• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1317038 
審判番号 不服2016-2421
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-17 
確定日 2016-06-21 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2015- 7126「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)3月31日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願の出願前の平成19年(2007年)4月27日に特許庁意匠課が公知資料(インターネット情報)として受け入れた,キリンビバレッジ株式会社のホームページ(掲載ページアドレス:http://www.beverage.co.jp/company/news/news/2007031301/)に掲載の「包装用容器」(蓋及びラベルを除く)の意匠であり,その形態は,同ホームページに掲載の写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。

1.共通点及び相違点の認定
(1)共通点の認定
意匠に係る物品については,両意匠ともに「包装用容器」であるから,一致する。
その形態については,主に,以下の(A)ないし(E)の点が共通する。
なお,開口部の上端から付け根までの部分を「口部」,口部付け根から正面視略台形状に広がる部分を「肩部」,肩部下端から底部寄りの尻すぼみした部分の上端(切り込み部の上端)までの部分を「胴部」,底部寄りの尻すぼみした部分を「脚部」とし,肩部,胴部及び脚部を合わせて「本体部」とする。
(A)全体が,小径の略短円筒形状の口部,略中空円錐台形状の肩部,略円筒形状の胴部及び凹凸形状の脚部から成るものであり,全体の高さと胴部の横幅の比率を,約3対1としたものである。
(B)口部は,略円筒形状とし,周側面の付け根寄りに鍔状部を一つ設けたものである。
(C)肩部は,緩やかな凸弧状の傾斜面としたものである。
(D)胴部は,帯状の縮径部を設けたものであり,縮径部の縦幅は胴部の横幅よりやや長くしたものである。
(E)脚部は,正面視において,底面に向けてすぼまったものであり,その上端から底面中央に向けて等間隔に切り込まれた略逆V字状の5つの凹溝部によって,略逆等脚台形状(接地面となる下底の長さは胴部の横幅の約6分の1,上底の長さは胴部の横幅の約5分の3)の突出部が5本形成され,底面視花弁状に表れているものである。また,突出部は内側全体が凹状に形成され,その外縁寄りが接地部となっている。(なお,引用意匠の脚部については,その写真には突出部のすべてが表れていないが,この種の脚部を備えた容器において,突出部の全てを同形状とし,等間隔に配置したものが一般的であることを前提にすれば,前記上底の長さを胴部の径の約5分の3の長さとする突出部は,ちょうど5本配置できることから,前述のとおり推認した。)

(2)相違点の認定
物品の形態について,主に,以下の(a)ないし(e)の点が相違する。
(a)本体部の肩部,胴部及び脚部の構成比率について,本願意匠は約4対9対3とするものであるのに対して,引用意匠は約5対8対2とするものである。
(b)口部の周側面について,本願意匠は鍔状部の上方に環状凸部及び隙間を備えた螺旋状のねじ山が形成されているものであるのに対して,引用意匠は鍔状部の上方にキャップが被せてあり,該部位の形態は不明なものである。
(c)肩部の傾斜角度について,それぞれの肩部上端の位置と肩部下端の位置とを結ぶ仮想線を計測すると,本願意匠は約60度としたものであるのに対して,引用意匠は約70度としたものである。
(d)胴部について,本願意匠は肩部寄りに胴部の縦幅の約7分の1の縦幅の余地部を残して縮径部を設けたものであるのに対して,引用意匠は肩部の直下に縮径部を設けたものである。
(e)脚部の形状について,本願意匠は各突出部の底面の形状を略しずく形状とし,その突出部に囲まれた凹状部の中央部分を平坦面としたものであるのに対して,引用意匠は,各突出部の底面の形状及び突出部に囲まれた凹状部の中央部分の形態は不明なものである。

2.共通点及び相違点の評価
以下,共通点及び相違点が存在する形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。
(1)共通点についての評価
共通点(A)ないし(E)からなる態様は,いずれも大まかに捉えた態様の共通点にすぎず,これらの共通点が相俟っても両意匠の類否判断を決するものであるとはいえない。

(2)相違点についての評価
相違点(a)は,本体部における各部の占める割合についての相違であるが,本願意匠は,肩部に比べ胴部の長さが目立つものであるのに対して,引用意匠は,胴部に比べ肩部の長さが目立つものであり,当該相違は全体の基本的な構成態様に大きな影響を及ぼすものであるから,相違点(a)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点(b)は,口部の周側面の態様についての相違であるが,引用意匠にも螺旋状のねじ山があるものと推認でき,ねじ山の態様が相違していたとしても,細部の相違に過ぎないものといえるから,相違点(b)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
相違点(c)は,肩部の傾斜角度についての相違であるが,相違点(a)や相違点(d)と相俟って全体の基本的な構成態様に影響を及ぼす相違であるから,相違点(c)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。
相違点(d)は,胴部の肩部寄りの態様についての相違であるが,本願意匠にのみ見られる余地部の有無は,肩部から胴部にかけての態様に大きな影響を及ぼす相違であって,全体の基本的な構成態様に一定程度の影響を及ぼすものといえるものであるから,相違点(d)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。
相違点(e)は,脚部の底面についての相違であるが,通常目に触れにくい部分であって注目されるものではなく,引用意匠の態様が一部不明であったとしても,両意匠の相違点は,いずれも5つの突出部をもつ底面における細部の相違に過ぎないものであるといえるから,相違点(e)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

そうすると,相違点(a),(c)及び(d)が相俟って,本体部上方の態様が大きく相違し,全体の基本的な構成態様が大きく相違するものといえるものであって,その余の相違点の及ぼす影響が小さいものであるとしても,これらの相違点を総合すると,両意匠の相違点は,両意匠の態様に異なる視覚的印象を看者に与えるものであるから,両意匠の類否判断を決するものであるといえる。

3.類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するものの,両意匠の相違点が相俟って生じる視覚的効果は,両意匠の共通点のそれを凌駕するものであって,看者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおり,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-06-03 
出願番号 意願2015-7126(D2015-7126) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 鶴田 愛山永 滋 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
正田 毅
登録日 2016-07-15 
登録番号 意匠登録第1556368号(D1556368) 
代理人 村松 由布子 
代理人 杉村 憲司 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ