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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1313095 
審判番号 不服2015-18198
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-06 
確定日 2016-03-15 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2015- 1883「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成27年(2015年)1月30日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,特許庁総合情報館が1997年7月9日に受け入れた大韓民国意匠公報(1997年5月7日)の第30頁に所載の「包装用容器」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH10041440号)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。
なお,両意匠の対比にあたっては,意匠に係る物品はもとより,本願が物品の部分について意匠登録を受けようとするものであるから,意匠登録を受けようとする部分として実線で表された部分(以下「本願部分」とい。)と引用意匠のそれに相当する部分(以下「引用部分」という。)について,その用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲を対比し,それらを踏まえて,本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の形態を対比する。

1.共通点及び相違点の認定
(1)共通点の認定
意匠に係る物品については,両意匠ともに「包装用容器」であるから一致し,また,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲については,両部分が,ともに液体を入れて販売等において包装用容器として使用する容器本体のうち,本体上下中央よりやや上の位置から注出口の下端までの周側面(円錐台状部分)の全領域であるから,共通する。
そして,形態については,主に以下の(A)及び(B)の点が共通する。
(A)周側面を直線的な傾斜状とし,その傾斜状周側面の全周にわたり複数の同形同大の略逆笏(しゃく:束帯着用の際,右手に持つ細長い板片)形状の区画が密に平面視放射状に表れている。
(B)略逆笏形状の区画内に梨地模様が施されている。

(2)相違点の認定
形態について,主に以下の(a)ないし(g)の点が相違する。
(a)傾斜状周側面の高さと下端の直径の比率について,本願意匠は約2対3とするものであるのに対して,引用意匠は約1対1とするものである。
(b)傾斜状周側面の傾斜角について,本願意匠は約60度とするものであるのに対して,引用意匠は約75度とするものである。
(c)略逆笏形状の区画単位の面形状について,本願意匠は浅い凹状面とするものであるのに対して,引用意匠は凹状面であると特定することができるものではなく,図面を見る限り凹凸のない平坦な面とするものである。
なお,請求人も審判請求書において,引用意匠の当該区画単位の面形状について一義的に定めることが難しい旨指摘するところであるが,斜視図から当該区画が凸状面に見えたとしても,その他の図とは整合せず,また,凹状面として見ようとしても,凹状面であることを決定づける図がなく,強いていえば前述のとおり凹凸のない平坦な面と認定せざるを得ない。
(d)略逆笏形状の区画の周囲について,本願意匠は凸状の突出部からなる余地部が表れているものであるのに対して,引用意匠は下端には余地部(凸状の突出部ではない余地部)があるものの,左右の区画との境界や上端には余地部が表れていないものである。
(e)略逆笏形状の区画単位の形状について,本願意匠は上下両端を凸弧状とするものであるのに対して,引用意匠は胴部寄り端部を凸弧状,口部寄りを水平線状とするものである。
(f)略逆笏形状の区画の個数について,本願意匠は18個とするものであるのに対して,引用意匠は16個とするものである。
(g)梨地模様の範囲について,本願意匠は略逆笏形状の区画内だけでなく,その周囲の余地部にも一様に梨地模様を施したものであるのに対して,引用意匠は略逆笏形状の区画内だけに梨地模様を施したものである。

2.共通点及び相違点の評価
以下,共通点及び相違点が存在する形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。
(1)共通点についての評価
共通点(A)及び(B)は,いずれも概括的であり,具体的な態様には前述のとおり相違点が存在するものであるから,これらの共通点が両部分の形態の類否判断の及ぼす影響を大きく評価することはできない。

そうすると,これらの共通点が両意匠の類否判断を決するものであるとは,いえない。

(2)相違点についての評価
相違点(a)は,傾斜状周側面の高さと下端の直径の比率についての相違であるが,どちらの態様も当該物品分野の意匠において顕著な特徴があるものとはいえないものの,目立つ相違であるから,相違点(a)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。
相違点(b)は,傾斜状周側面の傾斜角についての相違であるが,どちらの態様も当該物品分野の意匠において顕著な特徴があるものとはいえないものの,相違点(a)と相俟って強調されるため,相違点(b)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。
相違点(c)は,略逆笏形状の区画単位の面形状の相違であるが,両部分において当該区画が占める割合は大きく,凹状面であるのか平坦な面であるかの相違は基本的な構成態様にも影響を与えるものであるから,相違点(c)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点(d)は,略逆笏形状区画の周囲の余地部の有無についての相違であるが,本願意匠は当該区画の周囲に僅かではあるものの明確に余地部が表れており,当該区画の面形状を凹状面とした点と相俟って,余地部を傾斜面の地の部分とし,そこに複数の略逆笏形状の凹部を形成したもの,つまり,円錐台状部の周側面に凹状面の略逆笏形状区画を複数形成したものとの印象を与えるのに対して,引用意匠は当該区画の左右に余地部がなく(下端にしか余地部がなく),当該区画の断面形状も凹凸のない平坦な面であるから,円錐台状部に単に略逆笏形状の模様を連続的に施したもの,あるいは複数の面(16面)によって形成したものとの印象を与えるから,相違点(d)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点(e)は,略逆笏形状の区画単位の形状の相違であるが,先細りした上端を凸弧状としたか水平線状としたかのわずかな相違であるから,相違点(e)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。
相違点(f)は,略逆笏形状の区画の個数の相違であるが,18個か16個かという相違であるから,相違点(f)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。
相違点(g)は,梨地模様の範囲の相違であるが,余地部にも梨地模様が施されているか否かの相違であって,本願意匠の余地部に施された梨地模様も目立つものではないから,相違点(g)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。

そうすると,特に相違点(a)ないし(d)が相俟って,更に,その他の相違点も総合すると,相違点は,両部分の形態に異なる視覚的印象を看者に与えるものであり,両意匠の類否判断を決するものである,といえる。

3.類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置等についても共通するものであるが,両部分の形態の相違点が相俟って生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕するものであって,看者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおり,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-02-29 
出願番号 意願2015-1883(D2015-1883) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 鶴田 愛山永 滋 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 正田 毅
江塚 尚弘
登録日 2016-04-22 
登録番号 意匠登録第1550271号(D1550271) 
代理人 青木 篤 
代理人 水野 みな子 
代理人 川崎 典子 
代理人 鶴田 準一 
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