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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1300598 
審判番号 不服2014-22052
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-30 
確定日 2015-05-14 
意匠に係る物品 トラクター 
事件の表示 意願2013- 17129「トラクター」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成25年(2013年)7月26日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「トラクター」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成18年(2006年)9月19日)に記載された,意匠登録第1281353号(意匠に係る物品,農業用トラクタ)の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠との対比

本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも農作業に使用されるトラクターであるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。

次に,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお,両意匠の対比にあたっては,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとし,車体前方を前側又は前方側(本願意匠の図面では,「左側面図」として表れる。),車体後方を後ろ側又は後方側(本願意匠の図面では,「右側面図」として表れる。),車体左右側面を左右側面側(本願意匠の図面では,「正背面図」として表れる。)として記載する。

まず,共通点として,
(A)全体は,乗用型タイプのホイールトラクターであって,車体前方からエンジンボンネット(以下,「ボンネット部」という。),ハンドル等を配した運転用操作部(以下,「運転操作部」という。),車体中央下部に設けた床板(以下,「フロア部」という。),フロア部より一段高い位置に設けた運転席(以下,「シート部」という。),シート部の左右側面側に設けられた操作レバー部及び大型のリアフェンダー(以下,「フェンダー部」という。),並びにシート部後方左右端部付近から立設する2柱の転倒時防護用安全フレーム(以下,「安全フレーム部」という。)が一体的に構成された車体本体(以下,「車体本体部」という。)と,ボンネット部の左右側面側前方下部からシャフトを介して設けた小径の操舵用車輪(以下,「操舵輪部」という。),及び車体後方の左右フェンダー部外側に設けた大径の駆動用車輪(以下,「駆動輪部」という。)からなる構成とし,
(B)ボンネット部は,その上面部を膨出させ,側面側下辺中央から後方部分に略横L字状の切り欠き部を形成した前後に長い略直方体形状とし,ボンネット部前面部分から左右側面側前方部分に回り込むように,エンジンルーム内に空気を取り込むフロントメッシュグリル(両意匠において黒色又は暗調子で表された部分。以下,「メッシュグリル部」という。)を形成し,このメッシュグリル部内の上方寄りの前面から側面に至る角部分に,左側面視変形四角形状のヘッドランプ(以下,「ヘッドランプ部」という。)を左右一対設けている点,
(C)フロア部は,平面視略横等脚台形状とし,その左側面側前方縁部分から略枠状のステップ部を1つ吊着している点,
(D)フェンダー部は,フロア部から車体本体部後方まで至る正面視略扇形状の垂直な内壁部を設け,その内壁部外周部分から車体側面側に向けて,駆動輪部トレッド面の内側約1/2付近までを覆うようにタイヤカバー部を突出して形成している点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)ボンネット部の態様について,本願意匠は,左側面視において,その縦横比を約1.3:1とした略縦長長方形状とし,正面視において,メッシュグリル部の側面側下辺部からボンネット部の側面側下方部,及び,メッシュグリル部の側面側下端部から略クランク状折曲部で曲がり,ボンネット部の側面部中央部分に,後方に向かってやや上向きで先端部が尖った形状のキャラクターラインを形成しているのに対して,引用意匠は,左側面視において縦横比を約1:1とした略等脚台形状とし,ボンネット部にはキャラクターラインを形成していない点,
(ア-1)ヘッドランプ部の態様について,本願意匠は,左側面視において左右に向かってつり上がった略平行四辺形状のヘッドランプ部を左右対称に一対配設しているのに対して,引用意匠は,左右に向かってやや広がった略隅丸台形状のヘッドランプ部を左右対称に一対配設している点,
(ア-2)垂直排気管の有無について,本願意匠は,垂直な排気管を形成していないのに対して,引用意匠は,ボンネット部左側面側の略横L字状切り欠き部下部より垂直排気管を1つ立設している点,
(ア-3)ボンネット部の側面側下部カバーの有無について,本願意匠は,ボンネット部側面側の略横L字状切り欠き部の下部に,略横L字状のカバー材を配設しているのに対して,引用意匠には,そのようなカバー材を設けていない点,
(イ)ボンネット部と操舵輪部の配置態様について,本願意匠は,正面視において,ボンネット部前面部が操舵輪部前方端部より僅かに前方に突出し,操舵輪部によりボンネット部側面側中央下方部分が僅かに隠れるような配置態様であるのに対して,引用意匠は,ボンネット部前面部が操舵輪部前方端部より操舵輪部直径の約1/4程度後方に位置し,操舵輪部によりボンネット部側面側前方下方部分が殆ど隠れるような配置態様である点,
(ウ)操舵輪部と駆動輪部の直径の比率について,本願意匠は,操舵輪部と駆動輪部の直径の比を約1:1.5としているのに対して,引用意匠は,操舵輪部と駆動輪部の直径の比を約1:1.3としている点,
(エ)運転操作部の態様について,本願意匠は,運転操作部とボンネット部の側面側の横幅の比を約1:2.3とし,側面側後端部下方部分に略「コ」の字状の段差部で囲まれた,側面側より一段低い略五角形状の平坦部を形成しているのに対して,引用意匠は,運転操作部とボンネット部の側面側の横幅の比を約1:4とし,側面側に一段低い平坦部を設けていない点,
(オ)安全フレーム部の態様について,本願意匠は,フレームの中央部分に斜めのクランクを形成し,左右フレーム間の上部が下部より拡がる一対の垂直フレームと,右側面視略倒U字状の水平フレームとで安全フレーム部を構成しているのに対して,引用意匠は,一対の直線状の垂直フレームと右側面視略倒U字状の水平フレームとで構成している点,
(カ)フェンダー部上部把手部の配置態様について,本願意匠は,左右一対の把手部を平面視略横「い」の字状に突設しているのに対して,引用意匠は,左右一対の把手部を平面視略横「ハ」の字状に突設している点,
が認められる。

2.両意匠の形態の評価
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。

まず,共通点(A)の全体の態様,及び共通点(B)ないし(D)の各部の態様は,乗用型タイプのホイールトラクターの意匠の骨格的な構成態様にあたるものであり,また,各部の態様も本願意匠の出願前に既に見られるものでもあるので,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,これらの共通点全体として見たとしても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)ないし(エ)については,車体を側面側から見た場合に,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はそれぞれあるという他ない。とりわけ略縦長長方形状の大型メッシュグリル部とし,つり目のいかついヘッドランプ部を設け,ボンネット部及び運転操作部に特徴的なキャラクターライン及び段差部を施した車体本体部前方部分の下方の位置に,小径の操舵輪部を配し,前方に押し出し感のある力強いトラクターであるとの印象を与える本願意匠と,縦横の比がほぼ等しい略等脚台形状のメッシュグリル部とし,略隅丸台形状の優しい印象のヘッドランプ部を設け,ボンネット部及び運転操作部をシンプルでなめらかな形状の車体本体部前方部分をもち,車体本体部の四隅に大径の操舵輪部と駆動輪部を配し,四隅に車輪のある乗用自動車のようなスポーティーなトラクターであるとの印象を与える引用意匠とは,看者にとって全く別異の印象を与えるものであるから,これらの相違点(ア)ないし(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。
次に,相違点(オ)及び相違点(カ)の各相違点については,安全フレーム部及びフェンダー部の把手部等,いわゆるパーツの細部に関する具体的態様に係るものであり,車体全体としてみた場合には,小さな部分における相違ではあるが,それぞれはパーツごとの特徴を表わすものであり,これらの相違点が両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすものである。
そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。

3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については共通するものの,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-05-01 
出願番号 意願2013-17129(D2013-17129) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 温品 博康市村 節子 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2015-05-29 
登録番号 意匠登録第1527642号(D1527642) 
代理人 特許業務法人R&C 
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