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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M1
管理番号 1302953 
審判番号 不服2014-25839
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-18 
確定日 2015-06-22 
意匠に係る物品 織物地 
事件の表示 意願2012- 29870「織物地」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成24年(2012年)12月6日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「織物地」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付された見本に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁総合情報館が2000年10月27日に受け入れた,2000年8月25日発行のドイツ意匠公報 第4638頁所載の400 00 747,Trend 0822の織物地の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH13009165-2号)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,両意匠は,いずれも「織物地」とするものであって,一致するが,本願意匠は,見本のとおり,願書に記載はないものの上下左右に繰り返し連続するものの一部を切り離したものである一方,引用意匠は,右辺側にフリンジがあるものであり,連続する同様の織物であって,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(1)共通点
(A)全体を,略長方形状の織物地とし,明色と暗色の2種類のそれぞれの垂直と水平の線模様(以下,これを「線」とする。)により正方形状の模様を構成し,地の表面全体にわたる,やや大きめの格子模様を形成している点,
(B)格子模様は,地の表面において明色と暗色の2種類の色の格子が格子の上下左右に半分ずつずれて,それぞれの格子が中央で十文字を描くように配されている点,
(C)格子模様を構成するそれぞれの線は,いずれも細くほぼ等幅である点,
において主に共通する。
(2)差異点
(ア)表面から見た全体形状について,本願意匠は,四辺を切り離した正方形状であるのに対して,引用意匠は,横長長方形状で,平面視右側の短辺に糸をよったフリンジが21本設けられている点,
(イ)格子模様の線の太さについて,本願意匠は,いずれも極細であるのに対して,引用意匠は,いずれも細幅である点,
(ウ)格子模様の線の色と光沢について,本願意匠は,光沢のある銀色と黒色であるのに対して,引用意匠は,白黒写真に現されたものであるが,いずれの線も光沢のある素材ではなく,明色の線は明るい灰色で暗色の線は黒色である点,
(エ)本願意匠は,地色が薄紫色で平坦な平織りの織物地であるのに対して,引用意匠は,白黒写真に現されたものであるが,地色が白色に近い明色で縦横に小さな格子状の織地模様が視認できる点,
(オ)本願意匠は,裏面にも同様の格子模様が現れているのに対して,引用意匠は,裏面の態様が不明である点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,全体を,略長方形状の織物地とし,明色と暗色の垂直と水平の線が正方形状を構成し,格子模様を形成した態様は,この種の物品分野においては両意匠以外にも既に多数見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)についても,格子模様は,地の表面において明色の格子と暗色の格子が格子の上下左右に半分ずつずれて,それぞれの格子が中央で十文字を描くように配されている態様が共通しているが,異なる色や明暗の格子が中央で十文字を描くように配されている態様は,他の織物地の意匠にも見られる,さほど特徴のない態様といえるものであり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
また,共通点(C)についても,格子模様を構成する線は,いずれも細くほぼ等幅である態様が共通しているが,この種の物品分野においては,普通に見られるありふれた態様といえるものであって,特徴のないものといえ,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,まず,差異点(ア)全体形状については,織物地を正方形に切り離したか長方形に切り離したかどうかは,単なる切り取り方の問題であって,重要な点とはいえないが,フリンジの有無は,織り工程の後処理の一種で,部分的なものではあるが,フリンジを設けることによって装飾的な印象にもなり,また,端部にフリンジを設けたものと設けていないものでは,織物地の用途も異なる場合もあることから,需要者の注意を惹く部分に係るものであって,フリンジの有無によって需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)の格子模様の線の太さについては,格子模様自体は様々なものがある中で,線が極細である本願意匠と,やや太幅である引用意匠とでは,見た目の印象が明確に異なるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)の格子模様の線の色や光沢について,金糸や銀糸などの光沢のある素材を織物地に用いることは,従来から普通に行われているところであり,細部に係る部分的な差異ではあるが,光沢のある素材を用いることによって,極細の線も見る者の注意を惹くところとなり,また,明色の線が銀色である本願意匠と,明るい灰色である引用意匠とでは,両意匠を全体として見た場合の印象が異なり,その差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
そして,差異点(エ)の地色や織地模様の違いについても,本願意匠を白黒写真で撮影したとしても,本願意匠の地色は中間色であり,そこに地色より明るい光沢のある素材の線と暗色の線が見えるものであり,また,見本を見ても本願意匠の平坦な平織りは格別目立つものとはいえないが,地色が白色に近い明色で縦横に小さな格子状の織地模様が視認できる引用意匠と,中間色で,通常の視覚では認識できないほど細かく平坦な平織りの本願意匠とでは,その印象が明らかに異なるもので,その差異は無視することができず,その差異は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
さらに,差異点(オ)の裏面の態様を特定できるかどうかについては,この種の織物地の物品分野において,裏面は通常は同様の態様であることが多く,織り方によって,線の明暗などが異なることはあるが,裏面の態様が両意匠の類否判断に与える影響はわずかなものといえる。

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-05-18 
出願番号 意願2012-29870(D2012-29870) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木村 恭子内藤 弘樹 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 宮田 莊平
斉藤 孝恵
登録日 2015-07-31 
登録番号 意匠登録第1532225号(D1532225) 
代理人 平山 俊夫 
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