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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 K3
管理番号 1309596 
審判番号 不服2015-13356
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-14 
確定日 2016-01-04 
意匠に係る物品 植物栽培容器 
事件の表示 意願2014- 13947「植物栽培容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成26年(2014年)6月26日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「植物栽培容器」とし,その形態を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとし,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表した。」(以下,本願において意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)とするものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び本意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠(意願2014-013945号の意匠。以下,単に「本意匠」という。)に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものであって,本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成26年(2014年)6月26日に意匠登録出願され,その後,平成27年2月13日に意匠権の設定の登録(意匠登録第1519292号)がなされ,平成27年3月16日に意匠公報が発行されたものであって,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「植物栽培容器」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとし,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表した。」(以下,本意匠において意匠登録を受けようとする部分を「本意匠部分」という。)とするものである。(別紙第2参照)

第3 手続の経緯
原査定の拒絶の理由に対して,請求人は意見書を提出し,本願意匠が本意匠に類似する意匠であって,意匠法第10条第1項の規定に該当すると主張したが,平成27年(2015年)4月21日付けで拒絶の査定がなされたため,同査定を不服として同年7月14日に拒絶査定不服審判を請求するとともに手続補正書を提出し,願書に設けていた【本意匠の表示】の欄を削除する補正をした。

第4 当審の判断
以下,本願意匠が第10条第1項の規定に該当するか否かについて,特に,本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)が類似するか否かについて,両意匠を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,検討し,判断する。
なお,両意匠の対比にあたっては,意匠に係る物品はもとより,本願が物品の部分について意匠登録を受けようとするものであるから,本願部分と本意匠部分(以下「両部分」という。)について,その用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲(以下「位置等」ともいう。)を対比し,その両部分の形態についても対比する。

1.両意匠の共通点及び相違点の認定
(1)両意匠の共通点の認定
意匠に係る物品については,両意匠ともに「植物栽培容器」であるから,一致する。
次に,本願部分と本意匠部分の用途及び機能,並びに位置等については,両意匠ともに,平面視略四角形の浅い皿状の容器の開口部の上端周囲に,本物品を移載機で移動する際の係合部を備えたものであり,その係合部の一部分を含む皿状容器の平面視左下コーナー部分,具体的には,正面はその全長の約3分の1を占める左下コーナー寄り,左側面もその全長の約3分の1を占める左下コーナー寄りを範囲としつつ,底面は底面外形より一回り小さい中央の浅い四角形凹部の外側の帯枠状部の隅部鈎状部分を範囲とし,容器内側の側壁及び底部,係合部の外面に形成された凸部及び凹部,係合部の裏側に形成された凸部間に表れている凹部を除いた部分について意匠登録を受けようとするものであるから共通する。
そして,両部分の形態については,主に,以下の(A)ないし(E)の点が共通する。
(A)略皿状の容器本体の正面の周側壁は正面視略横長長方形状とし,その上端には,水平に外方向へ周側壁の高さと同程度の長さで延びてから,下方に垂下する側面視略鈎形状に折曲した係合部が形成され,その下端部は僅かに外方向に水平に突出している。
(B)左側面の周側壁は側面視略横長長方形状とし,その上端には,水平に外方向へ短く縁状に張り出した突片部(係合部)が形成されている。
(C)底面は略鈎状に屈曲した帯状の形態である。
(D)底面角部の正面寄り及び左側面寄りの2箇所に凹部(位置検出プレート保持部)が形成されている。
(E)係合部の裏側には略中空直方体状の突条部を2つ形成し,正面側の周側壁上部2箇所を略長方形状に切り取っている。

(2)両意匠の相違点の認定
両部分の形態について,主に,以下の(a)及び(b)の点が相違する。
(a)正面の係合部について,本願意匠は正面の周側壁の左端部まで形成されているのに対して,本意匠はコーナー寄りの部分(側面視略鈎形状の水平面及び垂直面)を切り欠いている。
(b)底面角部の正面寄り及び左側面寄りの2箇所に形成されている凹部(位置検出プレート保持部)の底面視形状について,本願意匠は一対の辺が曲線からなる略変形平行四辺形であるのに対して,本意匠は略正方形である。

2.両意匠の共通点及び相違点の評価
以下,相違点が存在する両部分の形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。
(1)両意匠の共通点の評価
共通点(A)ないし(C)は,両部分の基本的な部分を構成するものであるが,後述のとおり具体的に見れば,相違点(a)として挙げた相違が存在するものであって概括的な共通点であり,その共通点(A)ないし(C)が両部分の類否判断に及ぼす影響を大きく評価することはできない。
共通点(D)についても,後述のとおり具体的に見れば,相違点(b)として挙げた相違が存在するものであるから,共通点(D)が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
共通点(E)は,目に触れにくい箇所に関するものであり,部分的な相違であるから,共通点(E)が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。

そうすると,共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響について,共通点(A)ないし(C)からなる構成は,一定程度の評価をすることができるものの大きく評価することはできず,その余の共通点は軽微なものであり,これらが相俟ったとしても,共通点は両意匠の類否判断を決するものとは言えない。

(2)両意匠の相違点の評価
相違点(a)は,目に触れやすく,看者の注意を惹く部分に関するものであり,基本的な構成の具体的な態様に影響を与えるものであるから,相違点(a)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点(b)は,底面視において目に付く相違であり,相違点(b)が両部分の類否判断に及ぼす影響も一定程度ある。

そうすると,相違点は,特に相違点(a)が全体に与える印象に,相違点(b)も加わって,両意匠に視覚的に異なる印象を与えるものであるから,相違点は両部分の類否判断を決するものと言える。

3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通するものの,両部分の形態において,共通点は両意匠の類否判断を決するものとはならず,一方,相違点が与える視覚的効果は,共通点のそれを凌駕するものであって,両意匠に異なる美感を起こさせるものである。
したがって,本願意匠は,本意匠に類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおり,本願意匠は,出願当初の願書に記載した本意匠に類似する意匠ではなく,意匠法第10条第1項の規定に該当するということはできないものであるが,前記のとおり,本願は,願書の本意匠の記載を削除する補正がなされているものであるから,原審の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-12-15 
出願番号 意願2014-13947(D2014-13947) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (K3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 市村 節子 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 江塚 尚弘
正田 毅
登録日 2016-01-22 
登録番号 意匠登録第1544357号(D1544357) 
代理人 恩田 誠 
代理人 恩田 博宣 
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