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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1299410 
審判番号 不服2014-21237
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-21 
確定日 2015-03-31 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2013- 26515「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)11月13日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であり,断面図及び端面図を含めて部分意匠として登録を受けようとする部分を特定するものである。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の公開特許公報(公開日:平成24年(2012年)3月15日)に記載された,特開2012-051470号(発明の名称:加硫済トレッド)の【図1】?【図6】に表されたタイヤの意匠であり,「主な類否判断の対象となるのは,引例の意匠の,本願意匠が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分に対応する部分」(以下,本願実線部分に対応する引用意匠の部分を「引用対応部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,ともに自動車用タイヤであるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

2.本願実線部分と引用対応部分の対比
(1)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願実線部分と引用対応部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれも略短円筒形状タイヤのトレッド部における,周方向に配設された左右ショルダーブロックの内側に形成された,縦溝部の中央部分より内側にある接地面及び溝部の部分であるから,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。

(2)両意匠部分の具体的形態
両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。

まず,共通点として,
(A)両意匠部分全体は,トレッド部の中央部分に,野球のホームベースを倒した形状に似た略変形五角形状のブロック(以下,「略五角形ブロック部」という。)からなるブロックパターン(以下,「中央ブロックパターン部」という。)を配設し,その左右外側部分に,タイヤ外側の膨出より内側の方がやや膨出している形状の略西洋樽状のブロック(以下,「略樽状ブロック部」という。)からなるブロック列(以下,「左右ブロック列部」という。)を配設した構成としている点,
(B)中央ブロックパターン部は,略三角形状突出部が右向きの略五角形ブロック部と略三角形状突出部が左向きの略五角形ブロック部とを上下に交互に組み合わせ,両者の境界の細溝が略ジグザグ状になるよう配設し,その細溝を断面視略凹字状に形成し,上下の略五角形ブロック部間には右下がりの傾斜の溝部を形成している点,
(C)左ブロック列部及び右ブロック列部は,それぞれ略樽状ブロック部を上下方向に連続して設け,略樽状ブロック部間には僅かに右上がりの傾斜で溝部を形成している点,
(D)中央ブロックパターン部と左右ブロック列部の配置態様は,略五角形ブロック部外側の辺のなだらかな突円弧状辺部分と,略樽状ブロック部間にある溝部付近のなだらかな凹円弧状部分,及び,上下に配設された略五角形ブロック部間の右下がりの傾斜の溝部付近と略樽状ブロック部内側の辺の突円弧状部分とが対向するように配置している点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)中央ブロックパターン部と左右ブロック列部との間の態様について,本願実線部分は,中央ブロックパターン部と左右ブロック列部との間にはごく細い溝を形成しているのに対して,引用対応部分は,中央ブロックパターン部と左右ブロック列部との間に断面視略凹字状の縦溝を形成している点,
(イ)略五角形ブロック部の態様について,本願実線部分は,トレッド部内側の略三角形状突出部が右向きの略五角形ブロック部の場合には,その上下幅の下から約3分の1幅の位置になるように形成し,左向きのブロック部の場合には,その上下幅の上から約3分の1幅の位置になるように形成しているのに対して,引用対応部分は,トレッド部内側の略三角形状突出部の位置が,左右どちらの向きのブロックにおいても,その上下幅の中間の位置になるよう形成している点,
(ウ)略樽状ブロック部の態様について,
本願実線部分は,略樽状ブロック部と略五角形ブロック部の横幅をほぼ同じ幅としているのに対して,引用対応部分は,略樽状ブロック部の横幅を略五角形ブロック部の約3/4の横幅としている点,
(エ)略五角形ブロック部及び略樽形状ブロック部に形成されたサイピングの有無について,本願実線部分は,各ブロックにサイピングを形成していないのに対して,引用対応部分は,略五角形ブロック部の外側辺の略円弧状辺中央部分,及び略樽形状ブロック部の内側辺の略円弧状辺中央部分に,略樽形状ブロック部の横幅の約1/5の長さのサイピングを水平方向に形成している点,
(オ)略樽状ブロック部間の溝部の態様について,本願実線部分は,断面視略U字状の溝部の底面中央部分に,さらに細幅の溝部を形成しているのに対して,引用対応部分は,溝部の底面中央部分に,サイピング程度のごく細い溝部を形成している点,
(カ)中央ブロックパターン部に形成された略五角形ブロック部間の溝部の態様について,本願実線部分は,中央ブロックパターン部の溝部両端部分に左右ショルダーブロック内側の縦溝と同じ深さで細幅の縦溝を形成し,上下左右の略五角形ブロック部間の溝部を浅い溝部とすることで,中央ブロックパターン部には,左右端部に深い縦溝があり,その中央部分が浅底となる上下に連続する太幅帯状の溝部を形成しているのに対して,引用対応部分は,全ての溝部が同じ深さで浅底の部分はない点,
が認められる。

3.両意匠部分の形態の評価
まず,共通点(A)ないし(D)の態様は,この種物品分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠:日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成21年(2009年)2月9日)に掲載された,意匠登録第1350487号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠,別紙第3参照)であるので,これらの共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱であるといわざるを得ない。
そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)中央ブロックパターン部と左右ブロック列部との態様については,中央ブロックパターン部と左右ブロック列部との間の縦溝部の溝形状の相違は特に目立つものであって,その相違によって明らかに異なる両意匠部分の態様,すなわち,中央ブロックパターン部と左右ブロック列部とが接近し,トレッド部中央部分にあたかも1つの幅広のブロックパターンを形成したとの印象を与える本願実線部分の態様と,中央ブロックパターン部と左右ブロック列部間の縦溝によって3つのブロックパターン部を形成したとの印象を与える引用対応部分の態様は,看者に与える印象が全く異なるものであるから,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。
次に,相違点(イ)略五角形ブロック部の態様,及び相違点(ウ)略樽状ブロック部の態様については,トレッド部接地面の態様の相違であって特に目立つものであり,その態様も,ほぼ同じ横幅の略五角形ブロック部と略樽状ブロック部が配された本願実線部分の態様と,略五角形ブロック部の左右にやや細幅の略樽状ブロック部が配された引用対応部分のものとは,略五角形ブロック部自体の形状の相違を含め,看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(イ)及び相違点(ウ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
また,相違点(エ)略五角形ブロック部及び略樽形状ブロック部に形成されたサイピングの有無,相違点(オ)略樽状ブロック部間の溝部の態様,及び相違点(カ)中央ブロックパターン部に形成された略五角形ブロック部間の溝部の態様については,接地面部分のブロック部の形状とは異なり目立たない部分ではあるが,これらの溝部及びサイピングの態様の相違が相まって,看者に異なる印象を与えるものであるから,この相違点(エ)ないし(カ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も一定程度ある。
そして,これらの相違点(ア)ないし(カ)が相まって生じる視覚的効果は大きく,両意匠部分の類否判断を左右するものであるといえる。

4.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても共通しているが,両意匠部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分を全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるということができる。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-03-16 
出願番号 意願2013-26515(D2013-26515) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 加藤 真珠 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2015-04-10 
登録番号 意匠登録第1523686号(D1523686) 
代理人 南部 さと子 
代理人 永芳 太郎 
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