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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3 |
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管理番号 | 1297222 |
審判番号 | 不服2014-16007 |
総通号数 | 183 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-08-12 |
確定日 | 2015-02-17 |
意匠に係る物品 | 天井じか付け灯 |
事件の表示 | 意願2013- 22651「天井じか付け灯」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成25年(2013年)9月27日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を,願書の記載によれば「天井じか付け灯」とし,形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたもので,願書の記載によれば,「カバーには,木目調の装飾リングが取り付けられている。」としたものである(別紙第1参照)。 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,以下の意匠である(別紙第2参照)。 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1468772号 (意匠に係る物品,天井じか付け灯)の意匠 第3 本願意匠と引用意匠の対比 1 意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「天井じか付け灯」であり,引用意匠の意匠に係る物品も「天井じか付け灯」であるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は同一である。 2 両意匠の形態 両意匠の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。なお,引用意匠の図面の向きを本願意匠の図面の向きに合わせて認定する。 (1)共通点 両意匠には,基本的構成態様として,以下の共通点が認められる。 (A)基本的構成態様について 全体が,基台部と透光性を有するグローブ部から成る略円盤形状であって,グローブ部の外形は,正面から見て円形である。 また,具体的態様として,以下の共通点が認められる。 (B)グローブ部の正面の形状について グローブ部の正面が,前方に膨らむ緩やかな凸球面状である。 (C)グローブ部の構成について グローブ部の直径と高さ(厚さ)の比率は,約6対1である。 (D)グローブ部の側面の形状について グローブ部の側面の前端付近は,グローブ部の外側に設けられた装飾リング部により隠れており,グローブ部の装飾リング部よりも後方の側面形状は,僅かに後方にいくにつれて傾斜した部分と,凹弧状に形成された部分から成る。 (E)装飾リング部の構成態様について 装飾リング部は正面視円環状に表されており,グローブ部の高さ全幅と装飾リング部の高さ幅の比率は約5:1である。 (F)基台部の形状について 平面から見て,グローブ部の直径よりも横幅の小さい突出部がグローブ部の上方に表れて,その突出部の上側に,さらに横幅の小さい突出部がある。また,背面から見て,基台部の中央には取り付け部材が略縦長矩形状に形成されている。 (2)差異点 一方,両意匠には,具体的態様として,以下の差異点が認められる。 (ア)装飾リング部について (ア-1)透明及び透光の有無について 本願意匠の装飾リング部は,木目調の不透明体であるが,引用意匠の装飾リング部は前後2つの部材から構成されており,装飾リング部の前方側部材(以下「リング部前部材」という。)は透明であり,装飾リング部の後方側部材(以下「リング部後部材」という。)は透光性を有している。 (ア-2)断面形状について 本願意匠の装飾リング部は,外周縁が前方にやや盛り上がって断面視略L字状に形成されているが,引用意匠の装飾リング部では,リング部前部材が外周にいくにつれて漸次前方へ突出して断面視凸弧状に形成されて,リング部後部材の内周付近が前方に折れ曲がってリング部後部材全体として断面視略鼻形状に形成されている。 (ア-3)正面から見た形状について 正面から見て,本願意匠の装飾リング部は,グローブ部の直径の約1/20の幅を持つ円環状に表され,外周縁の上記盛り上がり部が正面視ごく細い円環状の形状線として表されている。これに対して,引用意匠の装飾リング部では,リング部前部材がグローブ部の直径の約1/24の幅を持つ円環状に表されて,本願意匠に見られるような正面視円環状の形状線はない。 (ア-4)側面から見た形状について 側面から見て,本願意匠の装飾リング部は,細い縦長矩形状であるが,引用意匠の装飾リング部は略扁平台形状であって,リング部前部材がごく細い縦長筋状に表され,リング部後部材がそれよりも太い縦長状であって上下が凹弧状に表されている。 (ア-5)背面から見た形状について 背面から見て,引用意匠の装飾リング部は,外周縁にリング部前部材がごく細い円環状として表されているが,本願意匠の装飾リング部の背面にはそのような円環状は見られない。 (イ)背面から見た基台部中央の形状について 背面から見て,引用意匠の基台部中央やや上方にはコード部が表されているが,本願意匠にはそのようなコード部はない。 第4 類否判断 1 意匠に係る物品 前記認定したとおり,両意匠の意匠に係る物品は同一である。 2 天井じか付け灯の意匠の類否判断 天井じか付け灯を看者が観察するに当たっては,主として正面及び正面斜め方向からその天井じか付け灯を眺めるので,看者は正面と側面の態様を特に観察することになる。また,装飾リング部は,看者が天井じか付け灯を見上げたときに,その周囲の目立つ部位にあることから,看者は装飾リング部の形状に対しても注意を払うことになる。したがって,天井じか付け灯の意匠の類否判断においては,上記の項目を特に評価し,かつそれ以外の項目も併せて,各項目を総合して意匠全体として形態を評価する。 3 形態の共通点の評価 両意匠の共通点(A)ないし(C)で指摘した,基台部とグローブ部が一体となった略円盤形状である基本的構成態様,及び凸球面状で直径と高さの比率が約6対1であるグローブ部の態様については,天井じか付け灯の物品分野において,本願の出願前に既に見受けられることから,看者の注意を惹くものとはいえない。また,共通点(E)及び(F)で指摘した,グローブ部外側の円環状装飾リング部や,背面に段状に表れた2つの突出部も,天井じか付け灯の物品分野においてはありふれているので看者が特に注目するものとはいい難い。したがって,共通点(A)ないし(C)並びに(E)及び(F)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 そして,共通点(D)で指摘した,グローブ部の後方側側面に形成された凹弧状は,引用意匠においては,リング部後部材の上下も側面視凹弧状であって,凹弧状が2つ並んで略波状に見えることから,本願意匠に対する差異(ア-2で指摘したリング部後部材の上下の形状の差異)を助長しているということができるので,共通点(D)については,グローブ部の後方側側面のみに着目した際には共通点として評価できるものの,意匠全体から見ると,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 4 形態の差異点の評価 一方,両意匠の形態の差異点については,以下のとおり評価され,差異点を総合すると,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすといわざるを得ない。 まず,差異点(ア-1)で指摘した,装飾リング部が木目調の不透明体であるか,透明な部材と透光性を有する部材の2つから成るかの差異については,看者はその差異をはっきりと認識できるのであって,装飾リング部が天井じか付け灯の周囲の目立つ部位にあることを考慮すると,差異点(ア-1)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 次に,差異点(ア-2)及び(ア-3)で指摘した,本願意匠の装飾リング部の外周縁が前方に盛り上がって断面視略L字状に形成され,正面から見てその盛り上がり部が円環状の形状線として表されている点は,引用意匠に比べてはっきりと視認される差異であって,天井じか付け灯を正面方向から眺める看者により常に看取される差異であるから,この差異は両意匠の美感に変化を加えているというべきであり,差異点(ア-2)及び(ア-3)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 そして,差異点(ア-4)は,側面方向から看取される装飾リング部の形状に関する差異であって,リング部後部材の上下が凹弧状に表されている引用意匠の装飾リング部の形状と比較して,本願意匠の細い縦長矩形状の装飾リング部は異なる美感を呈しているというべきであるから,差異点(ア-4)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 他方,差異点(ア-5)及び(イ)で指摘した,背面から見た装飾リング部及び基台部中央の形状の差異については,背面側という目立たない部位に関する差異であって,前方に折れ曲がっている引用意匠のリング部後部材の内周付近の意匠全体に占める面積が小さいこと,及び引用意匠に見られるコード部もありふれたものであることを踏まえると,看者が特段注視する差異であるとはいい難いので,差異点(ア-5)及び(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 そうすると,差異点(ア-1)ないし(ア-4)は,いずれも両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものであり,差異点(ア-5)及び(イ)の影響が小さいものであるとしても,両意匠の差異点を総合すると,両意匠を別異のものと印象付けるものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。 5 小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が同一であるが,両意匠の形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さいのに対して,差異点は総じて両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きいので,本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおり,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-02-02 |
出願番号 | 意願2013-22651(D2013-22651) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 佐々木 朝康 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
綿貫 浩一 小林 裕和 |
登録日 | 2015-02-27 |
登録番号 | 意匠登録第1520343号(D1520343) |
代理人 | 鈴木 泰光 |
代理人 | 臼井 尚 |
代理人 | 吉田 稔 |
代理人 | 田中 達也 |