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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1310766 
審判番号 不服2015-11390
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-17 
確定日 2016-01-12 
意匠に係る物品 携帯情報端末 
事件の表示 意願2014- 13165「携帯情報端末」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし,大韓民国への2014年2月19日の出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成26年(2014年)6月18日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「携帯情報端末」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたもので,「実線で示した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁普及支援課が平成23年(2011年)5月26日に受け入れた2011年4月20日に中華人民共和国国家知識産権局が発行した中華人民共和国意匠公報(公開番号CN301522587S号)に掲載された意匠(以下,「引用意匠」という。)(特許庁意匠課公知資料番号HH23004055号)に表された携帯電話機の背面側のカメラ及びフラッシュが組み込まれた長方形ユニット部分(以下,この部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠は,「携帯情報端末」で,引用意匠は,「携帯電話機」であるが,いずれも,携帯して用いられる,小型の情報通信機器であるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
(2)本願実線部分と引用相当部分(以下,「両部分」という。)の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
まず,本願実線部分については,願書及び願書に添付した図面に明確な記載はないが,この種の携帯情報端末の分野における通常の知識に基づけば,背面上方の破線で表された隅丸正方形状部分は,カメラと想定することができ,カメラの下に隣接して設けられた窓状部分はフラッシュライトを納めるフラッシュユニットと推認できる。
そうすると,本願実線部分は,カメラとは別に設けられたフラッシュライトを納めるフラッシュユニット(以下,「フラッシュユニット」という。)であるのに対して,引用相当部分は,カメラ部とフラッシュユニットを囲んだ枠部及び,その内側部分であって,両部分の用途及び機能は異なる。
次に,本願実線部分は,携帯情報端末の背面パネル上方に位置する略隅丸横長長方形状のフラッシュユニットであり,引用相当部分は,カメラ部とフラッシュユニットを囲んだ枠部及び,その内側部分であり,また,本願実線部分は,背面パネルの左右中央位置で,その左右幅は背面パネルの約1/5の幅であるのに対して,引用相当部分は,背面パネルの右寄りで,その左右幅は背面パネルの約1/3の幅であるから,両部分の位置,大きさ及び範囲も異なる。
(3)形態
また,両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(3-1)共通点
部分全体を,略隅丸横長長方形状の部分とし,周縁を細い枠状の縁部(以下,この部分を「縁部」という。)で囲み,縁部の輪郭形状の縦横比を約1:2としている点において主に共通する。
(3-2)差異点
(ア)縁部の態様について,本願実線部分は,背面パネルから陥没させた内側に向かって傾斜する,ごく細い態様であるのに対して,引用相当部分は,背面パネルと縁部との境界部分を僅かに盛り上げた側面視偏平倒台形状の頂面の端縁部に太幅に形成されている点,
(イ)縁部の内側部の態様について(イ-1)本願実線部分は,縁部の内側部の区切り線が,縁部の内側部の左端から約1/3程度の位置に垂直に設けられているのに対して,引用相当部分は,区切り線が,設けられていない点,また,(イ-2)本願実線部分は,区切り線以外に縁部の内側部に何も表されていないのに対して,引用相当部分は,左側にやや大きめの円形状カメラを表し,右側に縦長長円形状フラッシュユニットを設け,その内部にさらに小型円形状部分が上下に表されている点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
(2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲には差異が認められ,とりわけ,両部分の用途及び機能の差異については,フラッシュユニット部分である本願実線部分と,カメラ部とフラッシュユニットを囲んだ枠部及び,その内側部分である引用相当部分とでは,その用途及び機能が明らかに異なるもので,両部分の類否判断に与える影響が大きい。
(3)形態
共通点全体が両部分の形態の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の形態の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の形態の類否判断を決定付けるものである。
(3-1)共通点
共通点については,部分全体として見た場合には,周縁を略隅丸横長長方形状の細い枠状の縁部で囲み,縁部の輪郭形状の縦横比を約1:2とした態様は,この種の物品分野においては,ありふれた態様といえるもので,格別目立つ態様とはいえず,この点が両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
(3-2)差異点
差異点(ア)の縁部の態様について,背面パネルから陥没させた内側に向かって傾斜する本願実線部分の態様と,背面パネルと縁部との境界部分を僅かに盛り上げた側面視偏平倒台形状の頂面の端縁部に太幅に形成されている引用相当部分の態様とでは,明らかに需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)の縁部の内側部の態様について,差異点(イ-1)の区切り線について,区切り線が,縁部の内側部の左端から約1/3程度の位置に垂直に設けられている本願実線部分の態様と,区切り線が,設けられていない引用相当部分の態様とでは,両部分を背面から見た印象に影響を与えるものであるから,その差異は,両部分の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。また,差異点(イ-2)の区切り線以外の内側部について,縁部の内側部に何も表されていない本願実線部分と,具体的なものが表されている引用相当部分とでは,背面視した場合の印象が異なるもので,その差異は無視することができず,両部分の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
(4)小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するものであるが,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲に差異が認められ,とりわけ,両部分の用途及び機能の差異が類否判断に与える影響が大きく,両部分の形態においても,差異点が共通点を凌駕し,それらが両部分全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-12-24 
出願番号 意願2014-13165(D2014-13165) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 智加 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 斉藤 孝恵
久保田 大輔
登録日 2016-02-05 
登録番号 意匠登録第1545026号(D1545026) 
代理人 アイ・ピー・ディー国際特許業務法人 

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