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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4 |
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管理番号 | 1331290 |
審判番号 | 不服2017-3986 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-03-17 |
確定日 | 2017-08-08 |
意匠に係る物品 | スキンケア用美容器具 |
事件の表示 | 意願2015-27607「スキンケア用美容器具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成27年(2015年)12月11日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「スキンケア用美容器具」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁から発行された意匠公報に記載の意匠登録第1486050号(意匠に係る物品,スキンケア用美容器具)の意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 両意匠を対比すると,意匠に係る物品については,両意匠ともに「スキンケア用美容器具」であるから,一致している。 (2)形態について 両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (2-1)共通点 (A)略棒状の本体であって,その正面上部に扁平な略円盤状の電極部を設けたものであって,本体は正面側ケース(以下「前ケース」という。)と背面側ケース(以下「後ケース」という。)から成り,両ケースの接合部にはパートラインが表れている。 (B)本体の正面視形状は,上端を円弧状とし,途中で左右対称の湾曲状のくびれ部を設けている。 (C)本体は,背面側に少し反った形態で,電極部は,反った本体の上部表面に対して,垂直に設けたものである。 (D)正面中央やや下に凹陥状にした操作部を設けたものであり,操作部には,3つの円形の操作ボタンを逆三角形に配置している。 以上の点で共通している。 (2-2)相違点 (ア)本体の横幅に対する縦長さにつき,本願意匠は,約1:3.3であるのに対して,引用意匠は,約1:2.8である点, (イ)本体の正面視形状における,左右対称の湾曲状くびれ部の位置につき,本願意匠は,上端から約3/7であるのに対して,引用意匠は,上端から約1/3である点, (ウ)本体の正面視形状における,くびれ部より下の形状につき,本願意匠は,紡錘形状であるのに対して,引用意匠は,長円形である点, (エ)前ケースにおける前面の側面視形態につき,本願意匠は,全体が緩やかな円弧状であるのに対して,引用意匠は,電極部の下端付近のみで曲がり,全体が「へ」の字状である点, (オ)前ケースの形状につき,本願意匠は,全周において,テーパー(抜き勾配)状の周面を形成し,その上,前面部との間に面取り部を設けているのに対して,引用意匠は,水平断面形状で角丸形状としている点, (カ)後ケースにおける側面視形態及び本体の形態につき,本願意匠は,ほぼ直線状の形態で,本体上下略中央まで徐々に厚くなり(奥行き寸法が増し),本体下半分には厚みがあり略丸棒状であるのに対して,引用意匠は,前ケースと同様の位置である,電極部の下端付近で曲がり,全体がほぼ「へ」の字状であって,本体の厚さはほとんど変わりなく,全体に扁平なものである点, (キ)操作部の正面視形状につき,本願意匠は,倒立卵形であるのに対して,引用意匠は,ハート形である点, (オ)表示ランプにつき,本願意匠は,操作部の中に,操作ボタンの直上に3つ横並びであるのに対して,引用意匠は,表示ランプが無い点, (カ)電極の厚みにつき,本願意匠は,支持台の約3倍であるのに対して,引用意匠は,支持台と同程度である点, で相違する。 (3)類否判断 共通点(A)ないし(C)は,全体に関わる共通点であり,一定程度の共通感を生じさせているが,この物品分野においては,本願出願前からよく見られる形態であり,両意匠のみの共通点といえないから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 共通点(D)は,目に付き易い前面部の形態であるが,表層的な形態であるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は限定的である。 これに対し,相違点(ア)ないし(ウ)によって,本願意匠は,正面視で全体に細長く,首の長い(グリップ部分から電極までの距離が長い)印象を与えているのに対して,引用意匠は,正面視で全体にずんぐりとしていて,丸い印象を与えているものであって,これらの相違点は,本体全体に関わる基本構成であるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きいといえる。 相違点(エ)及び(オ)については,目に付き易い本体前面全体の形態の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きいといえる。 相違点(カ)については,後側の形態の相違点ではあるが,持ったときの握り具合に影響を与える形態であり,かつ,本体の形態に関わるものであるから,両意匠の類否判断を決定付ける程のものと認められる。 そうすると,その他の相違点を挙げるまでもなく,これら相違点がもたらす印象は,共通点が醸し出す印象を大きくしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-07-25 |
出願番号 | 意願2015-27607(D2015-27607) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 桐野 あい、伊藤 宏幸 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2017-08-18 |
登録番号 | 意匠登録第1585752号(D1585752) |