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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1299391 
審判番号 不服2014-7707
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-24 
確定日 2014-12-24 
意匠に係る物品 マッサージ器 
事件の表示 意願2013- 7093「マッサージ器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)3月29日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真の内容によれば,意匠に係る物品を「マッサージ器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものであり,「各図にて緑色に着色した部分を除く部分が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。」としたもの(以下,本願意匠において意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(意匠公報発行日:平成24年2月27日)に記載された意匠登録第1426933号(意匠に係る物品,美容用ローラー)の意匠の,本願部分に相当する部分の意匠である,把持部先端部分及びローラー部の部分であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(以下,本願部分に相当する部分の意匠を「引用部分」という。)。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「マッサージ器」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「美容用ローラー」であって,表記は異なるが,本願意匠の願書及び願書に添付した図面代用写真並びに引用意匠に係る文献の書誌的事項の記載及び図面の記載等を総合すれば,ともに美容等の目的でマッサージ効果を発揮するためのローラー部とそれを支持する把持部から成る,手に持って使用する小型の器具であって,両意匠の意匠に係る物品は,実質的に一致する。
(2)本願部分と引用部分(以下,「両部分」という。)の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
両部分は,ローラー部と把持部によって構成されるマッサージ器(美容用ローラー)に係り,いずれも1本の太い棒状の把持部(ハンドル部)の,先端寄りの部分から2つのローラー部(マッサージ部)から成る部分に関するものであるから,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,一致する。
(3)両部分の形態
両部分の形態について比較すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。
(i)共通点
両部分の全体の基本的構成態様として,
(A)概略太い棒状の把持部に対して左右両側方斜め前方かつ下方に曲がりながら二つに分岐して延びる把持部先端部分と,その両先端に設けられた略球体状のローラー部とから成る点,
具体的な態様として,
(B)ローラー部の表面に,多数の略円形のディンプル様の小面が規則的に配列されている点,
において共通している。
(ii)相違点
両部分の各部の具体的態様として,
把持部の先端の分岐部分の態様において,
(ア)本願部分は,把持部本体に対して左右両側方斜め前方,把持部本体の伸長方向に対して側面視略「へ」の字状に屈曲しつつ分岐しているのに対して,引用部分は,把持部本体に対して両側方斜め前方,かつ把持部本体の伸長方向に沿って下方に緩やかな円弧状に湾曲しながら分岐している点,
ローラー部の態様において,
(イ)その構成を,本願部分は,付け根側の僅かに膨出した丸みのある略円錐台状部と,ローラー部の最大径位置に帯状円環部と,ローラー先端の略半球状冠部の3つの部分から構成され,ローラー全体を雫形状に形成しているのに対して,引用部分は,一体の略真球状に形成している点,
(ウ)細部の態様を,本願部分は,略円錐台状部と略半球状冠部にのみ,表面に多数の同径の小球面状の窪み(ディンプル)を縦横に形成するとともに,中間の帯状円環部には円周方向にわたって5つの小球突起を埋め込んだ様に突出形成しているのに対して,引用部分は,先端を除くローラー表面全体に,赤道位置が最大径になり極位置に近づくほど小さくなるように大きさを変化させた円形の平面状のカット面を縦横に整列させて形成している点,
において相違がある。

2.両意匠の類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価,総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
両意匠は,意匠に係る物品,部分意匠としての用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲が一致するが,形態については,以下のとおりである。
(1)共通点の評価
共通点(A)は,両意匠の基本的構成態様であって,その骨格を成すものではあるが,それのみで両意匠の類否判断を決定づけるまでのものではなく,あくまで具体的態様とともに判断されるべきものであり,具体的態様の共通点(B)についても,この種物品の先行意匠に照らすと,既に見られる態様であって,(A)と(B)とを総合してみても,やはりそれらが部分意匠としての両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものといわざるを得ない。
(2)相違点の評価
これに対して,具体的構成態様における相違点(ア)については,引用部分の緩やかな円弧状の態様によって把持部からの一体感が強調されるのに比べて,本願部分の屈曲の態様は,把持部との一体感とともに,分岐部分の存在をもより強調するように表れるものとなっているが,最も注目される部位であるローラー部に比べれば,その手前の相対的には目立ちにくい部分の僅かな相違ともいえることから,類否判断に与える影響はさほど大きいとはいえない。
しかし,相違点(イ)及び(ウ)については,この種物品の用途,期待される効果や効能に関わる主要な部位であり,最も関心を惹く部位であるローラー部の構成及び態様に係る相違点であって,その構成そのものが大きく異なること,そして上下のディンプルを施した部分の中間に,多数のディンプルではなく小球突起を僅かに数個埋め込んだ帯状円環部を設けた態様は,従来にない態様を呈していることから,それらが相まったところは,この種物品の先行意匠に照らして,本願意匠のみの特徴といえ,これらの相違が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいというべきである。
(3)小括
両意匠の意匠に係る物品については一致し,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても一致しているが,両部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,全体として別異の印象を与えるものであるから,本願部分と引用部分とは類似するものではない。
したがって,本願意匠は引用意匠に類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものということはできないから,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-12-02 
出願番号 意願2013-7093(D2013-7093) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 植山 陽子 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 中田 博康
橘 崇生
登録日 2015-04-03 
登録番号 意匠登録第1522932号(D1522932) 
代理人 森田 拓生 

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