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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 H7
管理番号 1311892 
審判番号 不服2015-13595
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-17 
確定日 2016-02-22 
意匠に係る物品 エアーコンディショナー用リモートコントローラー 
事件の表示 意願2014- 15288「エアーコンディショナー用リモートコントローラー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成26年(2014年)7月14日の意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「エアーコンディショナー用リモートコントローラー」とし,「特に物理的なボタン構造を有さないタッチパネル等により操作されるリモートコントローラーに係り,通電状態を示す参考図のように,使用時に表示される操作キーおよび運転状態を利用して操作されるものである。」としたものであって,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書及び願書添付の図面に記載したとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第2 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠(意願2014-015284号,意匠登録第1524664号。以下,単に「本意匠」という。)に類似する意匠と認められないので,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものであって,具体的には以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠と願書に記載した本意匠とは,全体を細長の肉厚板状とし,その正面側略全面をタッチパネル画面とした点で共通するとしても,本意匠のタッチパネル画面が普通の平坦な面であるのに対し,この意匠登録出願の意匠のタッチパネル画面は凹曲面状である点で相違し,そして,タッチパネル画面が凹曲面状である形態はこの種物品においては未だ希にしか見られないものであって看者の注意を強く惹くものであるので,この点の相違は類否を左右するものであり,したがって,両意匠は類似しないものと認められます。」

第3 手続の経緯
上記,原審の拒絶の理由に対して,請求人は意見書を提出し,本願意匠が本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができるものである旨主張したが,同主張を採用できないとして拒絶の査定がなされたため,同査定を不服として平成27年(2015年)7月17日に審判を請求し,原査定を取り消し,本願意匠を登録すべきものであるとの審決を求めるとともに,同日に手続補正により本願の本意匠の表示を削除した。

第4 当審の判断
以下,本願意匠が,第10条第1項の規定により本意匠(意願2014-015284号,意匠登録第1524664号)を本意匠とする関連意匠として意匠登録を受けることができるか否かについて検討する。

1 本意匠
本意匠は,平成26年(2014年)7月14日に意匠登録出願されたものであり,平成27年(2015)4月24日に意匠権の設定の登録がなされ,同年6月1日に発行された意匠公報に掲載されたものであり,その形態は同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

2 本願意匠と本意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び本意匠(以下,両意匠という。)の意匠に係る物品は,共に「エアーコンディショナー用リモートコントローラー」であり,その使用方法においても,共に「意匠に係る物品の説明の欄」に「特に物理的なボタン構造を有さないタッチパネル等により操作されるリモートコントローラーに係り,通電状態を示す参考図のように,使用時に表示される操作キーおよび運転状態を利用して操作されるものである。」と記載したものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。
(2)両意匠の形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。
ア 共通点
両意匠は,基本的構成態様として,
(A)全体形状が,厚みのある横に細長い略長方形板状体である点,が共通する。
また,具体的態様として,以下の共通点が認められる。
(B)透光部について
前面の全面を薄板状の透光部で覆い,その透光部全体を,物理的なボタン構造を有さない操作面部にとしたものである点。
(C)側面視の態様について
左右側面からみて,上下辺が緩やかな傾斜面からなり前方から後方にかけてややすぼまった略倒等脚台形状の態様となっている点。
イ 差異点
一方,両意匠には,具体的態様として,以下の差異点が認められる。
前面の操作面部について,本願意匠は,縦横方向全面に渡って大きく緩やかに湾曲した凹状面からなっているのに対し,本意匠は,全面に渡って,平坦な面からなる点。

3 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品
前記認定のとおり,両意匠の意匠に係る物品は一致する。
(2)形態の共通点の評価
まず,共通点(A)の全体形状については,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の基本的構成態様の共通点に過ぎないものであって,この点のみをもって両意匠の類否判断を決するということはできず,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
また,共通点(B)の前面の操作面部を薄板状の透光部が覆っているものである点は,この種物品分野に限らず,タッチパネルで操作を行うものにごく普通に見られる態様であることから,特に,看者の注意を惹くものとはいえない。
さらに,共通点(C)の側面視の態様についても,操作面側を前面として,左右側面からみて,上下辺が緩やかな傾斜面からなり前方から後方にかけてややすぼまった略倒等脚台形状の態様である点も,各種リモートコントローラーの分野においては,よく見られる態様であって,両意匠のみの格別の特徴ということができず,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
したがって,共通点(A),(B)及び(C)は,いずれも両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さいものであって,両意匠の形態の共通点を総合しても,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(3)形態の差異点の評価
これに対して,両意匠の形態の差異点については,以下のとおり評価され,差異点は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすといわざるを得ない。
すなわち,操作面部について,本願意匠が,縦横方向全面に渡って大きく緩やかに湾曲した凹状面からなっているのに対し,本意匠は,全面に渡って,平坦な面からなる点は,外観上最も目につき,看者が注目する操作面全体に渡る差異であって,一見して看取できる明らかな差異であり,看者に与える視覚的効果が大きい。
そして,本願出願前に,この種リモートコントローラーの物品分野において,操作面が縦横方向全面に渡って大きく緩やかに湾曲した凹状面からなっている態様は,本願意匠に独自の特徴的態様であって,看者の注意を惹くものであるから,差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいということができる。
よって,差異点は,両意匠を別異のものと印象付けるに十分なものである。
(4)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,両意匠の形態においては,共通点の類否判断に及ぼす影響が総じて小さいのに対して,差異点の類否判断に及ぼす影響は大きいので,本願意匠は本意匠に類似するということはできない。

4 本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当するか否かの判断について
上述のとおり,本願意匠は本意匠に類似するものとは認められないので,意匠法第10条第1項に規定されている,本意匠に類似する意匠(関連意匠)の要件を満たさない。
したがって,本願意匠については,意匠法第10条第1項の規定により本意匠(意願2014-015284号,意匠登録第1524664号)を本意匠とする関連意匠として意匠登録を受けることができない。

そして,前記第3のとおり,本願は,審判請求日と同日に願書の本意匠の表示を削除する補正がなされているから,原審の拒絶の理由によっては拒絶することはできない。

また,本願意匠は本意匠に類似しないから,前記手続補正によって新たに意匠法第9条第2項の規定に該当するものともいえず,同条同項の規定により,本願を拒絶することもできない。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項の規定に該当しないから本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができないものとした,原審の拒絶の理由によっては,拒絶することができない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-02-10 
出願番号 意願2014-15288(D2014-15288) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
清野 貴雄
登録日 2016-03-04 
登録番号 意匠登録第1547033号(D1547033) 
代理人 渡邉 知子 
代理人 川越 弘 
代理人 松原 美代子 
代理人 原田 雅美 

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