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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 J7
管理番号 1315716 
審判番号 不服2016-1364
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-29 
確定日 2016-06-21 
意匠に係る物品 医療用画像表示器 
事件の表示 意願2015- 11414「医療用画像表示器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,本意匠を意願2015-11415号(意匠登録第1543079号)(以下,「本意匠」という。)とする関連意匠の意匠登録出願として,平成27年(2015年)5月25日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「医療用画像表示器」とし,その物品の操作の用に供される画像であり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び本意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。
その具体的な理由として,本願意匠と願書記載の本意匠とは,意匠登録を受けようとする部分について,分割態様が共通し,また,右側帯状領域内の上部に円形の操作部を設けた点についても共通する。
しかしながら,この種操作画像において,両意匠の分割態様(右側を帯状に区切り操作部とし,左側全体を複数に分割した態様)はありふれているのに対し,両意匠は円形の操作部の数が異なり,また操作部の具体的形態も大きく異なり,意匠登録を受けようとする部分全体として比較した場合,需要者に起こさせる美感の差が顕著である,としたものである。

本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)5月25日に出願されたものであって,平成28年(2016年)1月8日に意匠権の設定の登録がなされた意願2015-11415号(意匠登録第1543079号)の意匠であって,その意匠は,意匠に係る物品を「医療用画像表示器」とし,その物品の操作の用に供される画像であり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本意匠において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本意匠実線部分」という。)としたものである。(別紙第2参照)

3.本願意匠と本意匠(以下,「両意匠」という。)の対比
そこで,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて,以下検討する。
(1)意匠に係る物品
両意匠を対比すると,両意匠は,いずれも,粒子線治療に用いられる,粒子線の照射位置を設定するための操作画面を有する「医療用画像表示器」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品が一致する。
(2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願実線部分と本意匠実線部分(以下,「両部分」という。)は,いずれも粒子線の照射位置を設定する際の操作の用に供される画像であり,横長長方形の表示画面に表され,左側に表示部分,右側やや上方寄りに操作部となる部分を設けた部分であって,部分意匠としての用途及び機能は一致する。
また,位置,大きさ及び範囲についても,両部分は,いずれも表示画面の上方寄りの帯状の余地部以外の部分を部分意匠として意匠登録を受けようとする部分としたものであって,部分意匠としての位置,大きさ及び範囲は,共通する。
(3)形態
両部分の形態については,主として,以下の共通点及び差異点が認められる。
(3-1)共通点
(A)部分全体を横長長方形状の枠内において右側に縦長帯状の区画(以下,「縦長帯状区画」という。)を設け,左側を上下左右に2等分して4個の横長長方形状の表示区画とし,縦長帯状区画内の上方寄り約1/3の位置に操作部を配した点,
(B)操作部は円形キーで,その内側に上下,左右,斜め方向を示す矢印に用いられる三角形状の楔型の印(以下,「楔型の印」という。)が設けられている点,
において主に共通する。
(3-2)差異点
(ア)操作部の態様について,本願実線部分は,操作部の円形キーが縦長帯状区画の上方中央に1個あるのに対して,本意匠実線部分は,操作部の円形キーが縦長帯状区画の上方の左右に2個並列されている点,
(イ)円形キー内の区画態様において,本願実線部分は,中央が丸い十文字状を円形キーの内側一杯に配し,上下左右の四隅の扇型として区画しているのに対して,本意匠実線部分は,区画のないものを左側に,中央に小型円形を配した二重円状に区画したものを右側に配している点,
(ウ)楔型の印の態様について,本願実線部分は,丸い十文字状の内側において,太い楔型の印を上下左右の外側寄りに頂点を外方に向けて配し,その中心寄りに細い楔型の印を上下左右に太いものと同じ向きに配し,丸い十文字状の外側の扇型の区画の中央において,上方の左右には細い楔型の印の頂点を外方斜め下向きに,下方の左右には太い楔型の印の頂点を内方斜め下向きに配しているのに対して,本意匠実線部分は,左側の操作部には,太い楔型の印を上下左右の外側寄りに頂点を外方に向けて配し,その中心寄りに細い楔型の印を上下左右に太いものと同じ向きに配し,右側の操作部には,小型円形の外側上下左右の四隅において,上方の左右には細い楔型の印の頂点を外方斜め下向きに,下方の左右には太い楔型の印の頂点を内方斜め下向きに配している点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,一致する。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。
(3)形態
(3-1)共通点
そこで両部分の形態について検討するに,まず,前記共通点(A)については,部分全体の基本構成に係るものであるが,両部分は,部分全体を横長長方形状の枠内において右側に縦長帯状区画を設け,左側を上下左右に2等分して4個の横長長方形状の区画とした態様が共通するが,このような分割態様は,他にも見受けられる,ありふれた態様といえるもので,両部分のみの格別の特徴ということができず,また,操作部を縦長帯状区画内の上方寄り約1/3の位置にした態様については,単純な形状の操作部を上方寄りに配したからといって,その操作部の存在によって,両部分の全ての態様が共通する印象を有する程のものであるとまではいうことができず,この共通点が両部分の類否判断に与える影響は微弱なものに過ぎないものである。
次に,共通点(B)については,操作部が円形キーで,その内側に楔型の上下,左右,斜め方向を示す楔型の印が設けられている点が共通しているが,操作部を円形キーとすることは,ありふれた態様といえるもので,両部分のみに認められる格別特徴のある態様とはいえず,また,方向を示す印として,矢印に用いられる三角形状である楔型を使用することも,方向を示す場合に各種操作部に用いられる態様であるから,円形の操作部に方向を示す楔型の印が設けられている点をもって,両部分全体が共通する印象を持つ程のものとはいえないものであるから,この共通点が両部分の類否判断に与える影響は微弱なものに過ぎないものである。
そうして,これらの共通点が全体として両部分の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
(3-2)差異点
これに対し,差異点(ア)の操作部の態様における差異については,当該部分の全体に占める割合が大きくないとしても,この種の画像表示器を使用する際には,操作部の具体的態様が需要者の関心を強く惹く部分であり,操作部の円形キーが縦長帯状区画の上方中央に1個ある本願実線部分と,操作部の円形キーが縦長帯状区画の上方の左右に2個並列されている本意匠実線部分とでは,個数と配置が明確に異なり,そのことが需要者に与える部分全体の印象を異ならせるものであるから,その差異は,両部分の類否判断に影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)の円形キー内の区画態様についても,中央が丸い十文字状を円形キーの内側一杯に配し,上下左右の四隅の扇型として区画している本願実線部分の態様は,他にあまり見られない複雑で特徴的な態様であり,区画のないものを左側に,二重円状のものを右側に配した本意匠実線部分とでは,需要者に与える印象を大きく異ならせるものであり,差異点(ア)と相俟って,無視できない態様といえ,その差異は,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)の楔型の印の態様の差異についても,本意匠実線部分の二つの操作部に表された区画を変更し,二つの操作部に表された楔型の印をその方向を同じにしたまま一つにまとめて複合したものが本願実線部分の態様といえなくもないが,そもそも,本意匠実線部分と個数も配置も異なる上に,その区画を変更している本願実線部分の態様は,扇型があることで円形キーの態様が異なる印象を与えるもので,さらに楔型の印の具体的態様がいずれとも異なるものであるから,複雑に見える本願実線部分と,単純ですっきり見える本意匠実線部分とでは,需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の類否判断に影響を与えるものといえる。
そうすると,両部分の形態における共通点は,その視覚に訴える意匠的効果としては格別の評価ができないものであるのに対し,両部分の形態における差異点は,需要者の注意を強く惹き,別異の美感を起こさせるものであり,その視覚に訴える意匠的効果を無視することができないものであるから,差異点が共通点を凌駕し,両部分は,類似しないものと認められる。
(4)小括
以上のとおり,本願意匠と本意匠は,出願人及び出願日に関して意匠法第10条第1項の要件を満たし,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途及び機能が一致し,位置,大きさ及び範囲が共通するものであるが,両部分の形態において,差異点が共通点を凌駕し,それらが両部分全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。
なお,原査定の拒絶の理由によると,本願意匠は,願書に記載された本意匠に類似する意匠とは認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとして,拒絶すべきものとする査定を受けたものである。
これに対し,本件審判の請求と同日の平成28年(2016年)1月29日に請求人により提出された手続補正書によって,本願の「本意匠の表示」の欄を削除する補正がなされた。
したがって,原審の拒絶の理由は既に解消されており,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

5.むすび
したがって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-06-06 
出願番号 意願2015-11414(D2015-11414) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (J7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木村 智加 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 斉藤 孝恵
正田 毅
登録日 2016-07-01 
登録番号 意匠登録第1555195号(D1555195) 
代理人 稲葉 忠彦 
代理人 村上 加奈子 
代理人 松井 重明 
代理人 倉谷 泰孝 
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