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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 H7
管理番号 1296082 
審判番号 不服2014-6401
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-07 
確定日 2014-12-09 
意匠に係る物品 プロジェクター 
事件の表示 意願2013- 3662「プロジェクター」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成25年(2013年)2月22日に出願された,本意匠を意願2013-3661号(意匠登録第1483607号)とする関連意匠の意匠登録出願であって,その意匠(以下,本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「プロジェクター」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするもので,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」としたものである。(以下,本願において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び本意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものであって,本願の願書に記載した本意匠である意願2013-3661号(意匠登録第1483607号)は,物品の部分について意匠登録を受けようとして平成25年(2013年)2月22日に意匠登録出願され,その後平成25年(2013年)10月11日に意匠権の設定登録がされ,同年11月11日に意匠公報が発行されたものであって,その意匠(以下,「本意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「プロジェクター」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたもので,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」としたものである。(以下,本意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本意匠部分」という。)(別紙第2参照)

第3 当審の判断
本願意匠の意匠法第10条第1項適用の可否,とりわけ,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて検討する。

まず,意匠に係る物品については,本願意匠と本意匠(以下,「両意匠」という。)ともに,周側面に形成された開口部から斜め下方向に光を出射し,その先の平面上に映像を写す「プロジェクター」であり,一致する。

次に,両意匠の意匠登録を受けようとする部分(以下,「両意匠部分」という。)の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲については,ともに,光源ユニットから水平方向に出射した光が,凹面鏡によって垂直上方向に反射され,透過型表示デバイスを透過した後に,反射鏡で反射されて外部に射出するために設けた開口部及びプロジェクターの略扁平円柱形状本体の周側面略4分の1部位に形成された開口部周辺の正面視横長長方形の範囲の円弧曲面部分であるから,共通する。

両意匠部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

共通点として,
全体が,正面視横長長方形状の円弧曲面で,その上端寄り横幅一杯を占める大きな開口部の周縁の輪郭形状が,正面視で,上縁は水平な直線状,下縁は横幅中央が最下方に位置する左右対称の円弧曲線状とした構成態様である点。

相違点として,
本願意匠部分は,縦の長さ略一杯に開口部があって,開口部周縁の輪郭形状は,正面視略半月形状であるのに対して,
本意匠部分は,略上半部に開口部があって,開口部周縁の輪郭形状は,両側縁に縦半分弱の垂直線部のある正面視略逆蒲鉾形状である点。

上記共通点は,全体の基本的構成態様に関するものであり,円弧曲面に形成された横に大きく開口した開口部周縁の形状が,上端は円柱面の上端に沿った直線状,下端は横幅中央が最下方に位置する左右対称の円弧曲線状である横長円弧曲面の態様は,この種物品の意匠において従来見られなかった両意匠特有の態様であり,両意匠部分に共通する強い視覚的効果を生み出して,看る者に強い共通の印象を与えており,共通点が類否判断に及ぼす影響は非常に大きく,両意匠部分の類否判断に支配的な影響を及ぼしている。

これに対して,相違点が,類否判断に及ぼす影響は微弱である。
すなわち,本意匠部分の開口部周縁両側には本願意匠部分にない垂直線状部があるものの,その長さは横長の開口部の縦半分弱程度で,本意匠部分の下端縁部を立体として観察する際に,看者は,これを,直線に近い円弧としてではなく,ある程度丸みのある円弧として視認するものであり,また,開口部の下方の円弧曲面の態様における相違があっても,それらは,両意匠部分の円弧曲面の形態の共通した造形に埋没してしまう程度のものでしかないから,この相違点が類否判断に及ぼす影響は,微弱であると言える。

上記のとおり,共通点は,類否判断に及ぼす影響が非常に大きく,両意匠部分の類否判断に支配的な影響を及ぼしているのに対し,相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱であって,共通点が看者に与える強い共通の印象を覆すほどのものではない。

本願意匠は,出願日に関して,意匠法第10条第1項の要件を充足し,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能が一致し,位置,大きさ及び範囲が共通している。そして,形態においても,共通点は両意匠部分の類否判断に及ぼす影響が大きく,類否判断に支配的影響を及ぼしているのに対し,相違点が類否判断に及ぼす影響は軽微であり,共通点の印象は相違点の印象を凌駕しており,両意匠部分は,意匠全体として視覚的印象を同じくするというべきであり,本願意匠は,本意匠である意願2013-3661号(意匠登録第1483607号)意匠に類似する。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するから,原審の拒絶理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,他に本願意匠を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-11-26 
出願番号 意願2013-3662(D2013-3662) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 智加鐸木 芳実 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 江塚 尚弘
綿貫 浩一
登録日 2015-01-09 
登録番号 意匠登録第1517256号(D1517256) 
代理人 西川 孝 
代理人 稲本 義雄 

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