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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H2
管理番号 1299399 
審判番号 不服2014-19670
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-01 
確定日 2015-03-17 
意匠に係る物品 電動機 
事件の表示 意願2013- 28707「電動機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,本意匠を意願2013-17178号(意匠登録第1488289号)とする関連意匠の意匠登録出願としたもので,平成25年(2013年)年12月6日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「電動機」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁が平成18年(2008年)12月11日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第1288256号(意匠に係る物品「ブラシレスモータ」)の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「電動機」で,引用意匠は,「ブラシレスモータ」であるが,両意匠は,いずれも直流電流で回転する電動機であり,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(1)共通点
(A)全体を細い円柱棒状の軸部と短円筒形状のケーシング部(以下,「ケーシング部」という。)とケーシング部の背面側を覆うモータカバー部(以下,「モータカバー」という。)とから構成し,ケーシング部の正面側の中央に軸部を突出して設け,正面側の軸部の周囲に小型円筒形状の突出部(以下,「正面側突出部」という。)を設け,ケーシング部の周側面の正面側端部寄りに機器に取り付けるためのビス穴を設けた取付け部(以下,「取付け部」という。)を放射方向等角度に複数配し,背面側に小型円筒形状に突出した部分(以下,「背面側突出部」という。)を設け,ケーシング部上面の背面側寄りに小型直方体形状の接続端子部を設けている点,
(B)モータカバー部において背面側突出部の周囲に9つの略扇面形状の凹状部を放射状に配している点,において主に共通する。
(2)差異点
(ア)取付け部の態様について,(ア-1)本願意匠は,取付け部が3つで,背面側の全体が外側が低い傾斜面を形成しているのに対して,引用意匠は,取付け部が4つで,正面側の外側寄りのみに低い面を形成している点,(ア-2)各取付け部の正面及び背面形状について,本願意匠は,外形を略台形状とし,ビス穴周囲に円板状の防振部を設けているのに対して,引用意匠は,各取付け部の中央に外側端部が取付け部より外側に突出して,中心部に向かった内側がU字形状となっている平坦面状の防振ゴム部を設けている点,
(イ)ケーシング部の正面側の態様について,本願意匠は,正面側のケーシング部前面が取付け部まで平坦面で連続しているのに対して,引用意匠は,正面側突出部の周囲に環状の凹溝を設け,さらにその周囲に細幅の環状の平坦部を設けた形状のブラケットを配し,ブラケットの周囲に偏平な円錐台形状の突出部(以下,「円錐台突出部」という。)を設けている点,
(ウ)軸部について,本願意匠は,背面側にも正面側と同程度の長さで突出しているのに対して,引用意匠は,背面側には現れず,正面側のみに長く突出し,先端部にねじ山を形成している点,
(エ)モータカバー部について,本願意匠は,背面側の略扇面形状の凹状部中心側を傾斜面とし,周側面のケーシング部との境界線が凹凸状で,背面側の略扇面形状の凹状部の外周寄りに小型横長長方形状の凹状部を6個配しているのに対して,引用意匠は,略扇面形状の凹状部中心側に傾斜面を有さず,周側面のケーシング部との境界線が直線状で,背面側の略扇面形状の凹状部の外周寄りに小型横長長方形状の凹状部も有さず,背面側突出部の外周と背面側の略扇面形状の凹状部の外周に同心円状の凹溝を設けている点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,全体を軸部と短円筒形状のケーシング部とケーシング部の背面側を覆うモータカバー部とから構成し,ケーシング部の正面側の中央に軸部を突出して設け,正面側の軸部の周囲に正面側突出部を設け,ケーシング部の周側面の正面側端部寄りに機器に取り付けるためのビス穴を設けた取付け部を放射方向等角度に複数配し,背面側に背面側突出部を設けた態様は,この種の物品分野においては両意匠以外にも見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)についても,モータカバー部において背面側突出部の周囲に9つの略扇面形状の凹状部を放射状に配している態様が共通しているが,略扇面形状の凹状部を放射状に配している態様は,他の意匠にも見られる,さほど特徴のない,ありふれた態様であり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,差異点(ア-1)については,取付け部の態様によって正面視した全体の印象が異なり,側面視の態様と相俟って,需要者の注意を強く惹く全体の構成に係るものであって,斜面が背面側にある本願意匠と正面側が低い引用意匠とでは,明らかに需要者に与える全体の印象を異ならせるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。また,差異点(ア-2)については,各取付け部の正面形状については,防振部という,細部に係るものではあるが,ビス穴周囲の態様については,防振部の具体的な態様の差異が使用時においては,需要者の注意を強く惹く部分といえ,その差異は無視することができず,前記差異点(ア-1)の差異と相俟って,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)についても,ケーシング部前面が取付け部まで平坦面で連続している本願意匠の態様は,ブラケットを有し,ブラケットの周囲に偏平な円錐台突出部を設けている引用意匠の態様とは,明らかに異なり,需要者に別異な印象を与えるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
そして,差異点(ウ)については,軸部が背面側にも正面側と同程度の長さで突出している本願意匠と同様の態様も,背面側には軸部が現れず,正面側のみに長く突出している引用意匠と同様の態様も,いずれも本願の出願前より見られる態様ではあるが,その態様の違いは明らかなものであり,外観に影響を及ぼすものであるから,全体の印象に影響を与えるものといえ,その差異は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
さらに,差異点(エ)については,モータカバー部の周側面の態様や,小型の凹状部や凹溝の有無についての差異であって,いずれも部分的で微細な差異であるが,背面視した場合の全体の印象に影響を与えるものといえ,この点における差異は,両意匠の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。


5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-03-04 
出願番号 意願2013-28707(D2013-28707) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 宮田 莊平 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2015-04-03 
登録番号 意匠登録第1523355号(D1523355) 
代理人 北村 秀明 
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