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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 E2
管理番号 1305031 
審判番号 不服2014-26853
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-30 
確定日 2015-06-09 
意匠に係る物品 ダート矢のバレル 
事件の表示 意願2013- 27948「ダート矢のバレル」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)11月29日の意匠登録出願であって,意匠に係る物品は,「ダート矢のバレル」であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」ともいう。)は,願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであって,「各図にて緑色に着色した部分を除く部分,並びに,登録を受けようとする部分を示す軸断面図において実線で示した部分(後枠部品のうち右端,左端,及びこれらの内側同士を亘る内周からなる部分,すなわち,後枠部品のうち外周面のみを除く部分)が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願意匠部分」という。)。(別紙第1参照)
具体的には,物品全体としては,略流線形状に中央部が膨らんだ略葉巻状体であって,長手方向の前後端の孔部に雌ねじ部を設けたものであり,外周全面に渡る略円筒状の枠部と内部を貫通する略円柱状の芯部とからなり,枠部は中央で当接する前枠部材と後枠部材から,芯部は中央で螺合する前芯部材と後芯部材からなって,前芯部材頭部の張り出し部によって前枠部材を後枠部材に押しつけ,後芯部材後端の雄ねじ部を後枠部材内部雌ねじ部に螺合して留めつけ,組み合わさって構成されているダート矢の中程に配されるダート矢のバレルであって,そのうち,本願意匠部分は,(A)後枠部材の前端の平坦な円環状端面から(B)平滑な円筒状内面を通り,(C)内面の後端寄りに設けられた雌ねじ部を経て,(D)後端の円環状端面を含む部分である。

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,本願意匠は,ダーツ用バレルに係り,このうち,枠と芯から構成されるダーツ用バレルの枠部分の一端部に,内側が無模様の部分とネジ溝が施された部分を設け,この部分を意匠登録を受けようとする部分としたものであるが,本願出願前より,引用意匠のように,ダーツ用バレルの一端部に,内側が無模様の部分とネジ溝とが施された部分からなる意匠は公然知られており,本願意匠は,本願出願前に公然知られた態様を,ほとんどそのままダーツ用バレルの枠部分一端部に設けた程度にすぎず,当業者であれば,容易に創作することができたと認められる,というものである。

引用意匠 (別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2008-093153
図1に表されたダーツ用バレルの意匠

第3 請求人の主張の要点
これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。
本願意匠は引用意匠と比べて無視できない大きな特徴点として,分割された後ろ枠部品の前面に円環状部を有し,この円環状部の内周から後方へ内孔が形成されており,このように,(1)前後に分割構成したダーツ用バレルの「分割式の後ろ枠部品の前面に設けた円環状部」を「後ろ枠部品の前面に設けること」は,従前にない斬新な手法による非容易の意匠創作であって,(2)前後に分割構成したダーツ用バレルの「分割式の後ろ枠部品の前面に設けた円環状部」の形状自体,本願の後ろ枠部品として,独自のデザイン上の特徴となっている。
(1)「後ろ枠部品の前面に設けること」の創作非容易性について
例えば引用意匠のバレルの外周部を前後に分割構成することを考えたときには,前後の外周部同士をネジ等で接合する必要があり,このように前後に分割する際に後ろ枠部品の前面を平坦な円環状部とし,前枠部品の後ろ面と当接するように組み構成すると,前枠部品と共に前後に組み合わせる際にガタツキや滑りが生じ,ダーツ用バレルとして成り立たず,また,ダーツ用バレルは繰り返し投てきされて繰り返し衝撃を受けるため高剛性である必要があり,わずかな形状の歪みがあると,投てき時の指の掛かり方,ダーツの飛び方の重心位置に影響を及ぼすことから,従前の技術常識では,本願意匠のように“後ろ枠部品の前端を平坦な円環面とし,この円環面の内周から後方へ伸びる円孔を形成すること”はありえない。
従前技術に対し,本願意匠は,“前部に張り出し部を有した芯部品の後部の外ネジが,後ろ枠部品の後部の内螺子部の前半寄り部分に螺合固定されること”で,芯部品と後ろ枠部品とで前枠部品を挟むようにして組み構成され,これによって,本願意匠こそ初めて,前後分割式の枠部品の平坦な円環面同士を互いに当接式にしたものとなっており,かつ本願意匠では,前後分割式の枠部品の平坦な円環面同士を有していながら,滑りや形状の歪みを生じないようにした技術上の工夫に基づくものとなっており,この技術的な工夫が, “後ろ枠部品の前端を平坦な円環面とした”点と,“円環面の内周から後方へ伸びる円孔を形成した”点に表れており,本願意匠の前記特徴は,従前にない斬新な手法によって創作されたものである。
(2)「後ろ枠部品の前面に設けたこと」自体の独自のデザイン性について
また本願意匠は,前後に分割構成したダーツ用バレルの「分割式の後ろ枠部品の前面に設けた円環状部」を後ろ枠部品の内孔から前端面に連ねて形成しており,後ろ枠部品の「後面に設けた円形テーパー部」と相まって,独自のデザイン上の特徴を有するものであって,前後の独自の厚さと独自の内径‐外形を有しており,これは決して引用意匠と一致しない。すなわち,本願意匠ではダーツ用バレル全長の五分の二程度の長さの後ろ枠部品が,前面で平坦な円環部となって太幅で露出する一方,後面で内円錐面からなるテーパー部となって細幅で露出し,これらの平坦な円環部(前面)と内円錐面からなるテーパー部(後面)とが,内孔で連成されて,登録を受けようとする部分を形成している。また,後ろ枠部品の内孔の長さ方向の半分は内螺子孔となっており,この内螺子孔は,芯部品の後端のネジ部への螺合と,ダーツシャフトのネジ部への螺合とを兼ねた,通常よりも明らかに長い内ネジ構造となっている。これは,前後の異なる螺子結合のための,長区間における連続螺子構造という意味で,引用意匠の螺子形成とは異なる。
本願の前後の分割式の後ろ枠部品は独自の形態の特徴を有する部分を有しており,前後分割さえしていない引用意匠のバレルの外周部とは明らかに異なる。ゆえに,引用意匠をそのまま適用しても本願意匠を表すことには決してならず,本願意匠の独自の態様は,引用意匠に基づいて容易にできない程度の創作非容易性を有する。
以上のとおり,本願意匠は本分野の開発者或いはダーツの取り扱いを行う者(当業者)にとって,ありふれた手法によってはできない意匠の創作個所を有し,また,独自のデザイン上の特徴を有しているため,本願は意匠法第3条第2項に該当しない。

第4 当審の判断
請求人の主張を踏まえ,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。
本願意匠部分は,前記「第1」で認定したとおりであって,前記認定のうち,(B)平滑な円筒状内面を通り,(C)内面の後端寄りに設けられた雌ねじ部を経て,(D)後端の円環状端面をなす形態は,引用意匠にも見られるように本願出願前より既に公然知られた形態であり,これら構成態様(B)ないし(D)については,意匠の創作として特段の困難を要したものということはできない。
しかしながら,構成態様(A)後枠部材の前端の平坦な円環状端面の形態は,本願のダート矢用バレルの枠部が端部で当接する前枠部材と後枠部材で構成されていることにより,後枠部材の前端位置に形成されており,分離する前後の枠部材から構成されていない引用意匠に基づいて容易に創作することができたとはいえない。
よって,構成態様(A)ないし(D)からなる本願意匠部分全体の形態は引用意匠に基づいて容易に想到できたものとはいえない。
したがって,本願意匠の形態は,引用意匠の存在を前提として,その形態から容易に導き出し得ることはできず,本願意匠は,当業者であれば,容易に創作することができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当せず,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2015-05-28 
出願番号 意願2013-27948(D2013-27948) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (E2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 久保田 麻理石坂 陽子 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 清野 貴雄
渡邉 久美
登録日 2015-09-18 
登録番号 意匠登録第1535886号(D1535886) 
代理人 森田 拓生 
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