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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5
管理番号 1306414 
審判番号 不服2015-8240
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-01 
確定日 2015-09-17 
意匠に係る物品 ケトル 
事件の表示 意願2014-5214「ケトル」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,部分について意匠登録を受けようとして,平成26年(2014年)3月12日付けで出願された,本意匠を意願2014-3074号(意匠登録第1514685号)とする関連意匠の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」といい,本意匠と併せて「両意匠」という。)は,意匠に係る物品を「ケトル」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたもの(以下,本願意匠に係る部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)である。(別紙第1参照)

2. 原査定における拒絶の理由及び本意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものであって,本願の願書に記載した本意匠である意願2014-3074号(意匠登録第1514685号)は,部分について意匠登録を受けようとして,平成26年2月14日に意匠登録出願され,その後,同年11月28日に意匠権の設定登録がされ,平成27年1月5日に意匠公報が発行されたものであって,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「ケトル」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
なお,本意匠について意匠登録を受けようとする部分を,以下「本意匠実線部分」といい,本願実線部分と併せて「両部分」という。

3. 当審の判断
そこで当審において本願意匠の意匠法第10条第1項適用の可否,とりわけ,本願意匠が願書に記載した本意匠と類似するか否かについて検討する。

まず,意匠に係る物品について,両意匠は,共に「ケトル」であって,一致する。

次に,両部分の用途及び機能について,両部分は,共に,ケトル胴部周面に散在する多数の模様部分であり,一致する。
両部分の位置,大きさ及び範囲については,共に,ケトル胴部周面に散在する多数の模様部分であり,両部分の位置,大きさ及び範囲は,おおむね共通する。

両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。
共通点として,
(A)全ての模様部分が凹面から成るものであって,(B)その凹面から成る模様の外形状は,細長い略ハート形によって花びらを,略正円形によって花心(花の中心部)を表し,ある部分では,その花びらを,花心の周りに囲むように並べて,合わせて1つの花を表し,ある部分では,花びらのみが風に乗って散る様を表しているものであって,(C)それら複数の花と散りゆく多数の花びらで,花の集まりから右下へと,花びらが舞い散る様を表した一群の模様とし,(D)その群を複数並べてケトル胴部の全周面を飾っている点,がある。
相違点として,
(ア)花の数及び花びらの数,
(イ)それら一つ一つの形状,
(ウ)花及び花びらの位置,
がいずれも異なる点がある。

以上の一致点,共通点及び相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響を総合して評価し,両意匠の類否を意匠全体として検討するに,両意匠は,意匠に係る物品,並びに意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能が一致し,位置,大きさ及び範囲が共通している。
形態については,相違点(ア)ないし(ウ)により,ケトル胴部周面に施された模様を成す,一つ一つの構成要素の詳細な形状,数及びそれらの配置された位置が異なってはいるが,共通点(A)については,ケトルの分野において,両意匠以外に見られない特徴的な形態であるから,類否判断に及ぼす影響は大きく,共通点(A)を用いて,共通点(B)及び(C)を表現した結果,「花の群から右下へと,花びらが舞い散る様子を表した」という強い共通感を生み出しており,そこに共通点(D)を加えたとき,類否判断に及ぼす影響は非常に大きく,両部分の類否判断に支配的な影響を及ぼしていると言え,共通点が観者に与える強い共通の印象を,詳細なところにとどまる相違点が,覆すことはない。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能が一致し,位置,大きさ及び範囲が共通し,形態においても,共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きく,類否判断に支配的影響を及ぼしているのに対し,相違点が類否判断に及ぼす影響は軽微で,共通点の印象は相違点の印象をしのいでおり,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を同じくするというべきであるから,本願意匠は,本意匠である意願2014-3074号の意匠に類似する。
また,本願は,その他,意匠法第10条第1項の要件を充足していると認められる。

4. むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-09-04 
出願番号 意願2014-5214(D2014-5214) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 橘 崇生
刈間 宏信
登録日 2015-10-23 
登録番号 意匠登録第1538800号(D1538800) 
代理人 吉井 剛 
代理人 吉井 雅栄 

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