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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B1
管理番号 1311895 
審判番号 不服2015-15934
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-28 
確定日 2016-03-01 
意匠に係る物品 ジャケット 
事件の表示 意願2014- 18863「ジャケット」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成26年(2014年)8月28日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「ジャケット」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付された図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2006年10月24日に受け入れた雑誌「山と溪谷」2006年11月1日858号第5頁所載の「ジャケット」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA18024349号)であって,その形態は,同頁に掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,いずれも防寒用の「ジャケット」であって,両意匠の意匠に係る物品は一致する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(1)共通点
(A)全体を,中綿などの芯部材を内部に詰めて縫合したキルティング加工を施した長袖の上着とし,襟を短く立ち上げたハイネック状とし,袖口を細幅帯状とし,正面側中央に襟から下端部までのファスナー部を設け,縫合線であるキルティングライン(以下,「キルティングライン」という。)を全体に配し,襟以外のキルティングラインを格子状としている点,
(B)襟以外のキルティングラインは,正方形が正面側の縦に数個程度,袖部の長さ方向にも数個程度並ぶ大きさで配されている点,
(C)正面側の左右両脇寄りに,下端部から上方に直線状に延伸し,上寄りの位置から袖の付け根まで緩やかに外側に湾曲した切り替え線を設けている点,
(D)正面側の切り替え線に沿って,下端部寄りに余地部を残して,縦方向にファスナーを有するポケット部を設けている点,
において主に共通する。
(2)差異点
(ア)襟以外のキルティングラインについて,本願意匠は,胴部は正方形の四辺のうち,正面側は中央寄りの2本の縦の辺を,背面側は中央寄りの3本の縦の辺の左右に隣り合う二辺を,袖部は正方形の四辺のうち,上下に隣り合う二辺を,それぞれ中央の略1/3程度を切り離したラインとしているのに対して,引用意匠は,全てを連続したラインとしている点,
(イ)襟部のキルティングラインについて,本願意匠は,ファスナー部の左右に凸弧状のラインを正面側の左右に設け,そのラインと連続する襟部の上端寄りの横方向のラインと襟ぐりに沿ったラインとの間に,背面側に縦方向のラインを2本設けているのに対して,引用意匠は,襟部のキルティングラインが不明である点,
(ウ)肩の切り替え線について,本願意匠は,正面側の上端部寄りの左右に,肩部の切り替え線を襟ぐりから袖の付け根まで横方向に設けているのに対して,引用意匠は,肩の切り替え線を正面側には視認できない点,
(エ)ポケット部について,本願意匠は,ファスナーカバーがなく,ファスナーが正面から見える態様であるのに対して,引用意匠は,ファスナーカバーを形成しており,ファスナーが隠れて見えない態様である点,
(オ)本願意匠は,背面側にも正面側と同様のキルティングラインが表れているのに対して,引用意匠は,背面側の態様が不明である点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成ではあるが,全体を,中綿などの芯部材を内部に詰めて縫合したキルティング加工を施した長袖の上着とし,襟を短く立ち上げたハイネック状とし,袖口を細幅帯状とし,正面側中央に襟から下端部までのファスナー部を設け,縫合線であるキルティングラインを全体に配し,襟以外のキルティングラインを格子状とした態様は,この種の物品分野においては両意匠以外にも既に多数見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)についても,襟以外のキルティングラインが,正方形が正面側の縦に数個程度,袖部の長さ方向にも数個程度並ぶ大きさで配されている態様が共通しているが,両意匠と同程度の大きさの格子のキルティングラインは,他のジャケットの意匠にも見られる,さほど特徴のない態様といえるものであり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
また,共通点(C)及び共通点(D)についても,正面側の左右両脇寄りに下端部から上方に直線状に延伸し,上寄りの位置から袖の付け根まで緩やかに外側に湾曲した切り替え線を設け,正面側の切り替え線に沿って,下端部寄りに余地部を残して縦方向にファスナーを有する態様が共通しているが,この種の物品分野においては,いずれも普通に見られるありふれた態様といえるものであって,さほど特徴のないものといえ,両意匠のみに共通する態様とはいえず,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,まず,差異点(ア)の襟以外のキルティングラインの態様について,本願意匠は,その胴部は正方形の四辺のうち,正面側は中央寄りの2本の縦の辺を,背面側は中央寄りの3本の縦の辺の左右に隣り合う二辺を,袖部は正方形の四辺のうち,上下に隣り合う二辺を,それぞれ中央の略1/3程度を切り離したラインとしており,全てを連続したキルティングラインとしている引用意匠とは,明らかに異なっており,本願意匠のキルティングラインの態様は,他には見られない特徴的な態様であり,また,切り離したラインを隣り合う二辺ずつとすることによって,本願意匠のキルティングラインは均一ではない印象を与えるもので,途切れなく連続したキルティングラインが整然と並んだ引用意匠とは,視覚的な印象を異ならせるものといえ,そのキルティングラインの態様は,全体にわたって需要者の注意を強く惹く部分であるから,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)の襟部のキルティングラインについては,部分的な差異ではあるが,凸弧状のラインを有し,縦方向のラインを複数有する本願意匠は複雑な印象を与えるもので,キルティングラインが不明な引用意匠とでは,見た目の印象が明確に異なるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)の肩の切り替え線の位置について,肩の切り替え線を正面側の上端部寄りの左右に設けることは,従来から普通に行われているところであり,ありふれた態様における部分的な差異ではあるが,正面側に切り替え線を設けた本願意匠と,切り替え線が見えない引用意匠とでは,両意匠を正面から見た場合の印象が異なり,その差異は,両意匠の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。
そして,差異点(エ)のポケット部の差異についても,いずれもありふれた態様といえるもので,さほど目立つ態様とはいえない,細部に係る態様ではあるが,ファスナーを見えるように設けるかどうかで正面から見た印象が異なるものであるから,ポケット部の差異が両意匠の類否判断に与える影響は,僅かながらあるものといえる。
さらに,差異点(オ)の背面側の態様については,この種のジャケットの物品分野において,背面側の態様は,通常はポケット部や中央のファスナー部を除いて,正面側と同様の態様であることが多いため,差異点(ア)の襟以外のキルティングラインの態様と相俟って,両意匠の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-02-18 
出願番号 意願2014-18863(D2014-18863) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木本 直美 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 久保田 大輔
斉藤 孝恵
登録日 2016-04-01 
登録番号 意匠登録第1548816号(D1548816) 
代理人 大貫 敏史 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
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