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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1288631 
審判番号 不服2013-22665
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-20 
確定日 2014-05-23 
意匠に係る物品 電気コネクタ 
事件の表示 意願2012- 23846「電気コネクタ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成24年(2012年)年9月28日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「電気コネクタ」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁意匠課が平成20年(2008年)12月5日に受け入れた,電気通信回線の種類 インターネット,掲載確認日(公知日)2008年12月1日,掲載者 日本航空電子工業株式会社の「jnews-271 次世代高速差動伝送(Display Port1.1a)対応基板対ケーブル接続用コネクタ・DP1シリーズを開発」(掲載ページのアドレス http://www.jae.co.jp/new/jnew/jnews271.htm)に掲載された「基板取付け用電気コネクタ」の写真上で上に位置するプラグ側に該当する電気コネクタの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ20045145号)であって,その形態は,同ページに掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「電気コネクタ」で,引用意匠は,「基板取付け用電気コネクタ」であるが,両意匠は,基板取付け用電気コネクタに接続される「電気コネクタ」であり,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
なお,両意匠を同じ方向から対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。

(1)共通点
(A)本体部を略縦長直方体状とし,その上面に平面視下方寄りに押し下げ部を設け(以下,「押し下げ部」という。),さらに先端部にコネクタ接続部(以下,「コネクタ部」という。)を突出させ,平面視上方寄りにはケーブルの外周を覆う接続用ブッシュ部(以下,「ブッシュ部」という。)と切断面が円形状のケーブル部を設けている点,
(B)本体部のブッシュ部側に厚みを設け,中央付近からコネクタ部に向かって上下に傾斜面を設け,本体部のブッシュ部側の平面視左右の角部を隅丸状としている点,
(C)押し下げ部は,周辺に細幅の切り欠きを設けて溝状とし,ブッシュ部寄りの一辺が本体部と一体となっている点,
(D)ブッシュ部の周囲に交互に横長細帯状の溝が設けられている点,
において主に共通する。

(2)差異点
(ア)押し下げ部について,本願意匠は,本体部上面の横幅のやや中央寄りに押し下げ部が設けられ,押し下げ部は,平面視でコネクタ部寄りである手前側が横長長方形でブッシュ部寄りが台形状の略六角形状で,上面に3条の滑り止め部が設けられているのに対して,引用意匠は,本体部上面の横幅一杯に押し下げ部が設けられ,押し下げ部は,手前側が広くブッシュ部寄りがアーチ状の略かまぼこ形状で,上面に滑り止め部がない点,
(イ)コネクタ部の形状について,本願意匠は,偏平な横長直方体状とし,上面中央に偏平な凸状部を設け,その左右に小さな突起部を配し,偏平な凸状部の上面に小型正方形状の浅い凹部を設け,底面中央には偏平な凹状部を設けているのに対して,引用意匠は,他のコネクタ部に隠れてコネクタ部の形状が視認できない点,
(ウ)ブッシュ部の形状について,本願意匠は,本体部側が太い略円錐台形状であるのに対して,引用意匠は,略円筒状である点,
(エ)本体部のブッシュ部側の上面について,本願意匠は,平坦面であるのに対して,引用意匠は,略D字状の浅い凹状部にP字状の突状部がある点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,このケーブル部とブッシュ部の態様は,この種の物品分野においては良く見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)は,本体部の態様が共通しているが,さほど特徴のないもので,両意匠のみに共通する態様とまではいえず,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
また,共通点(C)は,押し下げ部を設けた点は共通するが,その具体的態様が異なり,さらに,共通点(D)についても,この種の物品の分野においては,ブッシュ部に溝を配することは,他の意匠にも見られる,ありふれた態様であり,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,差異点(ア)については,使用時に需要者の注意を強く惹く部位である押し下げ部の態様における平面視の外形状に係るもので,本体部上面の横幅のやや中央寄りに押し下げ部が設けられ,略六角形状で,上面に3条の滑り止め部が設けられている本願意匠と,本体部の横幅一杯に押し下げ部が設けられ,平坦な略かまぼこ形状である引用意匠とでは,明らかに需要者に与える全体の印象を異ならせるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)についても,コネクタ部の形状は,使用時に需要者が大きな関心を持つ部位に係るもので,引用意匠は,その形状が隠れて不明であり,また,本願意匠のコネクタ部の上面に凸状部のある態様は,他のコネクタ部には見られない特徴的なものであるので,需要者に別異な印象を与えるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
差異点(ウ)については,両意匠のブッシュ部の形状は,いずれもありふれた態様といえるものであるが,形状の差異によって印象が異なり,さらに,差異点(エ)についても,本体部のブッシュ部側の上面における形状の差異は,使用時に需要者が注意を払う部位における差異であることから,これらの差異は,両意匠の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-05-09 
出願番号 意願2012-23846(D2012-23846) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 宮田 莊平 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
中田 博康
登録日 2014-06-20 
登録番号 意匠登録第1502783号(D1502783) 
代理人 海田 浩明 
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