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審決分類 審判 査定不服  意48条1項3号非創作者無承継登録意匠 取り消して登録 D9
管理番号 1298266 
審判番号 不服2014-18967
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-22 
確定日 2015-03-04 
意匠に係る物品 引出用側板 
事件の表示 意願2013- 14057「引出用側板」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2012年(平成24年)12月21日のマレーシアへの出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成25年(2013年)6月21日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,本願の願書の記載によれば,意匠に係る物品を「引出用側板」とし,形態を,願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第2 原査定における拒絶の理由及び引用相当部分
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が本願出願の日前の他の意匠登録出願であって本願出願後に意匠法第20条第3項の規定により意匠公報に掲載された意匠登録出願の願書の記載及び願書に添付した図面に記載された意匠の一部に類似するものと認められるので,意匠法第3条の2の規定により意匠登録を受けることができないとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願の日(本願の優先日は2012年(平成24年)12月21日。)前の2012年(平成24年)5月8日の共同体商標意匠庁への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴って,平成24年(2012年)11月8日に意匠登録出願され,本願出願後の2013年(平成25年)10月28日に日本国特許庁発行の意匠公報に掲載された,意匠登録第1482969号(意匠に係る物品「引き出し用構成部材」)の意匠(以下「引用意匠」という。)であり,引用意匠の形態は,同意匠公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。なお,本願意匠が類似するとした引用意匠の一部は,引用意匠における本願意匠に相当する部分(左側面部下方の部分。以下「引用相当部分」という。)である。

第3 本願意匠と引用相当部分の対比
1 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「引出用側板」である。一方,引用意匠の意匠に係る物品は「引き出し用構成部材」であり,引用相当部分は引出用側板であると認められる。

2 用途及び機能
引用相当部分の用途及び機能は,引き出しの側部に使用されて,上部に透明板を直立させて設置する機能を有するものである。これに対して,本願意匠の用途及び機能は,意匠に係る物品が「引出用側板」であることから引き出しの側部に使用されることが推認されるが,上部に板などを設置する機能を有するものであるかは不明である。

3 形態
本願意匠と引用相当部分の形態は,以下のとおりである。(以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面などの向きを,引用相当部分にも当てはめることとする。)
(1)本願意匠の形態
本願意匠の基本的構成態様は,以下のとおりである。
(A)基本的構成態様について
全体が,横長状の薄板を側面視山状に折り曲げて形成したものであり,正面から見て,横長長方形状に表されたものである。
本願意匠の具体的態様は,以下のとおりである。
(B)正面の態様について
正面の縦横比は約1:5であり,正面の上端寄りには,少しの余地部を残して横筋状線が表されている。また,正面右端には,その横筋状線のやや下方に,横長矩形状の銘板が設けられている。
(C)側面の形状について
(C-1)側面全体の形状について
右側面の左側の板と右側の板の間の距離が下端にいくにつれて広がって,前後の板が全体として略ハ字状に表されている。
(C-2)上端の形状について
側面上端は水平状である。
(C-3)正面側の板の形状について
側面の正面側の板の上端付近が略弧状に形成されており,下端が内側に折り曲げられて,その折り曲がった部分がクランク状に屈曲して表されている。
(C-4)背面側の板の形状について
側面の背面側の板の下端寄りには,足のつま先状に外側に突出した部分が形成されており,その上部がアール状に形成され,下部が垂直状に形成されている。

(2)引用相当部分の形態
引用相当部分の基本的構成態様は,以下のとおりである。
(a)基本的構成態様について
(a-1)斜視方向から見ると,全体が,横長状の薄板を側面視山状に折り曲げて形成したものであると看取される。また,正面から見ると,全体が略横長長方形状に表されている。
(a-2)側面から見た場合,折り曲げられた薄板の内側に機構部が組み込まれているために,薄板の具体的形状(例えば凹凸の有無など)が不明である。
引用相当部分の具体的態様は,以下のとおりである。
(b)正面の態様について
正面の縦横比は約1:6であり,正面の上端寄りには,少しの余地部を残して横筋状線が表されている。また,正面右端には,その横筋状線に接して,横長矩形状の銘板が設けられている。
(c)側面の形状について
(c-1)側面全体の具体的態様は不明である。
(c-2)上端の形状は不明である。
(c-3)正面側の板の具体的形状(特に内側の形状)は不明である。
(c-4)外側に先尖り状に突出した部分は存在するものの,それを含む背面側の板の具体的形状(特に内側の形状)は不明である。

第4 本願意匠と引用相当部分の類否判断
1 意匠に係る物品
本願意匠と引用相当部分は,共に引出用側板であるから,本願意匠と引用相当部分の意匠に係る物品は共通する。

2 用途及び機能
本願意匠と引用相当部分の用途は,共に引き出しの側部に使用されることから共通する。しかし,機能については,引用相当部分が上部に透明板を直立させて設置する機能を有するものであるのに対して,本願意匠にその機能があるかは不明であるから,本願意匠と引用相当部分の機能には差異がある。

3 形態の評価
前記認定した本願意匠の形態と引用相当部分の形態のうち,(A)と(a-1)及び(B)と(b)は,ほぼ共通していると認められるが,これらの共通点は,本願意匠と引用相当部分の形状を概括的に捉えた場合の共通点であり,引出用側板の物品分野においては,他の意匠にも見られる形状でもあるので,この共通点が意匠の類否判断に決定的な影響を及ぼすということはできない。
一方,前記認定した本願意匠の形態のうち,(C)については,それに対応する引用相当部分の形態(a-2)及び(c)が不明であるので,比較を行うことができない。

4 小括
したがって,本願意匠と引用相当部分は,意匠に係る物品と用途が共通するが,機能には差異があり,形態においても,共通点が未だ意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであって,本願意匠の形態(C)について引用相当部分と比較を行うことができない以上,本願意匠が,引用相当部分に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおり,本願意匠は原査定の引用意匠の一部に類似しないから,意匠法第3条の2の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-02-20 
出願番号 意願2013-14057(D2013-14057) 
審決分類 D 1 8・ 16- WY (D9)
最終処分 成立  
前審関与審査官 越河 香苗 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 小林 裕和
綿貫 浩一
登録日 2015-03-20 
登録番号 意匠登録第1522177号(D1522177) 
代理人 志賀 正武 
代理人 渡邊 隆 

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