ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 C3 |
---|---|
管理番号 | 1317029 |
審判番号 | 不服2012-13019 |
総通号数 | 200 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-07-09 |
確定日 | 2013-06-11 |
意匠に係る物品 | 電気洗濯乾燥機 |
事件の表示 | 意願2011-12007「電気洗濯乾燥機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成23年(2011年)5月30日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「電気洗濯機」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下,「本願実線部分」という。)である。」としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び協議対象意匠 本願意匠は,同一の出願人が同日に出願した意願2011-012008号の意匠(以下,「協議対象意匠」という。)と同一又は類似のものと認められ,意匠法第9条第2項前段の規定に該当するので,意匠法第9条第5項の規定に基づき,協議指令を行ったところ,この指令の趣旨に添う届け出がないため,意匠法第9条第6項の規定により協議が成立しなかったものとみなされ,意匠法第9条第2項後段の規定により意匠登録を受けることができないとされたものである。 なお,当審において,本願実線部分と対比する協議対象意匠の意匠登録を受けようとする部分を以下,「協議対象実線部分」という。(別紙第2参照) 第3 両意匠の対比 1.意匠に係る物品 本願意匠と協議対象意匠の意匠に係る物品は,ともに「電気洗濯機」であり,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 2.本願実線部分と協議対象実線部分 本願実線部分と協議対象実線部分は,ともに電気洗濯機の開閉扉とその取っ手部分であって,その「用途及び機能」並びに「位置,大きさ,範囲」は一致する。 3.両意匠の形態 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 (1)共通点 両意匠は, (A)開閉扉について (A-1)正面視において,開閉扉の前面を円形とし,開閉扉手前方向に膨らむ丸みを持たせ, (A-2)開閉扉洗濯槽側の背面を略円錐台形とし,当該円錐台形の上方よりに,開閉扉前方向へ傾斜するテーパー面を設け, (B)取っ手について 正面視において,円形の開閉扉の周縁部の右斜め上方位置に小さな略半円形状の持ち手部が突出した, という点において共通する。 (2)差異点 他方,両意匠の取っ手について,本願意匠は,開閉扉の背面側周縁部に接合された板状の取っ手部材を開閉扉側面に添って垂直に立ち上げ,その後開閉扉外側方向に屈曲させた後,正面視したときに略半円形状の持ち手部を略水平に構成し,開閉扉の外側に向けて取っ手部を屈曲させることにより,開閉扉の周縁部と取っ手の間に隙間が視認できるのに対し,協議対象意匠では,開閉扉の背面周縁部に接合された板状の取っ手部材を開閉扉側面に添って垂直に立ち上げ,側面視すると当該部材に対して略T字状となるように略半円形状の持ち手部を接合させ,持ち手部の内側縁部が開閉扉の周縁部より内側にやや突き出る構成としており,正面視したときに開閉扉の周縁部と持ち手部内側周縁がやや重なり,両者の間に隙間が生じないようにしている点において差異がある。 第4 類否判断 両意匠は,意匠に係る物品が一致し,本願実線部分と協議対象実線部分について,その「用途及び機能」,並びに「位置,大きさ,範囲」が一致するが,形態については以下のとおりである。 1.共通点の評価 共通点(A-1)は,この種ドラム式の電気洗濯機の開閉扉には広く見られる形状であり,また,(A-2)についても,洗濯物の撹拌や乾燥時の空気の流れをスムーズにするという機能的な要請より形成されるテーパー面であり,種々のテーパー面の大きさや角度の態様が広く見られ,かつ,使用時には開閉扉が閉じられ裏側に隠されてしまうものであり,類否判断を左右するほどの大きな特徴とはいえない。 共通点(B)については,取っ手の持ち手部の形状を略半円形状とした点は,通常使用時に手を触れる部分であり,需要者が注意を払う部分ではあるが,取っ手部を正面から見たときに把握される共通点であり,類否判断に与える影響は限定的である。 2.差異点の評価 これに対して,取っ手における,本願意匠の一部材を屈曲させて開閉扉外側に突出させた取っ手とし,開閉扉の周縁部と取っ手の間に隙間が視認できるようにした態様と,協議対象意匠の板状の取っ手部材を開閉扉側面に添って垂直に立ち上げ,当該部材に対して略T字状となるように略半円形状の持ち手部を接合させ,正面視したときに開閉扉の周縁部と持ち手部内側周縁がやや重なり,両者の間に隙間が生じないようにしているという両意匠の差異点は,実際の使用時に手にする部分における差異であり,かつ通常使用時に需要者が観察する正面あるいは斜め上方から見たときに顕著に認識される差異であって,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 3.小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,本願実線部分と協議対象実線部分について,「用途及び機能」並びに「位置,大きさ,範囲」が一致するが,形態において,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は限定的であるのに対して,差異点は両意匠の類否判断に与える影響が大きく,意匠全体として見た場合,本願意匠は協議対象意匠に類似するとはいえない。 第5 むすび 以上のとおりであって,本願は,意匠法第9条第2項後段の規定により拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2013-05-30 |
出願番号 | 意願2011-12007(D2011-12007) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(C3)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 住 康平、小柳 崇 |
特許庁審判長 |
原田 雅美 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 川崎 芳孝 |
登録日 | 2013-07-19 |
登録番号 | 意匠登録第1477157号(D1477157) |
代理人 | 井上 学 |