウ)とは,板部(又は容器部)とハート形凸部(又はハート形凹み)の縦方向の深さの割合において異なる。本件登録意匠では,板部とハート形との深さ割合はほぼ等しいのに対して,先行登録意匠では,容器部が深く,ハート形が浅い形状となっている。

C 類否
本件登録意匠と先行登録意匠の容器部の形態においては,板部(又は容器部)とハート形凸部(又はハート形凹み)の深さ割合のみが異なり,その他の形状は酷似又はほぼ同一である。特に,本件登録意匠のハート形凹みの底面側隅の形状線を削除すれば,両意匠において,平面視におけるハート形の配置及び形状はほぼ同一である。
その一方で,板部(又は容器部)とハート形の深さ割合は,需要者が注視する形態とはいえない。先行登録意匠に係る包装用容器は固形ルウを入れる容器であるが,固形ルウを本件包装用容器に収容することにより,固形ルウの底面にハート形の凸部が形成される効果に注目されるデザインである。その一方で,本件登録意匠は先行登録意匠のような容器を使用してできた固形ルウのデザインであって,これもまたハート形凸部が形成されていることに注目されるデザインである。固形ルウにできたハート形の具体的なハートの形や各ハートの配置についても大きな注目があつまり,そこに需要者は美感を感じる。よって,両意匠ではハート形の平面的な形状や配置に需要者は注目する。本件登録意匠と先行登録意匠(及び先行登録意匠から作られる固形ルウ)とは,この点において,ほぼ同一といっていい形状であるので美感は大きく共通する。ハート形の深さの違い自体は,各ハート形の平面的な形状や配置の共通性から生じる美的印象に埋没する程度の些細な相違である。ハート形の深さが多少異なったとしても,各ハート形の平面的形状と配置が大きく共通しているため,先行登録意匠を見た需要者は深さの異なる本件登録意匠を見ても特に新たな美感を感じることなく,美感共通として両意匠を類似のものと認識し,同一の創作に属するものと認識する。

D 意匠法第3条の2の適用
先行登録意匠は,平成24年4月23日に出願,同年10月26日に意匠登録,そして,同年11月26日に意匠公報が発行されている。よって,先行登録意匠は,本件登録意匠の出願前に出願されており,本件登録意匠の出願後に意匠公報に掲載されている。
本件登録意匠は,先行登録意匠を先願意匠として意匠法第3条の2に該当するものである。

(4)むすび
上記の通り,本件登録意匠は,意匠法第3条の2の規定に該当し,同法第48条第1項第1号の規定により,本件登録意匠の登録は無効とされるべきである。

2 被請求人の主張
被請求人は,「本件意匠登録第1452329号の無効審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求める。」と答弁し,その理由として,概略以下の主張をし,証拠方法として,乙第1ないし第12号証を提出した。(平成25年4月8日付け審判事件答弁書,平成25年11月22日付け口頭審理陳述要領書,平成25年11月29日付け第1回口頭審理調書)

(1)証拠方法
乙第 1号証:本件登録意匠に係る参考斜視線図
乙第 2号証:先行登録意匠に係る実施品の底面方向斜視線図及び写真
乙第 3号証:韓国意匠公報(書誌情報付)
乙第 4号証:意匠登録第1420956号意匠公報
乙第 5号証乃至乙第9号証:ウェブページ抜粋
乙第10号証:意匠登録第1456306号意匠公報
乙第11号証:意匠登録第1455001号意匠公報
乙第12号証:意願2012-9371(意匠登録第1456306号)に係る拒絶理由通知書

(2)無効理由について
ア 意匠法第3条の2の適用について
本件登録意匠は,「固形カレー(ルウ)」であり,その用途及び機能は,カレー等の調理に使用されるものであり,「調理を容易にするため」,「保存に適するようにするため」など様々な理由から固形化したものである。
しかしながら,先行登録意匠をみても,この「固形カレー」の用途及び機能と同一又は類似の部分を発見出来ない。よって,審査基準に照らしても,本事案については同条の適用は無い。
さらに,請求人は,先行登録意匠について「包装用容器(先行登録意匠)から出来上がることが明らかである固形カレーに関する意匠の場合にも,先行登録意匠及びそこから容易に想到できる固形ルウと本件登録意匠とが意匠(形態面)の類似の要件が満たされれば,」などとして同条の適用を主張している。
しかしながら,そもそも先行登録意匠に係る意匠公報を確認しても,当該物品が「包装用容器」であることしか明らかになっていない。
このような場合,当該先行登録意匠に触れた需要者は,その被包装物を広く解釈するはずである。少し検討しただけでも,チョコレート等の菓子類,ある種の金属部品,化粧品,せっけん類等など様々な物が,被包装物として想定できる。
「包装用容器」として後に登録を受ければ,後願の被包装物に係る全ての意匠が同条によって拒絶されるという結論は明らかに行き過ぎである。
以上の通り,本事案については,請求人が主張する,意匠法第3条の2の規定の適用は無いものである。

イ 形態について
本件登録意匠と先行登録意匠には,形態においても明確な差異を有する。
ハート形の深さの割合は,先行登録意匠のそれは,上方容器部とハート形凹みの深さの割合は,約6:1であり,圧倒的な差がある。
これに対し,本件登録意匠は,板部とハート凸部はほぼ同程度である。
さらに,もう一つの大きな差異点としては,平面図に表れるように,本件登録意匠が「二重のハート形状」を有する点にある。側面視において直線的な当該「凸部」の側壁がその下部において水平の「板部」の上面と,また,上部において同じく水平の平面に急な角度をもって連結する形状をとるため,このような「大きなハート形状」及び「小さなハート形状」がはっきりと表れる。
これに対し先行登録意匠は,「側壁全体が大きなアールを描きつつ底面に至っている」という形状を有しているため,本件登録意匠のように「二重のハート形状」が表れるものではない。

ウ 類否について
請求人が共通点として主張する「各ハート形の平面視における形状と配置」,具体的には,「4つのハートが,クローバー状に配置された形状」について,ハートを4つクローバー状に配置するデザインは,包装の分野ではありふれたものである。従って,この様なハート形の平面的形状及び配置は,需要者にとっても何ら新規なものではないため,特に注視されるポイントではない。
ハートをクローバー状に4つ並べて配置することは,あまりに一般的なので,この「4つハートがクローバー状に配置された形状」というポイントが意匠の類否判断に与える影響は極めて小さいものである。
また,側面視等において表れる凹凸の形状が,包装用容器等の分野の意匠の類否判断に大きな影響を与えている。

共通点について,請求人の主張する「各ハート形の平面視における形状と配置」をはじめとする共通点は,いずれも先行登録意匠の出願前から一般的に知られており,需要者における類否判断に大きな影響を与えるものではない。

差異点について,本件登録意匠の「板部」と「凸部」との深さの割合はほぼ同等であり,「凸部」は強い存在感を放つ。そして,「凸部」は,側面視において直線として表れる側壁が急な角度をもって連結されるので,平面視において「二重のハート形状」が表れる。
そのため,「大きなハート形状」から「小さなハート形状」へと窄まっていく立体的な形状が極めてクリアに表現されるとともに,全体としてゴツゴツした力強い印象を需要者に与える。
一方で,先行登録意匠のハート形凹みは,上方容器部と比較して約6:1と極めて浅く,かつ,その側壁部が終始弧を描いて底面に連結する形状のため,本件登録意匠のような二重のハート形状は表れず,全体として丸みが際立ち,かつ,極めて控え目な印象を与えるものであり,模様程度に認識されるものである。

以上の通り,需要者が必然的に注視するポイントに広範に亘って両者の形態上の差異点が存在する。
あらゆる事情を考慮し,さらに,物品を超えて,純粋に形態のみを比較したとしても,両形態における差異点が類否判断に与える影響は,共通点のそれを遥かに凌駕しており,両形態が需要者に与える美感は明らかに異なったものである。

以上の通り,本件登録意匠は,請求人が主張する無効理由を一切含まない。本無効審判請求には理由がなく,成り立たないものである。


第3 当審の判断
1 無効理由(本件登録意匠が,先行登録意匠(以下,「甲2意匠」という。)の一部と類似するか否か)について

1-1 意匠法第3条の2の適用について
意匠法第3条の2の規定は,先願の意匠の一部がほとんどそのまま後願の意匠として意匠登録出願されたときのように,後願の意匠が何ら新しい意匠の創作と認められない場合は,意匠登録を受けることができない旨規定したものである。
また,後願に係る意匠は,先願に係る意匠の意匠登録出願後,意匠公報発行前に出願されている必要がある。
上記規定に,本件登録意匠が該当するか否かを以下,検討する。

1-2 本件登録意匠と甲2意匠の期日関係について
本件登録意匠は,平成24年5月25日に,意匠登録出願され,甲2意匠は,平成24年4月23日に出願,同年10月26日に意匠登録,そして,同年11月26日に意匠公報が発行されている。よって,甲2意匠は,本件登録意匠の出願前に出願されており,本件登録意匠の出願後に意匠公報に掲載されている。
よって,本件登録意匠と甲2意匠とは,意匠法3条の2の適用に関して,期日関係については,要件を充足する。

1-3 本件登録意匠が,甲2意匠の一部と類似するか否かについて
意匠法第3条の2の適用にあたっては,意匠審査基準に
「意匠審査基準 24.1.4 意匠の一部について
意匠の一部とは,先願に係る意匠として開示された意匠の外観の中に含まれた一つの閉じられた領域をいい,意匠の構成要素である形状,模様,色彩の一を観念的に分離したものについては,意匠の一部に該当するものとは取り扱わない。
意匠審査基準 24.1.5 先願に係る意匠として開示された意匠の一部と後願の全体意匠との類否判断
意匠法第3条の2の規定の適用にあたっては,先願に係る意匠として開示された意匠の中に,原則的に,意匠法第3条の2の規定の対象となる後願の全体意匠の全体の形態が開示されていることが必要である。
先願に係る意匠として開示された意匠と後願の全体意匠とが,(1)先願に係る意匠として開示された意匠が全体意匠であるか部分意匠であるか,(2)先願に係る意匠として開示された意匠の意匠に係る物品と後願の全体意匠の意匠に係る物品が同一,類似又は非類似のいずれであるかを問わず,先願に係る意匠として開示された意匠の中の後願の全体意匠に相当する一部と,後願の全体意匠の意匠に係る物品との用途及び機能が同一又は類似であって,それぞれの形態が同一又は類似である場合,後願の全体意匠と先願に係る意匠として開示された意匠の中の後願の全体意匠に相当する一部とは類似する。」
と記されている。

請求人は,「先願に係る先行登録意匠が包装用容器に係る意匠であって,後願に係る本件登録意匠が前記包装用容器から出来上がることが明らかである固形カレーに関する意匠の場合も,先行登録意匠及びそこから容易に想到できる固形ルウと本件登録意匠とが意匠(形態面)の類似の要件が満たされれば,先行登録意匠の存在から考えて本件登録意匠は何ら新たな創作を生み出しているものではないから,意匠法第3条の2の適用があることは明白である。」旨,主張する。
しかしながら,本件登録意匠が,先行登録意匠から容易に想到できたか否かは,甲2意匠が公然と知られている場合には意匠法第3条第2項創作容易性の判断の根拠にはなっても,非開示の状態である先願登録意匠の一部と後願の意匠とを対象とする意匠法3条の2の根拠とはならないものである。
また,本件登録意匠に意匠法第3条の2の適用を検討する場合には,本件登録意匠が,甲2意匠の一部と言えるか否かの判断が必要であるが,甲2意匠にはその開示された意匠の中に,本願登録意匠の全体と対応する部分が全て表されておらず,本願登録意匠は,甲2意匠の一部とは言えない。

また,請求人は,『意匠法第3条の2においては,先願における願書の「意匠に係る物品」に記載された物品と,後願における願書の「意匠に係る物品」に記載された物品とが同一又は類似であることは要求されない。』と主張するが,上記,「意匠審査基準 24.1.5(2)」にいう先願に係る意匠として開示された意匠の意匠に係る物品と後願の全体意匠の意匠に係る物品の同一,類似を問わないという記載は,先願に係る意匠として開示された意匠の中に,原則的に,意匠法第3条の2の規定の対象となる後願の全体意匠の全体の形態が開示されていることが必要であることを前提とし,例えば,先願に係る意匠として開示された「自転車」の意匠の中に,後願の「サドル」の意匠の形態が開示されているような場合を想定し,両意匠の意匠に係る物品の同一又は類似を問わないとするものである。
したがって,先行登録意匠である「包装用容器」として開示された形態の中に,本件登録意匠「固形カレー」の形態が含まれていない場合にも,物品の同一又は類似を問わないということは出来ない。

さらに,請求人は,「本件登録意匠の固形カレーの意匠と先行登録意匠の包装用容器の意匠が非類似として,双方の登録が正当に認められることで,両製品が市場に登録意匠として存在することとなり,市場において混乱が生じる。」と主張するが,そもそも,その包装用容器より作成される内容物の固形カレーの形態が必然的に決定されるような場合に,意匠法第3条第2項(創作容易)の判断はあるとしても,固形カレーと包装用容器とは物品が異なることより,相互に類似するものではなく,包装用容器の意匠の類似範囲が,その内包される具体的な物品(例えば固形カレー)の意匠に及ばず,また,同様に固形カレーの意匠の類似範囲がそれを包む包装用容器の意匠には及ばないことから,双方の権利が存在したとしても,一意匠に複数の権利が発生したわけでもなく,市場において混乱が生じるとは言えない。

2 小括
そうすると,本件登録意匠は,甲2意匠を根拠とする意匠法第3条の2に掲げる意匠には該当せず,無効理由には,理由がない。
そして,本件登録意匠に対して意匠法第3条の2の適用がない以上,本件登録意匠と甲2意匠の意匠公報に掲載された願書及び願書に添付した図面,写真,ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるか否かの判断をするまでもない。


第4 むすび
以上のとおりであるから,請求人の主張及び証拠方法によっては,本件登録意匠を無効とすることはできない。
審判に関する費用については,意匠法第52条の規定で準用する特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-01-29 
出願番号 意願2012-12339(D2012-12339) 
審決分類 D 1 113・ 1- Y (A1)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 竹下 寛平田 哲也 
特許庁審判長 原田 雅美
特許庁審判官 橘 崇生
江塚 尚弘
登録日 2012-08-31 
登録番号 意匠登録第1452329号(D1452329) 
代理人 吉澤 大輔 
代理人 立花 顕治 
代理人 秋元 輝雄 
代理人 松井 宏記 
代理人 田中 順也 
代理人 秋元 輝雄 
代理人 吉澤 大輔 
代理人 山田 威一郎 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ