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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2014880019 審決 意匠
不服201423233 審決 意匠
不服201424574 審決 意匠
不服20153322 審決 意匠

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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1318114 
審判番号 不服2016-1855
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-05 
確定日 2016-08-05 
意匠に係る物品 イヤホンコード用結束具 
事件の表示 意願2015- 1147「イヤホンコード用結束具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成27年(2015年)1月23日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「イヤホンコード用結束具」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁特許情報課が平成18年(2006年)10月5日に受け入れた2006年8月3日に大韓民国特許庁が発行した大韓民国意匠商標公報06-39号(登録番号30-0421138号)に掲載された「コード線結束用掛け金」の意匠(以下,「引用意匠」という。)(特許庁意匠課公知資料番号HH18462518号)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「イヤホンコード用結束具」であり,引用意匠は,「コード線結束用掛け金」であるが,いずれもコードを結束して使用するために用いられる結束具であって,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
なお,両意匠を対比するため,引用意匠の平面図を本願意匠の正面図の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定し,対比する。
(1)共通点
(A)全体を,平面及び底面を略長円形状とした略直方体状とし,平面及び底面にコードを通すための平面視円形状の貫通孔を2つ(以下,この部分を「貫通孔部」という。)設けている点,
(B)貫通孔部の片方において,平面視略鍵穴状の開口部とし,その円形状孔から側面外周方向に向かって,側面上端から下端まで全高にわたり細帯状に開口するスリットを設けている点,
において主に共通する。
(2)差異点
(ア)正面視形状について,本願意匠は,上下を凸弧状に丸めた形状であるのに対して,引用意匠は,上下が平坦面状である点,
(イ)正面視の縦横比について,本願意匠は,上下の最大高さと左右の最大幅の比が,約1:0.8で縦長であるのに対して,引用意匠は,約1:1.6で横長である点,
(ウ)貫通孔部の態様について,本願意匠は,同径の円筒形状の貫通孔を2つ設け,いずれも平面視した全体の縦幅の約2/5の大きさの貫通孔を設けているのに対して,引用意匠は,一方を底面側と平面側とで径の大きさが異なる貫通孔とし,底面側に底面視した全体の縦幅の約2/5の大きさの貫通孔を設け,平面側には平面視した全体の縦幅の約2/3の大きさの貫通孔を設け,開口部のあるもう一方には,平面視した全体の縦幅の約2/3の大きさの貫通孔を設けている点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)については,この種物品の機能を担う全体の基本構成ではあるが,全体を,平面及び底面を略長円形状とした略直方体状とし,平面及び底面にコードを通すための平面視円形状の貫通孔を2つ設けた態様は,この種の物品分野においては両意匠以外にも既に普通に見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,また,両意匠の各部位には差異点が多数見受けられ,全体の基本構成が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)についても,貫通孔部の片方において,平面視略鍵穴状の開口部とし,その円形状孔から側面外周方向に向かって,側面上端から下端まで全高にわたり細帯状に開口するスリットを設けている態様が共通しているが,両意匠のように側面上端から下端まで開口するスリットを設けたイヤホン用のホルダーが他にも見受けられ(例えば,参考意匠:公開実用新案公報平2-49297号の音声伝送用コードの第4図に表されたホルダーの意匠:別紙第3参照),さほど特徴のある態様とはいえないものであり,略鍵穴状に開口するスリットを設けた点が両意匠のみに共通する態様とはいえず,円形状の貫通孔と略鍵穴状の開口部を組み合わせたとしても,いずれもありふれた態様を並列させたものであるから,それが両意匠のみの格別の特徴とはいえず,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,まず,差異点(ア)の正面視形状について,上下を凸弧状に丸めた形状については,部分的な特徴ではあるが,この種の物品分野において,本願意匠と同様の正面視形状を有するものが他に見当たらず,本願意匠のみに見られる特徴といえるものであるから,両意匠の正面視した印象が異なるもので,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)の正面視の縦横比については,縦長か横長かについては,いずれもありふれた態様といえるものであるので,類否判断にさほど大きな影響を与えるものとはいえないが,縦長の本願意匠と横長の引用意匠は,見た目の印象が明確に異なるものであり,その差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)の貫通孔部の態様について,同径の円筒形状の貫通孔を2つ設け,いずれも平面視した全体の縦幅の約2/5の大きさの貫通孔を設けている本願意匠は,貫通孔部がやや小さめで単純な構造であるのに対して,一方を底面側と平面側とで径の大きさが異なる貫通孔とし,底面側に底面視した全体の縦幅の約2/5の大きさの貫通孔を設け,平面側には平面視した全体の縦幅の約2/3の大きさの貫通孔を設け,開口部のあるもう一方には,平面視した全体の縦幅の約2/3の大きさの貫通孔を設けている引用意匠は,貫通孔部がやや大きめで複雑な構造である印象を与えるもので,需要者に与える印象が明らかに異なっており,本願意匠の貫通孔部は,引用意匠とは,視覚的な印象を異ならせるものといえ,この種の物品分野においては,貫通孔部の態様は,需要者の注意を強く惹く部分であるから,その差異は,両意匠の類否判断に相当程度の影響を与えるものといえる。

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-07-26 
出願番号 意願2015-1147(D2015-1147) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 藤原 宗久良 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 斉藤 孝恵
正田 毅
登録日 2016-08-19 
登録番号 意匠登録第1559010号(D1559010) 
代理人 西村 啓一 
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