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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K8 |
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管理番号 | 1288635 |
審判番号 | 不服2013-15296 |
総通号数 | 175 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-07-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-08-07 |
確定日 | 2014-05-27 |
意匠に係る物品 | ポンプ |
事件の表示 | 意願2012- 21221「ポンプ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成24年(2012年)9月3日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ポンプ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前の平成24年(2012年)3月22日に日本国特許庁が公開した特許出願公開番号:特開2012-57583の公開特許公報における図1ないし図3に表されたポンプの意匠であって,その形態は,同公報の図面に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の対比 (1)意匠に係る物品 両意匠に係る物品は,共に「ポンプ」であって,一致する。 (2)意匠の形態 両意匠の形態については,主として以下のとおりの共通点及び相違点がある。 なお,引用意匠を表す図面に関し,本願意匠との対比を容易にするため,引用意匠の向きを本願意匠の向きに合わせることとし,以下,図2を「正面,左側面及び底面を表す斜視図」として扱い,その他の図をこれに合わせた向きの図として扱う。 (i)共通点 (A)全体について,ポンプ部及びモータ部から成り,ポンプ部は,前後二つのケーシングから成り,正面側にあたる前方のケーシングは,正面視において高さ約2/3の位置でくびれた略瓢箪形状であり,モータ部と接する後方のケーシングは,正面視において略縦長長方形の薄い箱体であり,また,モータ部は,後方ケーシングの高さ中央から下方に連結された横向きの短い柱形状である点 (B)ポンプ部の前方ケーシングについて,(B-1)上面に,略円筒形状の吸水口と排出口が一つずつ並設され,底面中央に,略円筒形状のドレイン口が一つ設けられている点,(B-2)側面視で台形状の突出部を持つ側板が設けられている点 (C)モータ部について,周側面のポンプ部寄りに等間隔で,背面視で円弧状に突出し左右が抉れた形状に表れるモータ部の約1/2の長さのねじ止め用の膨出部が四隅に四つ設けられている点 (ii)相違点 (ア)前方ケーシングについて,(ア-1)本願意匠は,最外部の側面及び底面の全体が囲い状に前方に突出しているのに対し,引用意匠は,最外部の側面下方の台形板状部のみが前方に突出している点,(ア-2)本願意匠は,正面左右下隅及び瓢箪形状部のくびれ部分の左右の位置に,中央に小円が表された略円板状部が設けられているのに対し,引用意匠は,正面左右下隅と瓢箪形状部のくびれ部分の左右の位置に,ボルトの頭部が現れている点 (イ)後方ケーシングについて,本願意匠は,上面が水平面でその中央に横向き円柱形状のボルト係止部が設けられているのに対し,引用意匠は,上面の左隅が板状に突出しており,上面のそれ以外の部分は不明である点 (ウ)モータ部について,(ウ-1)本願意匠は,横向きの略円柱形状で,その周側面の上端と下端は水平に切り取られた形の平坦面であって,また,膨出部の後方にモータ部の約1/2の長さで断面が円弧状の溝が四本設けられているのに対し,引用意匠は,横向きの略八角柱形状である点,(ウ-2)本願意匠は,モータ部の右側面に,コネクタを設けた横長長方形の板状突出部が形成されているのに対し,引用意匠は,底面に,固定部をはさんで,底面視において略台形状と推察される板状突出部が形成されている点 (エ)固定部について,本願意匠は,固定部が後方ケーシングの底面に設けられており,その正面側には扁平な略鼓形状が現れているのに対し,引用意匠は,固定部がモータ部の底面中央部に設けられており,その正面側には横長の凹部が四つ,縦2列,横2行の配列で設けられている点 2.両意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価し,意匠全体としての両意匠の類否について検討し,判断する。 両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,形態については,以下のとおりである。 (1)共通点の評価 共通点(A)については,両意匠の骨格を形成しているが,本願出願前から見られるものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度にとどまるといえる。 共通点(B)については,(B-1)は,上部に吸水口と排出口が設けられた態様は本願出願前からこの物品においてよく見られるものであり,下部にドレイン口が設けられた態様も本願出願前から見られるものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいといえる。(B-2)は,他には見られない形状であるが,全体の中では体積的に大きな部分ではないから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度にとどまるといえる。 共通点(C)については,それなりに目を引く形状ではあるが,全体の中では体積的に大きな部分ではないから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度にとどまるといえる。 そして,これらの影響を総合しても,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度にとどまるといえる。 (2)相違点の評価 相違点(ア)については,(ア-1)は,本願意匠が最外部の側面及び底面が全体に正面に突出していることで瓢箪部との間に囲まれた空間を形成しているのに対し,引用意匠は側面の一部及び底面に突出がないことから囲まれた空間が形成されておらず,両者は異なる印象を与えることから,両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼすといえる。(ア-2)は,体積的に小さい部分ではあるが,本願意匠の板状部の態様は他に見られないものであり,さらに,引用意匠の同部がボルトの頭部であることと比較しても相違があるから,両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼすといえる。 相違点(イ)については,上面の形状について比較が行えない点並びに上面の左隅における板状突出部の有無の相違は,全体の中では体積的に小さい部分であるが,見えやすい部分でもあるから,両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼすといえる。 相違点(ウ)については,全体の中では体積的に大きな部分に係る相違であり,その基本形状が略円柱形状と略八角柱形状と異なり,また,全体の中で一定程度の大きさを占める板状突出部の位置及び断面が円弧状の溝の有無も異なることから,相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいといえる。 相違点(エ)については,その固定具の位置に相違はあるが,いずれの位置もポンプ全体からすれば底面の中央付近であって,その相違の程度は小さく,固定具の正面の形状の相違についても,正面が本物品の取り付け時には観察される部分ではあると考えられるものの,固定具が設けられた底面が他の面に比較して注意を引きにくい部分であるから,相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいといえる。 そして,これらの影響を総合すると,相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きいといえる。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品については,一致するが,形態については,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響が共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,両意匠の相違点が与える印象は,共通点が与える印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-05-14 |
出願番号 | 意願2012-21221(D2012-21221) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K8)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 植山 陽子、谿 季江 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 中田 博康 |
登録日 | 2014-06-13 |
登録番号 | 意匠登録第1502230号(D1502230) |