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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F3 |
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管理番号 | 1299394 |
審判番号 | 不服2014-15714 |
総通号数 | 185 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-08-08 |
確定日 | 2015-03-12 |
意匠に係る物品 | 伝票 |
事件の表示 | 意願2013-23341「伝票」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成25年(2013年)10月4日付けの意匠登録出願で,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「伝票」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁から発行された意匠公報に記載の,意匠登録第999175号(意匠に係る物品,伝票)の意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と引用意匠を併せて「両意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 (1)両意匠の意匠に係る物品について 両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,共に「伝票」であって,一致する。 (2)両意匠の形態について 両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (2-A)両意匠の共通点 (a)縦長長方形からなる紙面全面にわたって記入欄を設けた点, (b)等幅の上中下3段の横長長方形状の枠取りを設けて成り,それらの上下幅が,上段から下段に向かって,狭,広,中としている点, (c)各枠取りには,縦横のけい線を引いて記入欄を形成している点, (d)上段の枠取りについては,項目列と項目行を設けた,1行であって,その行は,左から,短,短,中,長の4つのマス目から成っている点, (e)中段の枠取りについては,左辺及び上辺に沿った項目列と項目行を設け,横けい線を用いない縦幅の広い行を上下2段とし,その間に挟まれた1行と,枠取り下端の3行をやや太い行とし,左端の列を極細,次の列を細い列として,それから右に等幅の列を5列,細幅の列を介して,等幅の列を3列設けた点, (f)下段の枠取りは,中央やや右寄りで分けて小さな表を2つ左右に並べた態様で,細かい行を多数設けたものとし,左側の表の右端列中程の領域を,横けい線を設けない縦長の空白領域とした点, において主に共通する。 (2-B)両意匠の相違点 それに対して,基本的構成態様において,(ア)基礎と成る紙材につき,本願意匠は,用紙の左側辺にファイリング用円孔の列を設けたものであるのに対して,引用意匠は,そのような円孔を設けていない点,(イ)縦横のけい線等から成る枠取りの色につき,本願意匠は,緑色であるのに対して,引用意匠は,黒色である点,次に,具体的構成態様において,(ウ)帯状領域の有無につき,本願意匠は,上中下3段の各枠取りにおける項目行及び項目列の位置にけい線と同色の緑色で塗りつぶした帯状領域があるのに対して,引用意匠は,有色の帯状領域が無い点,(エ)下段の枠取りにおける右下部分の態様につき,本願意匠は,帯状領域や縦横のけい線を設けていない空白領域があるのに対して,引用意匠は,空白領域が存在しない点,で主な相違が認められる。 (3)類否判断 両意匠を比較した場合,共通点は,伝票において,極普通の態様の一つであるから,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決することはできない。 そして,基本的構成態様における相違点(ア)は,元と成る紙材の形状に関する相違ではあるが,この種物品における意匠的要部は,紙面表面に表れる具体的な枠取りの態様と考えられるため,この相違については,両意匠の類否判断に与える影響は無いと考えられ,相違点(イ)は,この種物品分野においては,両意匠の出願前から各色のインクを用いてけい線を引いて枠取りしているものであって,特に,黒色,緑色,水色が多用されている状況からすると,類否判断に与える影響は皆無といって間違いない。 しかし,これに対して,相違点(ウ)は,行及び列の項目欄においては,本願意匠のように有色の帯状領域にする場合も,引用意匠のように塗りつぶさない枠状とする場合も,共によくある態様であって,余り評価はできないが,そうであったとしても,本願意匠は,太くて暗色の倒L字状(Lの文字が,右に90度回転した態様のこと。)の帯状領域が上中段の枠取りに見て取れ,下の枠取りに倒C字状(角張ったCの文字が,右に90度回転した態様のこと。)の帯状領域が見て取れるのであるから,この点につき,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度認めることができ,その他の相違点が相まって生み出される効果も考慮すると,相違点がもたらす印象は,共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-03-02 |
出願番号 | 意願2013-23341(D2013-23341) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木本 直美 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 清野 貴雄 |
登録日 | 2015-04-03 |
登録番号 | 意匠登録第1522965号(D1522965) |
代理人 | 谷川 英和 |