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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D4
管理番号 1319236 
審判番号 不服2016-2140
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-12 
確定日 2016-08-30 
意匠に係る物品 加湿空気清浄機 
事件の表示 意願2014- 8522「加湿空気清浄機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2013年(平成25年)10月21日の域内市場における調和のための官庁への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成26年(2014年)4月18日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「加湿空気清浄機」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,2013年6月4日に欧州共同体商標意匠庁が発行した 欧州共同体意匠公報に掲載の空気清浄機(登録番号002118869-0001)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH25203259号)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「加湿空気清浄機」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「空気清浄機」であって,表記は異なるが,総合的に判断すれば,共に空気から不要物質を取り除くなどして循環させ,屋内の空気環境を整えるものであるから本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。
(2)両意匠の形態
意匠の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。(以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。)
ア 共通点
両意匠は,基本的構成態様として,以下の共通点が認められる。
(A)全体は,本体部と短脚部及び板状台座部からなり,本体部は,正面視略縦長方形状で,厚みが薄い略直方体形状の背面の約半ばより下方に略倒四角錐台形状を一体化させたような段状に形成した態様としたものであって,上方の厚みの薄い部分には貫通孔を設け,本体最下部に短脚部と板状台座部を設けた点。
また,両意匠は,具体的形態として,以下の共通点が認められる。
(B)上方の貫通孔部は正面開口部が略円状で貫通孔内壁はテーパーのついた略環状で背面開口部は正面開口部と同形で一回り小さいものである点。
(C)正面全面及び背面の約半ばより上方の面態様において側面より前後にやや膨出した面態様となっている点。
(D)正面視において角部が丸みを帯びた隅丸状に形成されている点。
イ 相違点
一方,両意匠は,具体的形態として,以下の相違点が認められる。
(a)上方の貫通孔について,開口部形状(正面及び背面)は,本願意匠は,横長の略長円形状であるのに対し,引用意匠は,円形状であり,正面視より観察可能な貫通孔内壁面に引用意匠は多数の細孔が開口側周縁部を除いて配されているのに対し本願意匠はそのような細孔は配されていない点。
(b)最下部の短脚部と板状台座部について,本願意匠は短脚部の幅が横幅の約2分の1と広く,板状台座部もやや幅広の底面視丸みを帯びた略台形板状であるのに対して,引用意匠は短脚部は横幅に対し約5分の1と細幅で,板状台座部もやや幅の狭い円形板状である点。
(c)正面視おいて角部が丸みを帯びた隅丸状に形成されている点において本願意匠は丸みの大きいものであるのに対し,引用意匠は丸みの小さいものである点。

2.両意匠の類否
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価及び総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
(1)意匠に係る物品
前記認定のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は共通する。
(2)形態の共通点の評価
共通点(A)の全体形状については,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の基本的構成態様の共通点に過ぎないものであり,さらに,「加湿空気清浄機」を含む「空気清浄機」の分野においては,全体形状が,台座のある正面視略縦長方形状で,約半ばより上方は厚みが薄く,約半ばより下方は背面が段状で厚みの厚い縦長側面視台形状直方体形状とし,上方に貫通孔を設けたものは,よく見受けられるものでもあって,この点のみをもって両意匠の類否判断を決するということはできない。また,共通点(B)上方の貫通孔部は正面開口部と背面開口部は同形で一回り小さいものであって貫通孔内壁はテーパーのついた略環状である点は,「加湿空気清浄機」を含む「空気清浄機」の分野においては,これもまた,よく見受けられる態様であって類否判断に与える影響は小さいものである。加えて,共通点(C)及び(D)については「加湿空気清浄機」を含む「空気清浄機」の分野に限らず,空調機器などにおいて極めて普通に行われているところの丸みのある印象に加工する面部及び角部の加工手法の一つであるから,これら共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
したがって,共通点(A)ないし共通点(D)は,いずれも両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さいものであって,これら両意匠の形態の共通点を総合しても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
(3)形態の相違点の評価
これに対して,相違点(a)の上方の貫通孔の態様について,貫通孔内壁部の多数の細孔の有無は,「加湿空気清浄機」を含む「空気清浄機」の分野においては,あるものも無いものもよく見受けられるものであって,それのみでは,類否判断に与える影響はさほど大きいとはいえない。しかしながら,本願意匠の開口部形状(正面及び背面)が,横長の略長円形状であるのに対し,引用意匠は,円形状である点については,開口部形状(正面及び背面)は,正面上部から背面に抜ける貫通孔部という極めて目につきやすい看者が注意を払う箇所の形状の相違であって,まったくの円形状孔か明らかにつぶれた長円形状孔かの点は,視覚的にも一見してその相違を看取できるものでもあって,この点が類否意判断に与える影響は大きいものである。
また,相違点(b)は,最下部の短脚部及び板状台座部の相違であって,あまり目立つ箇所とはいえないものの,本願意匠は短脚部の幅が横幅の約2分の1と広く,板状台座部もやや幅広の底面視丸みを帯びた略台形板状であるのに対して,引用意匠の短脚部は横幅に対し約5分の1と細幅で,板状台座部もやや幅の狭い円形板状である点は,横幅に対する脚部幅及び台座部の形状についての具体的相違に係り,短脚部については幅差も大きく,板状台座部については,全く形状を異にするものであるから,類否判断に一定程度の影響のあるものと認められる。
そして,相違点(c)は,正面視における角部の丸みの大小についてであって,角部に丸みを施すことは「加湿空気清浄機」を含む「空気清浄機」の分野に限らず,空調機器などにおいても極めて普通に行われている丸みのある印象に加工する角部の加工手法の一つであるところ,その丸み態様において大きな丸みのものも小さな丸みのものも共にごく普通に見受けられるありふれた態様であって,この共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
そうすると,相違点(c)が両意匠の類否判断に与える影響は大きくないとしても,相違点(a)は,両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きく,相違点(b)は両意匠の類否判断に及ぼす影響が一定程度あるものであって,これらの相違点を総合すると,両意匠を別異のものと印象付けるのに十分であるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。

3.小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するものの,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4.むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-08-16 
出願番号 意願2014-8522(D2014-8522) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 越河 香苗 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 刈間 宏信
渡邉 久美
登録日 2016-09-30 
登録番号 意匠登録第1562047号(D1562047) 
代理人 津軽 進 
代理人 笛田 秀仙 
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