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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L6
管理番号 1311905 
審判番号 不服2014-13620
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-14 
確定日 2016-03-01 
意匠に係る物品 建物用壁板 
事件の表示 意願2012- 27733「建物用壁板」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成24年(2012年)11月13日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「建物用壁板」とし,形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2012年4月23日に受け入れた内国カタログ「KMEW 2012年4月現在 寒冷地域用 2012 総合カタログ 外壁材」第129頁所載の「壁板」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC24500399号)であって,その形態は,同カタログの写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「建物用壁板」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「壁板」であって,共に建物の外壁材として使用されるものであるから,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。

(2)両意匠の形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

<共通点>
両意匠は,基本的構成態様について,
(あ)全体が,正面視,縦横比が約1:6.5である横長な長方形状の薄板体であって,

(い)正面側全面にレリーフ模様部を形成し,

(う)平面部と底面部に同板を上下に順次嵌合連結するための接続部を形成した構成態様が共通し,

各部の具体的構成態様について,
(え)レリーフ模様部は,横長長方形状の石板状飾りを上下左右に隣接させて敷き詰めるように多数配列し,隣接する石板状飾りの間には縦横の溝を形成したものとし,

(お)その配列は,ほぼ一定の高さの石板状飾りを水平方向に連続して配列して層を成し,各層を縦方向に積み上げて成るもので,各層の間に形成された水平溝は,レリーフ模様部全体を水平に貫くように形成したもので,また,石板状飾りの左右幅が広いものと狭いものとが不規則に混在していることにより,左右に隣接する石板状飾りの間の縦溝の形成位置は,左右方向にばらつきのある不規則調としたものであるが,それら縦溝が,一層のみの独立した箇所と数層を貫くように形成した箇所とが混在したものとし,

(か)石板状飾りは,表面に凹凸のある,石材の割り肌の風合いを示す略横長方形のレリーフ状とした構成態様が共通する。

<相違点>
一方,各部の具体的構成態様については,以下の点で相違する。
(ア)レリーフ模様部を構成する石板状飾りの具体的態様について,水平方向に連続して配列して層をなす石板飾りを,本願意匠は,縦に18層積み重ねたものであるのに対して,引用意匠は,それを縦に15層積み重ねたものである点。

(イ)左右に隣接する石板状飾りの間の縦溝が所々に数層を貫くように形成した構成について,本願意匠は,一層のみで独立した箇所と,2層を貫くように形成した箇所とを混在させるように配置したものであるのに対して,引用意匠は,一層のみで独立した箇所と,2層,3層又は4層を貫くように形成した箇所を混在させるように配置したものである点。

(ウ)上下に隣接する石板状飾りの間の水平溝の態様について,本願意匠は,水平溝の壁面を構成する,石板状飾りの上下辺の形状に伴い,当該水平溝が,一定の範囲内においてごく僅かに上下に揺れたように表れるものであるのに対して,引用意匠は,角部の欠け落ち部を除き,ほぼ直線的な水平溝である点。

(エ)各石板状飾りの態様について,本願意匠は,その上下辺が一定の範囲内においてごく僅かに上下に揺れたように表れる横長長方形状であって,その縦横比は約1:5から約1:18の範囲にばらつきのあるものであるのに対して,引用意匠の石板状飾りは,横長長方形状又は角部が大きく欠け落ちた部分のある横長長方形状であって,その上下辺はほぼ直線状であり,その縦横比は約1:5から約1:11の範囲にばらつきのあるものである点。

2.両意匠の類否判断
両意匠の形態について,検討すると,まず,基本的構成態様に係る共通点(あ)ないし同(う)及び各部の具体的構成態様に係る共通点(え)ないし同(か)については,例をあげるまでもなく,この種物品分野においてありふれた態様であって,本願意匠と引用意匠のみに特徴的な態様とはいえないものであるから,これらの共通点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

次に,本願意匠と引用意匠の具体的構成態様に係る相違点について検討すると,相違点(ア)のレリーフ模様部を構成する石板状飾りの配列態様について,縦に18層か,15層かの相違は,それぞれ特徴的とはいい難く,その数の違いは僅かなものであって,視覚的印象に優位な差をもたらすものとはいい難いから,この相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

相違点(イ)の,縦溝の配置態様について検討すると,この種物品分野において,石板状飾りの配置パターンによって縦横に形成される溝の配置態様は,壁板全体の意匠的性格を与え,需要者の注意を惹くものであって,本願意匠の,縦溝が最大で2層を貫くように形成したものに止まる態様は,レリーフ模様全体の印象を,縦方向の連続性を希薄なものとし,水平方向の連続性を強調するものといえるのに対し,引用意匠の,一層のみで独立に形成し,または,2層,3層若しくは4層を貫くように形成した態様は,レリーフ模様全体の印象を,水平方向のみならず縦方向の連続性をも強調するものといえるものであり,両者のもたらす視覚的印象が相違するものであるから,この相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいといえる。

相違点(ウ)の水平溝の具体的態様は,それぞれ特徴的とはいい難いが,本願意匠の,ごく僅かに上下に揺れたように表れる水平線状の模様を描き出しているものに対し,引用意匠の,水平直線状の模様である態様との相違は,それぞれのレリーフ模様全体の印象に相違をもたらすものといえるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。

相違点(エ)の,各石板状飾りの具体的態様の相違については,その縦横比率については,両意匠とも,概ね同様な比率の範囲に分布したものといえる程度の微差であり,この相違が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるが,本願意匠の,各石板状飾りが,その上下辺が一定の範囲内においてごく僅かに上下に揺れたように表れる横長長方形状である態様は,その表面が凹凸のある石板調である態様とあいまって,石材の割り肌をそのまま表した石板を積み上げた石壁を想起させる風合いを示しているのに対して,引用意匠の石板状飾りは,上下辺が直線状であることから,直線的に切り出した石板を積み上げた石壁を想起させ,なおかつ,石板状飾りの角部が所々大きく欠け落ちている部分が,年月を経て風化が進んだ石壁を想起させる風合いを示しているものといえ,それぞれが特徴的であるから,この相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度あるといえる。

そうして,以上の共通点及び相違点を総合的に評価し,両意匠の類否を意匠全体として判断すると,共通点(あ)ないし同(か)のそれぞれが,いずれもありふれた態様であって,それらがまとまった全体としても,両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して,レリーフ模様全体の印象に関わる相違点(イ)の,両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きく,石板状飾りの風合いに関わる相違点(ウ)及び同(エ)の類否判断に及ぼす影響があいまって,両意匠に別異の印象を生じさせ,上記の共通点が生じさせている共通感を大きく凌駕するものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできないものである。

3.小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,形態については,共通点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して,相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものであり,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものである。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができない意匠に該当しないものであるから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-02-17 
出願番号 意願2012-27733(D2012-27733) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 下村 圭子 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 清野 貴雄
渡邉 久美
登録日 2016-03-11 
登録番号 意匠登録第1547600号(D1547600) 
代理人 芝 哲央 
代理人 瓜本 忠夫 
代理人 岩池 満 
代理人 正林 真之 
代理人 星野 寛明 
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