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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1290580 
審判番号 不服2012-22544
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-11-14 
確定日 2014-07-15 
意匠に係る物品 携帯電話機 
事件の表示 意願2011-16265「携帯電話機」拒絶査定不服審判事件についてした平成25年6月13日付けの審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成25年(行ケ)第10287号,平成26年3月27日判決言渡)があったので,改めて審理し,その結果を,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
1.本願は,2011年4月27日の大韓民国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成23年(2011年)7月14日付けの意匠登録出願であって,審査において,平成24年2月3日付けで拒絶の理由が通知され,平成24年8月9日付けで拒絶をすべき旨の査定がされた。

2.本件拒絶査定不服審判請求人(以下,「請求人」という。)は,この査定を不服として,平成24年11月14日に拒絶査定不服審判の請求をしたところ,先の審判においては,これを不服2012-22544号拒絶査定不服審判事件として審理し,平成25年6月13日付けで「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本を,同月25日に請求人に送達した。

3.これに対し,請求人は,平成25年10月23日に,前記審決の取消を求める訴えを,知的財産高等裁判所に提起し,同裁判所は,平成25年(行ケ)第10287号審決取消請求事件としてこれを審理し,平成26年3月27日に,「特許庁が不服2012-22544号事件について平成25年6月13日にした審決を取り消す。」との判決を言い渡し,その後,同判決は確定した。

第2 本願意匠
本願は,前記のとおり,平成23年7月14日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という)は,意匠に係る物品を「携帯電話機」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
審査における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁普及支援課が2011年3月2日に受け入れた,「中華人民共和国意匠公報 2011年3月2日11-09号」に記載された「携帯情報端末機(公開番号CN301476421S)」の意匠(以下,「引用意匠」という。)(特許庁意匠課公知資料番号第HH23002326号)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第4 判決の理由の要旨
1.意匠に係る物品はいずれもタッチパネルや機能キーを操作し,インターネットに接続して情報通信をする携帯端末機(スマートフォン)である。
この種物品分野においては,需要者が観察する際には,全体の形状及び操作の際に最も使用頻度が高いものと考えられるタッチパネル画面や機能キーを含めた正面視の形状,並びにこれらのまとまりが最も注意を惹く部分であるということができ,一方,背面及び周側の形状は,正面と比べると需要者の注意を惹く程度は弱いものということができる。

2.本願意匠は,全体の形状における,ごく僅かに正面が凹面,背面が凸面をなし,側面視でごく緩やかな円弧状を呈する略湾曲板形状であり,筐体正面の四隅を曲率半径のやや大きな隅丸とし,上下辺はともにごく緩やかに円弧状に膨らむ曲線であり,正面周囲枠は,平底面視及び左右側面視すると,正面側にごく僅かに窄まっている形態を有している。そして,これらの形態により,全体として丸みを帯びた柔らかな印象を与えるものであるということができる。
これに対し,引用意匠は,正面が平坦面,背面も周辺部を除く大部分が正面と平行な平坦面をなす,平板形状であり,筐体正面の四隅を曲率半径のやや小さな隅丸とし,上下辺は共に直線であり,正面周囲枠は,この筐体周囲の平坦面外周よりごく僅かに内側に細縁状に設けられた形態を有している。そして,これらの形態により,本願意匠と比べると,全体としてよりシャープかつフラットな印象を与えるものということができる。
そして,タッチパネルが湾曲した形態を有すること自体が全体の形状の美観に与える影響が大きいものであるというべきであり,その程度が僅かであるとしても,やはり,需要者の注意を惹くものでないということはできない。
なおかつ,正面視すると,上下辺はごく緩やかに円弧状に膨らむ曲線で,正面周囲枠は,平底面視及び左右側面視すると,正面側にごく僅かに窄まる形態が本願出願前に公知であるとしても,本願意匠の上記形態が共通点の形態に埋没してしまい,需要者の注意を惹くものではないということはできない。
そうすると,本願意匠と引用意匠とは,意匠に係る物品がいずれもスマートフォンであり,その全体の形状及び正面視の形状に関して共通するものではあるけれども,上記の相違点に係る形態において看者に異なる美感を与えており,全体としてみても上記共通点から生じる印象に埋没するものではないというべきである。したがって,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

3.以上によれば,本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえず,意匠法3条1項3号に該当しないから,審決の判断は誤りであり,原告主張の取消事由は理由がある。

第5 当審の判断
上記判決は,行政事件訴訟法第33条第1項の規定により,当審を拘束するものであることから,同判決の主文及び理由に基づき,本願意匠は,引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとはいえず,同法同条同項の規定により,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

これを受けて,当審において,改めて審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-06-27 
出願番号 意願2011-16265(D2011-16265) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井上 和之 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 橘 崇生
江塚 尚弘
登録日 2014-08-22 
登録番号 意匠登録第1507516号(D1507516) 
代理人 アイ・ピー・ディー国際特許業務法人 

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