• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1306402 
審判番号 不服2012-5527
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-26 
確定日 2012-09-28 
意匠に係る物品 注射器用ガスケット 
事件の表示 意願2011- 7507「注射器用ガスケット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,秘密にすることを請求した,平成23(2011)年3月31日の意匠登録出願であって,その意匠は,意匠に係る物品が「注射器用ガスケット」であり,その形態は,願書の記載及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線であらわした部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠」という。)としたものである(別紙第1参照)。

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁が平成17(2005)年7月7日に発行した特許公開公報掲載の特開2005-177005号,発明の名称「注射器用密封栓及びプレフィルド注射器」の【図4】(C)のガスケットの意匠(以下,本願意匠に相当する部分の意匠を「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.当審の判断
(1)両意匠の対比
両意匠を対比すると,本願意匠は,「注射器用ガスケット」であって,引用意匠は,「注射器用密封栓」であるが,いずれも,注射器のプランジャの先端などに取り付けられ,密封栓の役割を果たすガスケットに係るものであるから,意匠に係る物品が共通する。
両意匠は,注射器用ガスケットの,平面部に表れる押し棒取り付け部分及びガスケット底面部の中央大略部分を除いた,主として周側面に係る外形状に関するものであるから,両意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲は,共通する。
その形態については,主として以下の共通点及び差異点がある。
なお,両意匠を対比するため,引用意匠を本願意匠の図中の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。
1)共通点
(A)全体形状を略円柱形状とし,上方寄りにくびれ部を設け,くびれ部の上方は,略短円筒形状に張り出し部(以下,「上方張り出し部」という。)を設けた点,(B)くびれ部の下方を略円錐台面状とし(以下,その外周面を「傾斜面部」という。),下端部寄りを凸円弧状の隅丸状としたものである点において主に共通する。
2)差異点
(ア)正面視した全体の縦横比について,本願意匠は,縦横比が約1:1.1で僅かに横長であるのに対して,引用意匠は,約1:0.64で縦長である点,(イ)上方張り出し部の縦方向の高さの比について,本願意匠は,張り出し部の高さの比が全体の高さに対して約1:2であるのに対して,引用意匠は,約1:4.5である点,(ウ)上方張り出し部の具体的な形状について,本願意匠は,上端部が垂直状でその下方を円弧状に膨出させ,その下方をくびれ部に向かって凸円弧状としている形状であるのに対して,引用意匠は,材質の違う垂直面から形成され,下方はくびれ部に向かって窄む短い斜面としている形状である点,(エ)傾斜面部の具体的な態様について,本願意匠は,下方寄りに略垂直状の切り替え面を設け,その下方に凸円弧状の隅丸状部を設けているのに対して,引用意匠は,切り替え面を有さず,長い傾斜面部から下端の凸円弧状の隅丸状部に繋がっている点に主な差異が認められる。
(2)類否判断
そこで検討するに,共通点(A)及び同(B)は,この種の物品の分野においては,他にも見られる,ありふれた態様であり,かつ,両意匠の全体形状を概括的に捉えたものに過ぎず,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様は,両意匠の需要者が重大な関心をもって見るものであるから,これらの差異点が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものというべきである。
すなわち,差異点(ア)は,全体の縦横比における差異であるが,横長であるか縦長であるかの違いは,需要者の目に付き易い部分に係る明瞭な差異であり,両意匠の形状の違いを印象付けるものである。次に,差異点(イ)は,上方張り出し部の縦方向の高さの比における差異であるが,高さ比の違いは,両意匠の印象を異ならせるもので,需要者の目に付き易い部分に係る明瞭な差異であり,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。また,差異点(ウ)は,張り出し部の具体的構成態様における差異であって,それが形状の差異となって現れ,本願意匠は,凹凸の多い複雑な構成であるが,引用意匠は,凹凸の少ないシンプルな構成をとっており,両意匠における差異は,無視することのできないもので,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。さらに,差異点(エ)に係る態様は,需要者の目に付き易い傾斜面部において,切り替え面の有無は,需要者に与える印象を異ならせるものといえ,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。そうして,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,上記共通点を凌駕するものであって,生起する美感を異にしていると認められる。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲が共通するものであるが,形態の差異点全体が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれをはるかに凌駕するものであるから,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせ,両意匠は類似するものではない。

4.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-09-14 
出願番号 意願2011-7507(D2011-7507) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 川崎 芳孝 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 遠藤 行久
瓜本 忠夫
登録日 2012-10-19 
登録番号 意匠登録第1455696号(D1455696) 
代理人 野村 慎一 
代理人 藤本 昇 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ