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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5 |
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管理番号 | 1291585 |
審判番号 | 不服2013-24298 |
総通号数 | 178 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-12-10 |
確定日 | 2014-09-02 |
意匠に係る物品 | 食品用容器 |
事件の表示 | 意願2012-13951「食品用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成24年(2012年)6月12日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「食品用容器」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2010年6月28日に受け入れた,内国カタログ「食の包装資材 百貨 辞典」の第135ページに所載の「食品用カップ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC22008876号)(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同雑誌に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,「食品用容器」と「食品用カップ」であって,表記は異なるが,共に食品用のカップ状になった容器であるので,共通する。 (2)両意匠の形態について 両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (2-1)両意匠の共通点 基本的構成態様においては,全体形状を,底部を長円形状とし,そこから立ち上がった周側面左右両側には細かく規則的な蛇腹状折りひだを形成し,周側面正面側及び背面側は平面に形成した,という基本的な構成及びその態様が共通している。 (2-2)両意匠の相違点 それに対して,具体的構成態様において,(ア)周側面の形状について,(ア-1)周側面左右両側に設けた蛇腹状折りひだの数につき,本願意匠は,片側で10山・11谷であるのに対して,引用意匠は,19山・18谷である点,(ア-2)蛇腹状折りひだの波形状につき,本願意匠は,波長が約8で,(振幅の2倍の)波高が約7であるのに対して,引用意匠は,波長が約10に対して波高が約5である点,(ア-3)周側面正面側及び背面側の平面とひだ状部の関係につき,本願意匠は,ひだ状山部に平面がくるように形成しているのに対して,引用意匠は,ひだ状谷部に平面がくるように形成している点,(イ)底面形状について,本願意匠は,底面外形線に合わせて,底面に凹状溝を設けたものであるのに対して,引用意匠は,そのような凹状溝を設けていない点,において主な相違点が認められる。 (3)類否判断 両意匠を比較した場合,共通点は,両意匠の形態全体の骨格的な態様をなし,一定程度の共通する印象を与えると言える。 しかし,具体的態様である相違点(ア-1)及び相違点(ア-2)によって,引用意匠は,細かなひだが数多く設けてあるように看取されるのに対して,本願意匠は,鋭利ではっきりとした大きなひだが数少なく設けてあるように看取されるところから,両意匠の類否判断に大きな影響を与えると考えられる。 相違点(ア-3)は,本願意匠に係る物品の主たる使用目的を達成するために工夫した結果の態様であって,食品工場の大量生産ラインにおける食品充てん機への対応を容易にするために,上端の開口部面積を可能な限り大きくするための工夫による態様であって,従来には無い態様で,食品工場の大量生産ラインに従事する需要者にとっては,両意匠の類否判断に大きな影響を与えると考えられる。 相違点(イ)については,本願意匠の態様は,生産ラインにおいて,当該容器における周側面の拡開角度を常時一定に維持するために,紙材料をしつけるよう設けた溝であって,技術的課題を克服するための態様ではあるが,その効果を視覚的に表象する形状であるから,上記需要者にとっては,一定程度であっても,両意匠の類否判断に影響を与えると考えられる。 以上のとおりであって,相違点がもたらす印象は,全てを総合すると,共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-08-20 |
出願番号 | 意願2012-13951(D2012-13951) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 裕和、温品 博康 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 中田 博康 |
登録日 | 2014-09-12 |
登録番号 | 意匠登録第1509018号(D1509018) |
代理人 | 青山 正和 |