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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B3
管理番号 1310769 
審判番号 不服2015-12868
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-06 
確定日 2016-01-15 
意匠に係る物品 サングラス 
事件の表示 意願2014- 15750「サングラス」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成26年(2014年)7月18日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「サングラス」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付された図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由の要旨は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁普及支援課が2013年10月28日に受け入れた,2013年9月26日発行の大韓民国意匠商標公報13-29号のゴーグル(登録番号30-0709936)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH25436836号)であって,その形態は,同公報の写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断

1 意匠の認定
(1)本願意匠
1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「サングラス」である。

2)形態
ア 形態の基本的構成態様
レンズ部を挟持するリム部,その両外側のヒンジ部までの部位である智部,及び左右のテンプル部が連続する全体の形状を,平面視左右に緩やかな弧状に膨出した略U字状としたものであり,リム部は,レンズ部の上端縁部を挟持して固定したブロウバータイプのものとし,テンプル部は折りたたみ可能とし,レンズ部は左右のレンズを一体成形し,レンズ部中央の鼻梁部分を凹入状に切り欠いたワンレンズタイプとしたものである。

イ 形態の具体的態様
(ア)リム部から智部にかけての部分については,
(ア-1)中央に正面視略偏平V字状突出部(以下,「V字状突出部」という。)を形成し,その左右にレンズ部の上端縁部の一部を嵌合させるための横長凹嵌部(以下,「凹嵌部」という。)を形成して,智部正面側の下縁部を,凹嵌部を挟んでV字状突出部の下縁部と連続するような緩やかな曲線状とし,
(ア-2)リム部背面側には,リム部と略同長の汗止めパッドを設けたものとし,
(イ)智部からテンプル部にかけての部分については,
(イ-1)智部正面側の曲線状の下縁部を,智部がテンプル部側に屈曲する部分付近で下方に傾斜させ,さらにそこから後方側に略水平状に形成して,智部全体を側面視略楔形状としたものであって,
(イ-2)凹嵌部と,智部とテンプル部の間に設けられたヒンジ部の下縁部とを略直線状に結んだ線(以下,「智直線」という。)より下方を,略逆三角形状の段差部として,智部側面には略平行四辺形状凸部を設け,
(イ-3)ヒンジ部の下縁部,及びヒンジ部と接するテンプル部前方寄りの下縁部を,智直線から連続するように背面側に向かって下方に傾斜させ,テンプル部の前方側から約1/10の位置で鈍角に上方に屈曲させて,そこからテンプル部後端までを緩やかな略弓状に形成し,
(イ-4)テンプル部の前方側に,横長の略三角形状段差凹部を形成し,その段差凹部に,前方側から順に変形略平行四辺形状孔部,それより一回り小さな略平行四辺形状孔部,及び略横長逆三角形状孔部の3つの孔部を連続して設けて,全体として前記略三角形状段差凹部より一回り小さい横長の略三角形状孔部を2本のブリッジで分割したように形成し,
(イ-5)テンプル部後方側には,内側及び外側に略横長へら状滑り止め部を設け,
(ウ)レンズ部は,
(ウ-1)左右両端部分を緩やかな曲線状とし,
(ウ-2)色彩を特定しておらず,また,本願の正面図においてノーズパッド部がレンズ部に透過して表れていないことから,透光性の度合いは不明ではあるものの,少なくとも透明ではないものであり,
(エ)ノーズパッド部は,全体を一体成形した背面視略翼状としたものである。

(2)引用意匠
1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は,「ゴーグル」である。

2)形態
ア 形態の基本的構成態様
レンズ部を挟持するリム部,その両外側のヒンジ部までの部位である智部,及び左右のテンプル部が連続する全体の形状を,平面視左右に緩やかな弧状に膨出した略U字状としたものであり,リム部はレンズ部の上端縁部を挟持して固定したブロウバータイプのものとし,テンプル部は折りたたみ可能とし,レンズ部は左右のレンズを一体成形してレンズ部中央の鼻梁部分を凹入状に切り欠いたワンレンズタイプとしたものである。

イ 形態の具体的態様
(ア)リム部から智部にかけての部分については,
(ア-1)中央にV字状突出部を形成し,その左右にレンズ部の上端縁部の一部を嵌合させるための凹嵌部を形成して,智部正面側の下縁部を,凹嵌部を挟んでV字状突出部の下縁部と連続するような緩やかな曲線状とし,
(ア-2)リム部背面側には,リム部と略同長の汗止めパッドを設けたものとし,
(イ)智部からテンプル部にかけての部分については,
(イ-1)智部正面側の曲線状の下縁部を,智部がテンプル部側に屈曲する部分付近で下方に傾斜させ,さらにそこから後方側に略水平状に形成して,智部全体を側面視略楔形状としたものであって,
(イ-2)智部の側面からテンプル部の側面にかけて,僅かに抉れた帯状凹部を形成して,その帯状凹部内に略横長楕円形状凸部を設け,
(イ-3)智部の下縁部,ヒンジ部の下縁部,及びテンプル部下縁部を,連続した緩やかな略弓状に形成し,
(イ-4)テンプル部の前方側に,3つの略横長楕円形状孔部を前後方向に連続して設け,
(イ-5)テンプル部後方側には,内側及び外側に略横長へら状滑り止め部を設け,
(ウ)レンズ部は,
(ウ-1)左右両端部分を外側に突出した略「く」字状とし,
(ウ-2)赤,黄,緑,青のグラデーションが表れる,偏光レンズであるリーボミラーとしたものであり,
(エ)ノーズパッド部は,全体を一体成形した背面視略翼状としたものである。

2 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「サングラス」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「ゴーグル」であるが,両意匠は,いずれも装身する日除け用眼鏡であり,意匠に係る物品が共通する。

(2)形態の共通点
両意匠は,
(A)基本的構成態様を,レンズ部を挟持するリム部,その両外側のヒンジ部までの部位である智部,及び左右のテンプル部が連続する全体の形状を,平面視左右に緩やかな弧状に膨出した略U字状とし,リム部はレンズ部の上端縁部を挟持して固定したブロウバータイプのものとし,テンプル部は折りたたみ可能とし,レンズ部は左右のレンズを一体成形してレンズ部中央の鼻梁部分を凹入状に切り欠いたワンレンズタイプとしている点,
(B)リム部の中央にV字状突出部を形成し,その左右にレンズ部の上端縁部の一部を嵌合させるための凹嵌部を形成し,智部正面側の下縁部を,凹嵌部を挟んでV字状突出部の下縁部と連続するような緩やかな曲線状とした点,
(C)リム部背面側に,リム部と略同長の汗止めパッドを設けている点,
(D)智部正面側の曲線状下縁部を,智部がテンプル部側に屈曲する部分付近で下方に傾斜させ,さらにそこから後方側に略水平状に形成して,智部全体を側面視略楔形状としている点,
(E)テンプル部後方側の内側及び外側に略横長へら状滑り止め部を設けている点,
(F)ノーズパッド部を,全体を一体成形した背面視略翼状としている点,
が主に共通する。

(3)形態の相違点
両意匠は,
(a)智部からテンプル部にかけての部分について,本願意匠は,凹嵌部とヒンジ部の下縁部とを略直線状に結んだ智直線より下方を,略逆三角形状の段差部として,智部側面には略平行四辺形状凸部を設け,ヒンジ部の下縁部,及びヒンジ部と接するテンプル部前方寄りの下縁部を,智直線から連続するように背面側に向かって下方に傾斜させ,前側から約1/10の位置で鈍角に上方に屈曲させて,そこからテンプル部後端までを緩やかな略弓状に形成しているのに対して,引用意匠は,智部の側面からテンプル部の側面にかけて,僅かに抉れた帯状凹部を形成して,その帯状凹部内に略横長楕円形状凸部を設け,智部の下縁部,ヒンジ部の下縁部,及びテンプル部下縁部を,連続した緩やかな略弓状に形成している点,
(b)テンプル部の側面について,本願意匠は,前方側に横長の略三角形状段差凹部を形成し,その段差凹部に,前方側から変形略平行四辺形状孔部,それより一回り小さな略平行四辺形状孔部,及び略横長逆三角形状孔部の3つの孔部を連続して設けて,全体として前記略三角形状段差凹部より一回り小さい横長の略三角形状孔部を2本のブリッジで分割したように形成しているのに対して,引用意匠は,前方側に3つの略横長楕円形状孔部を前後方向に連続して設けている点,
(c)レンズ部の左右両端部の形状について,本願意匠は,緩やかな曲線状としているのに対して,引用意匠は,外側に突出した略「く」字状としている点
(d)レンズ部について,本願意匠は,色彩を特定しない透明でないものであるのに対して,引用意匠は,赤,黄,緑,青のグラデーションが表れるリーボミラーとしたものである点,
が相違する。

3 類否判断
両意匠の意匠に係る物品は共通しているから,以下,両意匠の形態の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響を評価する。

(1)共通点の評価
まず,共通点(A)の,基本的構成態様を,レンズ部を挟持するリム部,その両外側のヒンジ部までの部位である智部,及び左右のテンプル部が連続する全体の形状を,平面視左右に緩やかな弧状に膨出した略U字状とし,リム部はレンズ部の上端縁部を挟持して固定したブロウバータイプのものとし,テンプル部は折りたたみ可能とし,レンズ部は左右のレンズを一体成形してレンズ部中央の鼻梁部分を凹入状に切り欠いたワンレンズタイプとしている点については,前記形態は両意匠の骨格を成すものではあるが,スポーツタイプのサングラス又はゴーグルの基本的構成態様としては例を示すまでもなくありふれたものであるから,この共通点(A)は,両意匠の類否判断を左右するほどのものとはいえない。
そして,共通点(B)の,リム部の中央にV字状突出部を形成し,その左右にレンズ部の上端縁部の一部を嵌合させるための凹嵌部を形成して,智部正面側の下縁部を,凹嵌部を挟んでV字状突出部の下縁部と連続するような緩やかな曲線としている形態,及び共通点(D)の,智部正面側の曲線状下縁部を,智部がテンプル部側に屈曲する部分付近で下方に傾斜させ,さらにそこから後方側に略水平状に形成して,智部全体を側面視略楔形状としている形態については,正面及び左右側面の正面側の目立つ部分の形態ではあるものの,引用意匠の公開前からよく見られる形態であって,引用意匠固有の特徴ではないと認められるから,この形態が共通するという共通点(B)も両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまるものである。
また,共通点(C)の,リム部背面側に,リム部と略同長の汗止めパッドを設けた形態,共通点(E)の,テンプル部後方側の内側及び外側に略横長へら状滑り止め部を設けた形態,及び共通点(F)の,ノーズパッド部全体を一体成形して背面視略翼状としている形態についても,スポーツタイプのサングラスにおいては,従来から普通に見られるものであるし,それぞれ使用時には目に付かないリム部の裏側,側面の背面側,レンズ部の裏側の形態であることから,この共通点(C),共通点(E)及び共通点(F)も,両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。

(2) 相違点の評価
まず,サングラスの使用時においては,正面側の形態はもちろん,側面側の形態も,非常に目を惹くものであり,正面側の形態は,形状に創作の余地があまりないレンズ部がほとんどを占めることを考慮すれば,側面視形態は正面視形態よりも看者の注意を惹く部分となり得るものであるから,智部からテンプル部にかけての形態の相違である相違点(a)及び相違点(b)は,看者の注意を強く惹く部分の相違であるといえる。
そして,相違点(a)については,本願意匠は,智直線より下方を,略逆三角形状の段差部とすることで,凹溝部からテンプル部前方寄りの下縁部まで,智直線とヒンジ部及びテンプル部の下縁部を直線状に連続して形成し,そこから鈍角に上方に屈曲させてテンプル部後端までを緩やかな略弓状に形成して,智部からテンプル部後端までの全体を側面視略偏平逆三角形状としており,この形態は,同部分を略棒状とした引用意匠と比べると,重厚感及び安定感のある,引用意匠とは別異のサングラスの印象を看者に与えるものである。
また,相違点(b)については,本願意匠の,テンプル部の側面前方側に略三角形状段差凹部を形成し,その段差凹部に,前方側から変形略平行四辺形状孔部,それより一回り小さな略平行四辺形状孔部,及び略横長逆三角形状孔部の3つの孔部を連続して設けて,全体として前記略三角形状段差凹部より一回り小さい略三角形状孔部を2本のブリッジで分割したように形成した形態は,テンプル部に占める割合が大きい部分の形態であり,かつ本願出願前には見られない,本願意匠に固有の特徴的な形態である。
よって,相違点(a)及び相違点(b)は,両意匠の類否判断に極めて大きな影響を与えるものである。

他方,相違点(c)の,レンズ部の左右両端部の形状の相違については,本願意匠のように緩やかな曲線状とすることは,本願意匠の出願前からすでに普通に見られるものであること,及び両意匠を全体として観察すると,レンズ部の左右端部というごく一部の小さな部分の形態の相違であることから,この相違点(c)が,両意匠の類否判断に与える影響は微弱である。
また,相違点(d)の,レンズ部の相違については,本願意匠は色彩を特定していないため,特に本願意匠の特徴を見いだすことはできないし,透明ではないものである点においては,むしろリーボミラーを採用した引用意匠とは,いずれも透明ではないという点で共通しているともいえることから,この相違点(d)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。

(3)小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,また,基本的構成態様やいくつかの具体的形態が共通しているものの,それらの形態の共通点は,いずれも類否判断に与える影響が小さいものであるのに対して,形態の相違点,とりわけ相違点(a)及び相違点(b)が類否判断に与える影響は極めて大きく,形態の共通点があいまって看者に与える視覚的効果を考慮しても,形態の相違点のそれを凌駕していないため,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は引用意匠と類似しない。

第4 むすび

以上のとおりであるから,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができない意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

したがって,本願は登録すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-01-04 
出願番号 意願2014-15750(D2014-15750) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 山永 滋並木 文子鶴田 愛 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 久保田 大輔
斉藤 孝恵
登録日 2016-02-19 
登録番号 意匠登録第1546273号(D1546273) 
代理人 戸川 公二 
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