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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D6 |
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管理番号 | 1288632 |
審判番号 | 不服2013-22118 |
総通号数 | 175 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-07-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-11-12 |
確定日 | 2014-06-02 |
意匠に係る物品 | 脇机 |
事件の表示 | 意願2011- 12666「脇机」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成23年(2011年)6月3日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「脇机」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである。(別紙第1参照) 第2 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとするものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,独立行政法人工業所有権総合情報館が2004年4月7日に受け入れた,内国雑誌「ミセス」2004年5月7日592号 第300頁所載 日用品キャビネットの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA16003254号)(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同雑誌に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品について 本願意匠の意匠に係る物品は,「脇机」であり,引用意匠に係る物品は,「日用品キャビネット」の意匠であって,表記は異なるが,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれも引き出し形式で構成された収納部を有するキャビネットであることから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 (2)両意匠の形態について 両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (2-1)両意匠の共通点 両意匠は,正面視縦長矩形状で奥行きの長い略直方体の,正面に上段・中段・下段と三段の引き出しを設けたキャスター付きの収納棚であり,各引き出しには取っ手が設けられ,下段の引き出し底部の略前面中央の位置に,引き出しに直接取り付けられたキャスターを備えたものであるから,基本的構成態様において共通している。 (2-2)両意匠の相違点 それに対して,次の具体的構成態様において,両意匠は相違している。 (a)取っ手の位置について,本願意匠は,正面視において,上段引き出しにおいては,略中央部に,中段引き出し及び下段引き出しにおいては,略上方中央部に取っ手を設けているのに対して,引用意匠は,上・中・下段とも,略上方中央部に取っ手を設けている点。 (b)取っ手の形状について,本願意匠は,略直方体からなる取っ手の手前側の面を,側面視略倒U字状になるように上下辺を上下対称状に形成し,取っ手の引き出し取付け側の略中央部に,横方向の幅が全体の略1/3,奥行き方向の幅が全体の略1/2からなる,平面視略隅丸凹字状の凹状部を有した指掛け部を設けているのに対して,引用意匠は,略細長角状体を,平面視略倒コ字状に指掛け部を形成し,取っ手としている点。 (c)引き出し前面の態様について,本願意匠は,取っ手を取り付けた位置に,取っ手取付け側の略中央部に,正面視略円形の凹みを形成しているのに対して,引用意匠には,このような凹みを設けていない点。 (d)引き出しの大きさについて,本願意匠は,正面視において,上段・中段・下段の引き出しの高さの割合が,およそ1:2:4となっているのに対して,引用意匠のその割合は,およそ1:1:2となっている点。 (e)キャスターの態様について,本願意匠は,下部に設けられた個々のキャスターが,2つの車輪から構成されているのに対して,引用意匠の個々のキャスターは,1つの車輪から構成されている点。 2.類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 まず,共通点については,3段の引き出しを有すること,及びその下段の引き出しには格納物の重さを考慮して,脇机を構成するキャスターとは別に,下段引き出し用のキャスターを前面の略中央の位置に設けることは,この分野においては従来から存在するものであり,両意匠にのみ共通する特徴的な態様とは言えず,両意匠の類否判断に与える影響は軽微なものであるから,両意匠の類否判断を決定づけるまでには至らないものである。 これに対して,相違点(a)の取っ手の位置,相違点(b)の取っ手の形状,及び相違点(c)の引き出し前面の態様については,引き出しの開閉時において,使用者が操作する際に直接触れる部分でもあるため,この種物品において,このような相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 更に,相違点(d)の引き出しの大きさ,及び相違点(e)のキャスターの態様についても,細部とはいえ,異なる印象を与えるものであるから,この相違点についても両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えていると言える。 そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと言える。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-05-21 |
出願番号 | 意願2011-12666(D2011-12666) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前畑 さおり |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 綿貫 浩一 |
登録日 | 2014-06-20 |
登録番号 | 意匠登録第1502986号(D1502986) |
代理人 | 関口 久由 |
代理人 | 柳野 隆生 |
代理人 | 森岡 則夫 |