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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服201412642 | 審決 | 意匠 |
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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1302946 |
審判番号 | 不服2015-1396 |
総通号数 | 188 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-01-23 |
確定日 | 2015-06-19 |
意匠に係る物品 | 電池 |
事件の表示 | 意願2014- 1815「電池」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,願書に記載した意願2014-001812号(意匠登録第1509268号)の意匠(以下,「本意匠」という。)を本意匠とする関連意匠に係る,平成26年(2014年)1月30日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」といい,本願意匠と本意匠を併せて「両意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「電池」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表した。各図において表れる一点鎖線は,部分意匠として登録を受けようとする部分とそれ以外の部分の境界のみを表している。」としたものである(以下,本願において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)。(別紙第1参照) 第2 原審における拒絶の理由及び本意匠 1.原審における拒絶の理由 原審における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないので,意匠法第10条第1項の規定に該当しないというものであって,具体的には,本願意匠部分と,本意匠の本願意匠部分に相当する部分(以下,「本意匠部分」といい,「本願意匠部分」と「本意匠部分」を併せて「両意匠部分」という。)とは,平面視で略角丸直方体状部の周縁部について,本願意匠部分は,正面視及び背面視で二段の段差状のものが形成されているのに対し,本意匠部分は,三段の段差状のものが形成されている点,本願意匠部分は,平面視で上下に対称の位置に段差が設けられているのに対し,本意匠部分は,上下非対称の位置に段差が設けられている点が異なり,これらの差異は両意匠の端子周辺部における目立つ部分の差異であり,これらの差異による両意匠の印象の差異が顕著であるから,類似しないものと認められる,というものである。 2.本意匠 本願の願書に記載された本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成26年(2014年)1月30日付けの意匠登録出願(意願2014-001812)の意匠であって,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「電池」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表した。各図において表れる一点鎖線は,部分意匠として登録を受けようとする部分とそれ以外の部分の境界のみを表している。」としたものであり,その後平成26年9月19日に意匠権の設定の登録がなされたものである(意匠登録第1509268号)。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 そこで当審において,本願意匠の意匠法第10条第1項適用の可否,とりわけ,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて検討する。 1.両意匠の対比 (1)両意匠の意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は,共に「電池」であり,一致する。 (2)両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 両意匠部分は共に,電池の端子側部分であって,用途及び機能は一致する。また,両意匠部分は共に,正面図において上から約3分の1の部分であって,位置,大きさ及び範囲は一致する。 (3)両意匠部分の形態 両意匠部分の形態を対比すると,以下の共通点と差異点がある。 (3-1)共通点 (A)全体の縦横高さ比を約2:6:3とした,略直方体のもので,その左右面は,平面視で半円状の曲面とした態様であって,その上面は,前後左右に周縁部を置いて(以下,各々「正面側周縁部」,「背面側周縁部」,「左側周縁部」及び「右側周縁部」という。),中央に本体外形に内接するように,角丸横長長方形の,左側に3つ端子を設けた端子形成部(以下,「端子形成部」という。)を上方向に僅かに突出させたものであり,さらに上面の正面側周縁部及び背面側周縁部の右側約5分の1,並びに右側周縁部を僅かに低くして段差を設けている点, (B)左側周縁部は,端子形成部の上面とほぼ同じ高さにしている点, で主に共通する。 (3-2)差異点 本意匠部分は,正面側周縁部に左から約7分の4の位置まで,そして,背面側周縁部に左から約7分の1の位置まで,左側周縁部と同じ高さにし,各々その位置で段差が生じているのに対し,本願部分には,該当する態様が無い点, に差異が認められる。 2.類否判断 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 両意匠部分の用途及び機能は一致し,その位置,大きさ及び範囲も一致する。 (3)両意匠部分の形態の共通点及び差異点についての評価 (3-1)共通点の評価 共通点(A)は,特にその上面の態様が電子機器の電池接続部の所定の仕様に適合させるために重要な特徴となる態様であって,先行意匠には見られないものであり,類否判断に及ぼす影響はかなり大きい。 共通点(B)は,誤挿入などを避けるための一態様であって,先行意匠には見られないものであり,類否判断に与える影響は大きい。 以上の共通点を総合すると,共通点(A)及び(B)から成る態様が,先行意匠には見られない上面の成り立ちで,これまでにない新しいものであって,需要者の注意を強く惹くものであり,類否判断に及ぼす影響は大きい。 (3-2)差異点の評価 差異点は,比較的小さい部分にあり,さらに左側周縁部と同じ高さであることによって左側周縁部から連続しているとの印象を与える程度のものであるから,需要者の注意をそれほど惹くものではなく,類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まる。 (3-3)共通点と差異点の総合評価 このように,共通点における態様がこれまでにない新しさを持つため,共通点が需要者の美感にかなりの影響を与えて,両意匠部分の類否判断の要素として高い評価となるのに対し,差異点は両意匠部分の類否判断の要素としては格別の評価ができない。したがって,共通点が差異点を凌駕し,両意匠部分の形態は相互に類似する。 (4)小括 以上のとおり,両意匠については,意匠に係る物品が一致し,両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が一致し,両意匠部分の形態も相互に類似するから,本願意匠は,本意匠と類似する。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願はその本意匠に係る出願と同日に同人が出願したものであり,本願意匠は,願書に記載した本意匠と類似するものであるから,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するものと認められるので,原審の拒絶の理由によって,拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-06-08 |
出願番号 | 意願2014-1815(D2014-1815) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 智加、鐸木 芳実 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
宮田 莊平 橘 崇生 |
登録日 | 2015-07-03 |
登録番号 | 意匠登録第1530433号(D1530433) |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 恩田 博宣 |