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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3
管理番号 1298275 
審判番号 不服2014-19154
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-25 
確定日 2015-03-17 
意匠に係る物品 照明器具 
事件の表示 意願2013- 28499「照明器具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)12月5日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を,願書の記載によれば「照明器具」とし,形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたもので,願書の記載によれば,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本願実線部分」という。)である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,以下の意匠である(別紙第2参照)。
特許庁総合情報館が1992年 2月 6日に受け入れた
国際事務局意匠公報 1991年12月31日
第4877頁所載
天井じか付け灯の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH04039968号)

なお,上記公報の第4877頁には2つの意匠(3.1と3.2)が掲載されているところ,3.1の意匠が引用意匠であって,3.2の意匠は3.1の意匠の一部を分離した意匠(3.1の部品)であると認められる。
また,本願実線部分と対比される対象は,引用意匠における本願実線部分に相当する部分(以下「引用相当部分」という。)である。以下,本願実線部分の向きに合わせて引用相当部分の向きを認定する。

第3 本願意匠と引用意匠の対比
1 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「照明器具」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「天井じか付け灯」である。

2 本願実線部分と引用相当部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願実線部分は,本願意匠の端部カバーの外周面の一部である。そして,引用相当部分も,引用意匠の端部カバーの外周面の一部である。したがって,本願実線部分と引用相当部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は共通する。
他方,両部分の位置,大きさ及び範囲は,次のとおり異なっている。本願実線部分は,底面から見て,中央の小矩形状部分とその上下の大矩形状部分(最外縁を除く)から成り,該小矩形状部分には,横幅の約2/3の径の円形破線(部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分)が表されている。これに対して,引用相当部分では,中央の小矩形状部分に横幅の約2/3の径の円形凹部が表されているものの,該小矩形状部分の上下には,大矩形状部分ではなく,横幅がほぼ同じ縦長矩形状部分(最外縁を除く)がある。上述した3.2の意匠からも,引用相当部分の小矩形状部分とその上下の縦長矩形状部分が看取される。

3 両部分の形態
両部分の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。
(1)共通点
両部分には,基本的構成態様として,以下の共通点が認められる。
(A)基本的構成態様について
全体が,上面が水平状に表され,下面が略凸弧状に膨らんで表されており,平面形状及び底面形状が縦長帯面状である。(以下,底面の縦長帯面部を,単に「縦長帯面」という。)
また,具体的態様として,以下の共通点が認められる。
(B)底面の突出について
縦長帯面の中央に下方に突出した部分(以下「突出部」という。)がある。

(2)差異点
一方,両部分には,具体的態様として,以下の差異点が認められる。
(ア)突出部について
(ア-1)突出部と縦長帯面の横幅の関係
底面から見て,本願実線部分の突出部の横幅は,縦長帯面の横幅の約1/2であるが,引用相当部分では,突出部の横幅と縦長帯面の横幅がほぼ同じである。
(ア-2)突出部の底面視形状
本願実線部分の突出部は,底面部の外周形状がやや横長の矩形状であるが,引用相当部分の突出部の底面視形状は,略正方形状である。
(イ)側面形状について
本願実線部分の側面形状は,左右の上端寄りに短く傾斜した部位があり,左右端が略くの字状及び略逆くの字状に表されている。これに対して,引用相当部分には,そのような傾斜した部位はなく,左右端が先尖り状に表されている。

第4 類否判断
1 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「照明器具」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「天井じか付け灯」であるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通する。

2 両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
前記認定したとおり,両部分の用途及び機能は共通する。しかし,両部分の位置,大きさ及び範囲については,小矩形状部分の上下に大矩形状部分があるか縦長矩形状部分があるかという差異があり,この差異によって本願実線部分の範囲を示す底面視縦方向の境界線が略倒凹字状となり,引用相当部分のそれが直線状になっているので,両部分の両意匠に占める位置,大きさ及び範囲が大きく異なっている。したがって,両部分の用途及び機能は共通するが,両部分の位置,大きさ及び範囲には差異があり,この差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼす。

3 形態の共通点の評価
両部分の共通点(A)で指摘した,上面が水平状に表され,下面が略凸弧状に膨らんで表されて,平面形状及び底面形状が縦長帯面状である全体形状を有する基本的構成態様については,照明器具の物品分野において,本願の出願前に既に見受けられることから,看者の注意を惹くものとはいえない。また,縦長帯面の中央に突出部を有する態様も,単に突出部を設けたこと自体が看者の注意を強く惹くとはいい難い。したがって,共通点(A)及び(B)が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。

4 形態の差異点の評価
一方,両部分の形態の差異点については,以下のとおり評価され,差異点を総合すると,両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすといわざるを得ない。
まず,差異点(ア-1)で指摘した,突出部と縦長帯面の横幅の関係の差異については,突出部の横幅が縦長帯面の横幅の約1/2である本願実線部分を看者が観察する際に,両者の横幅がほぼ同じである引用相当部分と比較して,両部分の形態の差異を看者がはっきりと認識できることから,差異点(ア-1)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に,差異点(イ)は,側面方向から看取される,左右の上端寄りの傾斜部位の有無に関する差異であって,この差異は設置時において看者が容易に観察し得ることから,両部分を別異のものと印象付けるものであるというべきであり,差異点(イ)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
他方,差異点(ア-2)で指摘した,突出部の底面部の外周形状がやや横長の矩形状であるか,略正方形状であるかの差異については,前者が正方形に近い形状であることから,看者が特段注視する差異であるとはいい難いので,差異点(ア-2)が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
そうすると,(ア-1)及び(イ)の差異点は,いずれも両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすものであり,差異点(ア-2)の影響が小さいものであるとしても,両部分の差異点を総合して両部分を全体として比較した際には,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。

5 小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の用途及び機能は共通するものの,両部分の位置,大きさ及び範囲は異なっており,この差異が両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすこととなり,また,両部分の形態においても,共通点は,両部分の類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して,差異点は,いずれも両部分の類否判断に及ぼす影響が大きく,両部分を全体として比較した際には両部分を別異のものと印象付けるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおり,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-02-24 
出願番号 意願2013-28499(D2013-28499) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 佐々木 朝康 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 小林 裕和
綿貫 浩一
登録日 2015-03-27 
登録番号 意匠登録第1522739号(D1522739) 
代理人 松井 重明 
代理人 稲葉 忠彦 
代理人 村上 加奈子 
代理人 倉谷 泰孝 
代理人 倉谷 泰孝 
代理人 松井 重明 
代理人 稲葉 忠彦 
代理人 村上 加奈子 
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