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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1300588 
審判番号 不服2014-21969
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-29 
確定日 2015-04-01 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2013- 13425「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,意匠法第4条第2項の適用を受けようとする,平成25年(2013年)6月14日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「朱色で示された部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。各図の表面に表された濃淡は,いずれも立体表面の形状を特定するためのものである。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,本願意匠に類似するとして引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁普及支援課が2009年4月2日に受け入れた,アメリカ合衆国特許庁発行の米国特許商標公報2009年3月10日09W10号に掲載されたボトル(登録番号US D588009S)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH21304096号)における当該部分(以下,引用意匠において本願意匠の本願実線部分に相当する部分を「引用相当部分」という。)であって,その部分の形態は,同公報に掲載された図面に表されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品について

本願意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」であり,本願意匠に関する新規性の喪失の例外証明書にはシャンプー用の包装用容器として掲載されているものである。一方,引用意匠の意匠に係る物品は「ボトル」(言語表記は「BOTTLE」)となっているが,引用意匠の出願人(The Dial Corporation)はボディソープ等を販売するメーカーであり,引用意匠もそのための包装用容器であると想定できるため,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。

(2)本願部分と引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲

まず,両意匠部分の用途及び機能について,いずれもシャンプー等の液体を入れて販売するために使用される包装用容器であるため,両意匠部分の用途及び機能は一致する。
次に,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲について,両意匠部分は包装用容器のうちの上方部分を除いた容器本体部分であるため,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲は一致する。

(3)両意匠部分の形態について

まず,両意匠部分の共通点として,

全体を左右対称とした,周側面に緩やかな凹凸を設けた略細長楕円柱状からなり,正面視において,左右の外形線を上から下に向けて,まずは外側方向に膨らませ(以下,最も外側に膨らんだ部分を「膨出部」という。),そこから内側方向に凹ませる(以下,最も凹んだ部分を「凹み部」という。)変化を連続的な曲線(以下,「略正弦曲線」という。)で構成し,略正弦曲線下端部と底辺とは略隅丸状に繋がっており,また,側面視において,上方がわずかに内側寄りにすぼまり,テーパーがつけられた略縦長矩形状となっており,そして,平面視において,縦横比が約3:5からなる略楕円形状となっている点,

が認められる。

他方,相違点として,

(ア)高さ方向における膨出部と凹み部の位置について,本願部分の上辺端部から底辺隅丸部までの高さに対する上辺端部から膨出部までの長さ(以下,「範囲(A)」とする。),膨出部から凹み部までの長さ及び凹み部から底辺隅丸部までの長さの割合は約1:3:2となっているのに対して,引用相当部分のそれは約3:4:3となっている点,

(イ)横方向における膨出部と凹み部の長さの比率について,本願部分の膨出部と凹み部の長さは約10:8となっているのに対して,引用相当部分のそれは約9:8となっている点,

(ウ)側面視における縦横比について,本願部分の縦横比は約7:2であるのに対して,引用相当部分のそれは約8:2となっている点,

(エ)平面視形状について,両意匠部分とも略楕円形状となっているものの,本願部分のほうが引用相当部分よりも,やや直線的な菱形に近い外形状となっている点,

が認められる。

2.両意匠部分の形態の評価

以上の共通点及び相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。
まず,共通点である全体の態様は,本願意匠の出願前に数多く見られる態様であり,この共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱なものであって,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
これに対して,相違点(ア)の高さ方向における膨出部と凹み部の位置の違いは,本願部分の高さ方向における範囲(A)の割合は約1/6であるのに対して,引用相当部分は約3/10であり,両意匠部分の高さ方向における範囲(A)の割合が大きく異なっており,また,相違点(イ)の横方向における膨出部と凹み部の長さの比率の違い及び相違点(ウ)の側面視における縦横比の違いについては,比率的な違いは小さいもののそれぞれが相違点(ア)と相まって,本願部分は略正弦曲線の曲率が大きく,めりはりのあるがっちりとした印象となっているのに対して,引用相当部分は略正弦曲線の曲率も小さく,膨出部と凹み部を備えるものの全体的には略細長楕円柱に近い印象となっており,これらの見た目の違いは看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ア)ないし(ウ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
なお,相違点(エ)の平面視形状の違いは,わずかな違いであるとともに視認しづらい形状でもあるため,上記相違点(ア)ないし(ウ)と比べると全体的には小さな違いではあるが,両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度ある。

3.類否判断

上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲も一致している。
しかし,両意匠部分の形態については,共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点(ア)ないし(ウ)が類否判断に及ぼす影響は大きく,また相違点(エ)が他の相違点と相まって生じる視覚的効果も一定程度あるから,これら相違点の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれを凌駕して類否判断を支配しており,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,両意匠部分は類似するものではなく,したがって,両意匠は類似しないものと認められる。


第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。


よって,審決のとおり結審する。
別掲
審決日 2015-03-16 
出願番号 意願2013-13425(D2013-13425) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木本 直美 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
綿貫 浩一
登録日 2015-05-15 
登録番号 意匠登録第1526433号(D1526433) 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 志賀 正武 

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