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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B7
管理番号 1319237 
審判番号 不服2016-7457
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-21 
確定日 2016-09-12 
意匠に係る物品 ヘアアイロン用バレル 
事件の表示 意願2015- 15499「ヘアアイロン用バレル」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成27年(2015年)7月13日に出願された意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)を,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ヘアアイロン用バレル」とし,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものであって,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表している。二点鎖線は,意匠登録を受けようとする部分とそれ以外の部分との境界のみを表すものである」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)は,本願出願前,特許庁普及支援課が2013年5月20日に受け入れた,大韓民国意匠商標公報2013年4月15日13-11号の電気ヘアーアイロン用ブラシ(登録番号30-0689169)の意匠における本願意匠に相当する部分の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH25416818号)であって,その形態は,当該雑誌に所載された写真版に現されたとおりのものである(以下,本願部分に相当する部分を「引用部分」といい,本願部分と合わせて「両意匠部分」という。)。(別紙第2参照)


第3 当審の判断
1.両意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「ヘアアイロン用バレル」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「電気ヘアーアイロン用ブラシ」であるが,いずれも,ヘアアイロンに装着するブラシ状のアタッチメントであるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。

(2)両意匠部分の部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
両意匠部分は,いずれもヘアアイロンのブラシ状の表面に位置し,円筒形状本体の円周表面の円周方向に,放射状に規則的に多数の突起を設けたものの,中央よりやや先端寄りの円周方向約1/5,円筒の縦方向約1/10を占める矩形状面であって,突起部を含む部分であるから,両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。

(3)両意匠部分の形態
両意匠部分の形態については,主として,以下の通りの共通点及び相違点がある。

(3-1)共通点
基本的構成態様として,円筒形状本体の円周表面の矩形状面に,放射状に2本の突起を2列に平行に並べ,その4本の突起部の中央に,1本の突起を規則的に設けた態様が共通している。
具体的構成態様として,長い突起部の形状を細長棒状として先端を略球状とした点,短い突起部の形状を略円錐形状とした点,が共通している。

(3-2)相違点
具体的構成態様として,
(ア)本願部分の短い突起部の形状は,底面が扁平な略楕円錐で先端を丸めたものであるのに対し,引用部分の形状は,底面が円形の細長い円錐の先端を略半球状に丸めたものである点,
(イ)本願部分の短い突起部の高さは,長い突起部の約1/2としているのに対し,引用部分の高さは,長い突起部の約7/10としたものである点,
において主な相違が認められる。

2.両意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が,両意匠部分の類否判断に及ぼす影響を評価及び総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

(1)両意匠の意匠に係る物品,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の評価
両意匠は,意匠に係る物品,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通する。

(2)両意匠部分の形態についての共通点の評価
共通点については,部分全体としてみた場合には,基本的構成態様として,円筒形状本体の円周表面の矩形状面に,放射状に2本の突起を2列に平行に並べ,その4本の突起部の中央に,1本の突起を規則的に配した態様は,この種の物品分野においては,ありふれた態様といえるものであり,具体的構成態様として,長い突起部の形状を細長棒状として先端を略球状としている点や短い突起部の形状を略円錐形状としている点についても,格別目立つ態様とはいえず,これらの点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。

(3)両意匠部分の形態についての相違点の評価
一方,相違点(ア)の本願部分の短い突起部の形状が異なることについて,ヘアアイロンのアタッチメントとして正面視で楕円形に見えることは,需要者に与える印象を異ならせるものであり,相違点(ア)は両意匠部分の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
次に,相違点(イ)の本願部分の短い突起部の高さの違いについて,この種の物品を使用する際に,ヘアアイロンのブラシ状部の突起の高さの違いが,アタッチメントの正面視及び側面視において,4本の長い突起によって,短い突起に触れにくいことが視覚的に表れることは,需要者が注目する部分であり,相違点(イ)は両意匠部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。

そうすると,相違点(ア)及び相違点(イ)が相俟って,両意匠部分の形態について需要者の類否判断に大きな影響を与えるものであるといえる。

(4)小括
以上の通り,両意匠は,意匠に係る物品及び両意匠部分の部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通するものであるが,両意匠部分の形態において,相違点が共通点を凌駕し,それらが両意匠部分の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。


第4.むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとはいえないので,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-08-31 
出願番号 意願2015-15499(D2015-15499) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 康平並木 文子 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 正田 毅
山田 繁和
登録日 2016-09-23 
登録番号 意匠登録第1561474号(D1561474) 
代理人 金子 宏 

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