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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1300596 
審判番号 不服2014-21153
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-20 
確定日 2015-04-30 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2013- 29517「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)12月16日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「添付図面中,実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であり,端面図を含めて部分意匠として登録を受けようとする部分を特定するものである。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとするものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁普及支援課が2007年12月20日に受け入れた,中華人民共和国意匠公報(2007年11月14日発行)07-46号に所載のタイヤ(公開番号CN300708316)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH19009126号)であり,主な類否判断の対象となるのは,引例の意匠の,本願意匠が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分に対応する部分(以下,本願実線部分に相当する引用意匠の部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠との対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも自動車用のタイヤであるから,共通する。

2.本願実線部分と引用相当部分の対比
(1)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願実線部分と引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれも全体が環状体をなすタイヤの,サイド部を除いたトレッド部及びショルダー部の表面部分(接地面部分及び溝部分)であるから,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。

(2)両意匠部分の具体的形態
両意匠部分の形態を対比する(以下,対比のため,引用意匠についても本願意匠の図面の向きに合わせることとする。)と,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。

まず,共通点として,
(A)両意匠部分全体は,トレッド部中央部分に,右下がりに変形した略六角形状のブロック(以下,「中央ブロック部」という。)からなるブロック列(以下,「中央ブロック列」という。)を,タイヤ周方向に沿って一列配設し,その中央ブロック列の左右外側に,左下がりに変形した,中央ブロック部よりやや小さい略六角形状のブロック(以下,左側のブロックを「左小ブロック部」,右側のブロックを「右小ブロック部」という。)からなるブロック列(以下,左小ブロック部の列を「左小ブロック列」,右小ブロック部の列を「右小ブロック列」という。)を,タイヤ周方向に沿って一列ずつ配設し,小ブロック部の内側突出部と中央ブロック列の外側凹み部とが対向して組み合うような配置態様としている点,
(B)トレッド部の左右ショルダー部分に,略山状の突出部(以下,「略山状突出部」という。)をトレッド部中央側に向けて配置した,野球のホームベースに似た略変形横五角形状のブロック(以下,左ショルダー部分のブロックを「左ショルダーブロック部」,右ショルダー部分のブロックを「右ショルダーブロック部」という。)からなるブロック列(以下,左ショルダーブロック部の列を「左ショルダーブロック列」,右ショルダーブロック部の列を「右ショルダーブロック列」という。)を,タイヤ周方向に沿って一列ずつ配設し,ショルダーブロック部の略山状突出部と小ブロック列の外側凹み部とが対向して組み合うような配置態様としている点,
(C)中央ブロック列と小ブロック列の境界部分に,深めの略ジグザグ状の縦溝部を形成し,この外側の折曲部で,かつ,小ブロック部の上下間の位置に,略ジグザグ状の縦溝部より幅広で同じ深さとした,左下がりで直線状の横溝(以下,「小ブロック列横溝部」という。)を一体的に接合して形成することで,左右の横Y字形が上下に連結したような略横Y字状の溝部(以下,「略横Y字状溝部」という。)がタイヤ周方向に沿って一列ずつ左右に配設し,中央ブロック部を挟んで向き合うような配置態様としている点,
(D)中央ブロック部の上下間に,右下がりで直線状の,小ブロック列横溝部よりやや幅が狭くて浅い横溝(以下,「中央ブロック列横溝部」という。)を形成している点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)サイピングの態様について,本願実線部分は,やや右下がりで直線状のサイピングを中央ブロック部の略上下中央部分に1条施し,やや左下がりで直線状のサイピングを左右小ブロック部の略上下中央部分に各1条施し,直線の左端部寄りがやや左下がりの折れ線状のサイピングを左ショルダーブロック部略上下中央部分に1条施し,直線の右端部寄りがやや右上がりの折れ線状のサイピングを右ショルダーブロック部略上下中央部分に1条施しているのに対して,引用相当部分は,直線の中央部分に右上がりの斜め段差を形成した略クランク状のサイピングを,中央ブロック部及び小ブロック部の略上下中央部分に各1条施している点,
(イ)小ブロック部外側部分からショルダーブロック部外側部分にかけての各ブロック部及び溝部の態様について,本願実線部分は,ショルダーブロック部の略山状突出部上半分部分と,それと向き合う小ブロック部の外側下半分部分,及び,ショルダーブロック部の略山状突出部下半分部分と,それと向き合う小ブロック部の外側上半分部分との間に,細幅で短く浅い傾斜した溝部(以下,「細幅溝部」という。)を設け,この細幅溝部を挟んでショルダーブロック部と小ブロック部とを上下にジグザグ状に連結したように配設し,ショルダーブロック部の上下間と小ブロック部の外側突出部付近で囲まれた部分に,ごく僅か左下がりで概ね直線状の幅広で小ブロック列横溝部と同じ深さの横溝部(以下,「ショルダーブロック列横溝部」という。)を1条ずつ形成しているのに対して,引用相当部分は,小ブロック列横溝部外側寄りからショルダーブロック列横溝部の内側半分の範囲を僅かに突出させて太帯状の段差部(一段目)を形成し,ショルダーブロック列横溝部の外側半分の範囲ももう一段突出させて太帯状の段差部(二段目)を形成し,同じ深さであるショルダーブロック部と小ブロック部との境界部分及び一段目の段差部分からなる略横細枝Y字形が上下に連結したような溝部(以下,「略横細枝Y字状溝部」という。)を左右に1条ずつ形成している点,
(ウ)小ブロック部の態様について,本願実線部分は,左小ブロック部の右上角部及び右小ブロック部左下角部を隅丸に形成しているのに対して,引用相当部分は,略変形六角形の角部は全てシャープな角部の形状とし,トレッド部外側の辺の上下中央部分に,略くの字状の切り欠き部を1つ形成している点,
(エ)ショルダーブロック部の態様について,本願実線部分は,ショルダーブロック部上下辺をサイピングの傾きと同じ形状に形成し,ショルダーブロック部側面部中央部分に側面視略台形状の浅い切り欠きを形成しているのに対して,引用相当部分は,トレッド部中央側の辺の上下中央部分に,略くの字状の切り欠き部を1つ形成し,ショルダーブロック部の側面部には何も形成していない点,
(オ)中央ブロック列横溝部の態様について,本願実線部分は,中央ブロック列横溝部の左右端部に,略横Y字状縦溝部より僅かに浅い正面視横長長方形状の窪み部を左右に1つずつ形成しているのに対して,引用相当部分には,そのような窪み部を形成していない点,
が認められる。

3.両意匠部分の形態の評価
両意匠部分の形態における上記共通点(A)ないし(D)における,接地面における各ブロック部の態様を,変形六角形状の中央ブロック部,中央ブロック部よりやや小さい変形六角形状の左右小ブロック部,及び変形横五角形状の左右ショルダーブロック部とし,中央ブロック部を挟んで向き合うような配置態様で,タイヤ周方向に沿って略横Y字状縦溝部を左右に1条ずつ形成しているものは,本願出願前より既に見受けられる態様(参考意匠1:日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成20年(2008年)8月18日)に記載された,意匠登録第1338261号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠,別紙第3参照)であるから,両意匠部分のみに共通する特徴的な態様とは言えず,この共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱なものである。
そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)サイピングの態様については,タイヤトレッド部の中央3列(中央ブロック列及び左右小ブロック列)におけるサイピングの配置態様を,右上がり,右下がり,右上がりとした本願実線部分の態様と,全て右上がりとした引用相当部分の態様とは,その左右ショルダーブロック部に形成されたサイピン部の有無の相違も含め,看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
次に,相違点(イ)小ブロック部外側部分からショルダーブロック部外側部分にかけての各ブロック部及び溝部の態様について,ショルダーブロック部と小ブロック部とを分ける明確な境界部分が認められず,ショルダーブロック部と小ブロック部とがジグザグ状に連結したかのような印象を与える本願実線部分の態様と,ショルダーブロック部上下間の横溝部に複雑な段差部を有し,同じ深さであるショルダーブロック部と小ブロック部との境界部分及び一段目の段差部の部分からなる部分に,略横細枝Y字状溝部が上下に連続して表れている引用相当部分の態様とは,看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(イ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きいものである。
また,相違点(ウ)小ブロック部の態様,及び,相違点(エ)ショルダーブロック部の態様については,ブロックの角部又は一辺の上下中央部分における相違であり,また,切り欠き部の有無についての相違であるが,トレッド部の目に付く部分における相違であるから,この相違点(ウ)及び相違点(エ)は,各部位の相違点とともに,両意匠部分の類否判断に一定の影響を及ぼす。
そうすると,これらの相違点(ア)ないし(エ)によって生じる視覚的効果はいずれも大きく,それらが相まって生じる視覚的効果は,両意匠部分の類否判断を左右するものである。
他方,相違点(オ)中央ブロック列横溝部の態様については,横溝部の底部における僅かな態様の差であり,該部位も特段目立つ部位ではないから,この相違点(オ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱である。

4.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については共通し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても共通しているが,両意匠部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分全体として別異の印象を与えるものである。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-04-17 
出願番号 意願2013-29517(D2013-29517) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 加藤 真珠 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2015-05-15 
登録番号 意匠登録第1526510号(D1526510) 
代理人 南部 さと子 
代理人 永芳 太郎 
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