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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1321287 |
審判番号 | 不服2016-11977 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-08-08 |
確定日 | 2016-11-01 |
意匠に係る物品 | 光源モジュール |
事件の表示 | 意願2015- 16957「光源モジュール」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成27年(2015年)7月30日の意匠登録出願であって,本願の意匠(以下「本願意匠」という。)の意匠に係る物品は本願の願書の記載によれば「光源モジュール」であり,本願意匠の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりであって,願書の【意匠の説明】には「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本願部分」という。)である。」「参考斜視図において,薄墨を施した部分は透光部である。参考A-A線拡大断面図において,薄墨を施した部分は透光性を有する。」と記載されている(別紙第1参照)。 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠に類似するものと認められるので,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとしたものである。 特許庁発行(発行日:平成26年(2014年)11月4日)の意匠公報に記載された意匠登録第1510276号の意匠(意匠に係る物品は「天井直付け灯」。)に備え付けられている「光源モジュール」(以下「引用意匠」という。別紙第2参照。)であり,本願部分と対比される対象は,引用意匠における本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)である。 なお,同公報の記載によれば,「透光部を示す参考正面図において,ハッチングを施した部分の部材は透光性を有する。」 第3 本願意匠と引用意匠の対比 1 意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「光源モジュール」であり,引用意匠は,その両端の形態が不明ではあるが,引用意匠の意匠に係る物品も「光源モジュール」であると推認できる。 2 本願部分と引用部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願部分の位置,大きさ及び範囲は,光源モジュールのうち固定具と推認される下面から突出した2つの底面視矩形部を除いた部分であって,本願部分は,透光部と左右両端の端部から成り,端部の側部に2対の端子部を有しているので,主として,電源供給部に接続するために用いられ,発光の機能を有する。 引用部分の位置,大きさ及び範囲は,光源モジュールのうち透光部を有する部材であると推認されるものの,その部材の左右両端は基台部に接合されたカバー部に覆われているので,左右両端に係る引用部分の位置,大きさ及び範囲は不明である。また,引用部分は透光部を有するので発光の機能があると認められるが,引用部分の左右両端が不明であるのでどのように引用部分が電源供給部に接続されるかは不明である。 3 両部分の形態 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。なお,本願部分の向きに合わせて引用部分の向きを認定する。すなわち,引用意匠の正面図を平面図とし,引用意匠の平面図を180°回転させたものを正面図とし,引用意匠の背面図を180°回転させたものを底面図として認定し,他の図もこれに倣って認定する。 (1)共通点 両部分の形態には,以下の共通点が認められる。 (A)平面視細幅横長状の発光部が,略変形四角形状の断面形状を成している。 (B)発光部の断面形状は,具体的には,底面部と左右辺部が略逆等脚台形状であって,上面部が緩やかな凸弧状に表されており,4つの角部が丸く表されている。 (2)差異点 一方,両部分の形態には,以下の差異点が認められる。 (a)左右両端の形態についての差異点 本願部分の左右両端には,発光部よりも若干径の太い端部が設けられており,平面から見たその端部の横幅は細く,側面の形状は,外周寄りにごく細い余地部を残してほぼ内部が浅く凹んでおり,その凹部は平坦状で,2対の小円形端子部が横に並んで配されている。 これに対して,引用部分の左右両端の形態は不明である。 (b)発光部下面のリブ状突設部の有無の差異点 本願部分の発光部下面には,長辺に沿って左端から右端にわたって,2つのリブ状突設部が平行に配されているが,引用部分の発光部にはそのような突設部はない。 (c)発光部の断面形状についての差異点 引用部分の発光部の断面について,略逆等脚台形状の2つの角部はやや角張った弧状であるが,本願意匠のその角部はアール状に表されている。 また,引用部分の発光部断面の上面は略弓形状に表されているが,本願部分では,なだらかな弧状に表されている。 第4 類否判断 1 意匠に係る物品 前記認定したとおり,本願意匠の意匠に係る物品は「光源モジュール」であり,引用意匠の意匠に係る物品も「光源モジュール」であると推認できるので,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通する。 2 両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 前記認定したとおり,本願部分の左右両端には端部が有り,本願部分は電源供給部に接続するための2対の端子部を端部側部に有するところ,左右両端に係る引用部分の用途並びに位置,大きさ及び範囲が不明であるので,両部分の用途並びに位置,大きさ及び範囲は相違する。 一方,両部分は,共に透光部を有するので発光の機能があるから,両部分の機能は共通する。 3 両部分の形態の共通点の評価 両部分の共通点で指摘した,(A)及び(B)の共通点のうち,天井に取り付ける照明器具に用いられる光源モジュールの平面形状が細幅横長状であることや,その光源モジュール発光部の断面形状について上面部を緩やかな凸弧状に表すことは,例を挙げるまでもなくありふれた態様であるというべきであるから,これらの共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さいといえる。 また,その発光部の断面形状について,底面部と左右辺部を略逆等脚台形状として,4つの角部を丸く表した態様は,光源モジュールの物品分野において本願の出願前に公然知られている(例えば,意匠登録第1509231号の意匠。以下「参考意匠」という。別紙第3参照。)ことから,看者はこの共通点に特に注目するということはできないので,発光部の断面形状についての共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さいといわざるを得ない。 4 両部分の形態の差異点の評価 これに対して,両部分の形態の差異点については,以下のとおり評価され,差異点を総合すると,両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすといわざるを得ない。 まず,差異点(a)で指摘した,左右両端の形態の差異については,引用部分の左右両端の形態が不明であるのに対して,本願部分の左右両端には,2対の小円形端子部が横に並んで配された径の太い端部が設けられているので,看者は本願部分の端部に着目するというべきであり,差異点(a)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 次に,発光部下面のリブ状突設部の有無の差異点(b)についても,本願部分の発光部下面に配された2つのリブ状突設部は,長辺に沿って左端から右端にわたっているので目立つものであり,そのような突設部のない引用部分と比較した際に,看者が抱く美感に変化を加えているというべきであるから,差異点(b)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいといえる。 他方,発光部の断面形状に係る差異点(c)については,引用部分に見られるような,2つの角部はやや角張った弧状であって上面が略弓形状に表された態様が他にも見受けられること(例えば,上記参考意匠。),及び発光部断面の2つの角部がアール状で上面もなだらかな弧状である本願部分の態様がむしろありふれた形状であることから,看者は両部分の発光部の断面形状の差異を殊更に評価するとはいい難いので,差異点(c)が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。 したがって,上記(a)ないし(c)の差異点を総合すると,共通点(c)が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さいものの,(a)及び(b)の共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響が大きいことから,形態の差異点は,総じて両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められる。 5 総合判断 以上のとおり,両部分の形態の共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は総じて小さいのに対して,両部分の形態の差異点を総合すると,両部分の類否判断に大きな影響を及ぼし,形態の差異点が共通点を圧するということができる。 6 小括 したがって,両意匠の意匠に係る物品は同一であり,両部分の機能も共通するが,両部分の用途並びに位置,大きさ及び範囲は相違し,両部分の形態についても,差異点は共通点を圧して両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすので,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。 第5 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は原査定の引用意匠に類似することを理由にして,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-10-14 |
出願番号 | 意願2015-16957(D2015-16957) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 清水 玲香 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
小林 裕和 渡邉 久美 |
登録日 | 2016-11-25 |
登録番号 | 意匠登録第1566117号(D1566117) |