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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1287486 
審判番号 不服2013-15347
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-08 
確定日 2014-04-16 
意匠に係る物品 電気コネクター 
事件の表示 意願2012- 10520「電気コネクター」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成24年(2012年)年5月7日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「電気コネクター」とし,その形態を願書及び願書に添付された写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁普及支援課が平成24年(2010年)5月6日に受け入れた中華人民共和国意匠公報,2010年3月31日10-13号に掲載された「電気コネクタープラグ(公開番号CN301166904)」(特許庁意匠課公知資料番号第HH22003305号)の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「電気コネクター」で,引用意匠は,「電気コネクタープラグ」であるが,両意匠は,いずれも自動車の電気配線に用いられる「電気コネクター」であり,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
なお,両意匠を同じ方向から対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。

(1)共通点
(A)本体部を略横長楕円柱状とし,その周囲を略直方体状のハウジング部(以下,「ハウジング部」という。)で覆い,本体部の両端にはプラグ挿入用の凹部(以下,「挿入部」という。)が設けられ,また本体部の凹部には略円筒状の接続部を2つ並列させている点,
(B)本体部の平面視下方寄りにおいて,略直角三角形を左右対称状に二つ合わせた枠状部を設けている点,
(C)本体部を銀色とし正面視縦方向に細い突条部(以下,「突条部」という。)を設け,本体部の両端の挿入部をオレンジ色とし,ハウジング部を黒色とし外側に細かい凹凸状を配した点,
(D)ハウジング部の正面視右下において,略横長長方形状で下端部が傾斜した小型の押しボタンを設けている点,
において主に共通する。

(2)差異点
(ア)本体部の底面側の2つの挿入部の先端部について,本願意匠は,正背面視では2つの偏平な略ロの字状が突出し,左右側面視では略ハット状であるのに対して,引用意匠は,正背面視では横長の略隅丸台形状で先端部寄りに横長長方形状の孔を2つ並設し,左右側面視では,孔のない略隅丸台形状である点,
(イ)ハウジング部の外形状について,(イ-1)本願意匠は,平面視形状が略トンネル形状であるのに対して,引用意匠は,背面側の平面視形状が略楕円形状で,正面側は,楕円形状に沿って略長方形状の突出部を設け,接合部を円弧状としている点,(イ-2)本願意匠は,正面視した上辺が水平状で,その中央部に略台形状の爪部を設けているのに対して,引用意匠は,正面視した上辺中央部を円弧状の凹状とし,その中央部に略円弧状の爪部を設けている点,(イ-3)本願意匠は,正面視左右部の中央部分にくびれを設け,左右対称状に略逆「く」の字と略「く」の字状に形成し,その表面を凹凸状として配されているのに対して,引用意匠は,正面視左右部を直線状とし,その表面の凹凸部が緩やかなカーブを描いて底面側の凹凸が漸次大きくなるよう配されている点,(イ-4)本願意匠は,背面視した上辺中央部に左右端部を斜めとした僅かな段差を設けて低くしている左右部分に細い切り込み部を設けているのに対して,引用意匠は,背面側に上辺を水平状として左右に縦長帯状の切り込み部を設けている点,(イ-5)右側面視において,本願意匠は,溝を有さず中央寄りの上方に短い切り込み部を設け,下方に縦長長方形状の凸状部を設けているのに対して,引用意匠は,左寄りに深い縦長の溝を設け,中央寄りに細長い切り込み部を設けている点,
(ウ)平面視の態様について,本願意匠は,挿入部が黒色の細い環状の枠の内部にオレンジ色の環状部を設けているのに対して,引用意匠は,挿入部がオレンジ色のやや厚みのある環状のみである点,
(エ)本体部の銀色の部分について,本願意匠は,銀色の部分が長く,長い線状の突条部を広い間隔を置いて配しているのに対して,引用意匠は,銀色の部分が短く,短い線状の突条部を狭い間隔で配している点,
(オ)本体部の挿入部内側の平面視中央部について,本願意匠は略I字状の凹部であるのに対して,引用意匠は,略X字状の枠状部である点,
(カ)押しボタンについて,本願意匠は水色であるのに対して,引用意匠はオレンジ色である点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,全体の特徴を概括的に捉えたものに過ぎず,また,両意匠の平面における略楕円形状の本体部とそれを覆うハウジング部は,需要者の注意を惹く部位ではあるが,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)は,本体部の一部の態様が共通しているが,内側に係る部分的な態様であって,さほど目立つものとはいえないもので,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
また,共通点(C)は,色彩が共通しているが,単色の組み合わせであってさほど特徴のないもので,両意匠のみに共通する態様とまではいえず,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
さらに,共通点(D)についても,この種の物品の分野においては,操作スイッチを配することは,他の意匠にも見られる,ありふれた態様であり,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,差異点(ア)は,使用時に需要者の注意を強く惹く部位である本体部の正背面視及び左右側面視の態様における底面側の外形状に係るもので,突出部が足のように露出した形状の本願意匠と,面状に閉じた引用意匠とでは,全体の印象を異ならせるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)は,大きな面積を占めるハウジング部における外形状に係るもので,いずれの方向から観察してもその具体的な態様に差異が認められるもので,角張った本願意匠と丸みを強調した引用意匠とは印象が異なり,需要者に別異な印象を与えるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
差異点(ウ)は,挿入部の黒色の枠状部の有無についての差異であるが,枠状部を有し複雑な形状である本願意匠の態様は,特徴的なものであって,枠状部のない引用意匠とは,平面視の態様が異なり,その差異は小さな部分ではあっても顕著なものといえ,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
差異点(エ)の本体部の銀色の部分における差異については,銀色の部分の長さの差異は,全体の構成比率にも影響を与えるものといえ,突条部の長さや配置の差異は,細部に係るものではあるが,取付け状態においても,需要者が注意を払う部位であることから,その差異は無視することができず,これらの銀色の部分における差異は両意匠に異なる印象を与えるものであるから,その差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
差異点(オ)の挿入部内側の中央部における差異については,差異点(ウ)の枠状部の有無と相俟って両意匠を観察する者に与える印象が異なり,さらに,差異点(カ)の押しボタンの色彩の差異についても,使用時に需要者が注意を払う部位における差異であることから,これらの差異は,両意匠の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-04-02 
出願番号 意願2012-10520(D2012-10520) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 宮田 莊平 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 中田 博康
江塚 尚弘
登録日 2014-05-09 
登録番号 意匠登録第1499512号(D1499512) 
代理人 志賀 正武 
代理人 渡邊 隆 
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