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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1324925 
審判番号 不服2016-13981
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-16 
確定日 2017-01-31 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2015- 24440「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)11月2日の意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を,願書及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたもので,「写真中青色を施した部分以外の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)(別紙第1参照)

第2 原査定おける拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(本願の出願前発行の刊行物に掲載された意匠に類似するため,同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願の出願前の2002年10月30日に特許庁意匠課が受け入れた「リスパック総合カタログ2002」の第32頁に所載の「包装用容器」の意匠(以下「引用意匠」という。)における,本願部分に相当する持ち手部(以下「引用意匠部分」という。)であり,その形態は,同カタログに掲載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。

第3 当審の判断

以下において,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比することにより,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行い,本願意匠が,引用意匠に類似するか否かについて判断する。
なお,両意匠の対比にあたっては,意匠に係る物品はもとより,本願が物品の部分について意匠登録を受けようとするものであるから,本願意匠部分と引用意匠部分(以下「両意匠部分」という。)について,その用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲(以下「位置等」という。)を対比し,それらを踏まえて,両意匠部分の形態を対比する。

1.両意匠の共通点及び相違点の認定
(1)両意匠の共通点の認定
意匠に係る物品については,両意匠共に「包装用容器」であって共通し,両意匠部分は,共に容器を把持するための持ち手であり,用途及び機能が共通する。
そして,両意匠部分の,位置等及び形態について,主に,以下の(A)及び(B)の点が共通する。
(A)位置等
両意匠部分は,共に平面視円形状の上端外周に形成された鍔状縁部の相対する端部に位置し,双方の平面視横幅が容器の直径の約1/3幅となる大きさで,持ち手部分を範囲とするものである。
(B)形態
両意匠部分は,共に略中央を凹部として凸状の縁部で囲んだ態様であり,凹部の形状は外形の相似形として表されている。

(2)両意匠の相違点の認定
両意匠部分の形態について,主に,以下の(ア)から(ウ)の点が相違する。
(ア)輪郭形状
本願意匠部分の外形は,平面視して略半円形状のいわゆるかまぼこ形であるのに対して,引用意匠部分の外形は,隅丸の略台形状である。
(イ)縁部の態様
凸状に形成された縁部について,本願意匠部分は丸みを帯びた曲面状であるのに対して,引用意匠部分はやや角張った略コ字状である。
(ウ)凹部の態様
縁部に囲まれた凹部について,本願意匠部分は略半円形状であるのに対して,引用意匠部分は略台形状である。

2.両意匠の共通点及び相違点の評価
(1)両意匠の共通点の評価
両意匠共に「包装用容器」であって意匠に係る物品が共通し,両意匠部分は,共に用途及び機能が共通するが,この共通点を持って類否を決することはできない。
共通点(A)は,平面視円形状の相対する端部に持ち手を有する,いわゆる鍋型の包装用容器の態様であって,例示を挙げるまでもなく普通に見られるものであり,また,持ち手の大きさを適宜変更することも,この種の包装用容器の分野においてごく普通に見られる手法であるので,共通点(A)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きく評価することはできない。
共通点(B)は,持ち手の構成についておおまかに捉えたものであるが,この種の包装用容器の分野においてごく普通に見られる態様であって,持ち手部分の全体の形状を特徴付けるものとはなり得ず,共通点(B)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

(2)両意匠の相違点の評価
相違点(ア)は,輪郭形状として略半円形状と略台形状を比較した場合,たとえ台形の角部を隅丸にしたものであったとしても,略台形状をかまぼこ形とまではいうことができず,両意匠部分の相違は明らかであって,相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点(イ)は,持ち手部分の具体的な構成態様に関する相違ではあるが,本願意匠の断面形状が曲線で構成された柔らかい印象であるのに対して,引用意匠が直線的に構成された固い印象である点で相違しており,使用時に手で持つ部分であることを考慮すれば,相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。
相違点(ウ)は,(ア)の外形状に沿った縁部によって構成された凹部ではあるが,外形状と同様に略半円形状と略台形状の相違は明かであるので,相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。
そうすると,両意匠の相違点があいまって,両意匠に視覚的に異なる印象を与えるものと言える。

3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品及び意匠登録を受けようとする持ち手部分の用途及び機能については共通するものの,位置等及び形態の共通点については概括的なものであって,両意匠の類否を決するものとは成らず,一方,相違点があいまって生じる視覚的効果は,共通点を凌駕するものであって,両意匠に異なる美感を起こさせるものである。
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。

第4 結び
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に揚げる意匠に該当するものとはできないから,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶するべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-01-13 
出願番号 意願2015-24440(D2015-24440) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 成田 陽一 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 温品 博康
渡邉 久美
登録日 2017-02-10 
登録番号 意匠登録第1571304号(D1571304) 

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