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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1332314 |
審判番号 | 不服2017-5119 |
総通号数 | 214 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-10 |
確定日 | 2017-09-20 |
意匠に係る物品 | 包装用袋 |
事件の表示 | 意願2016- 9879「包装用袋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする,平成28年(2016年)5月10日付けで意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用袋」とし,その形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,以下のとおりのものである。 電気通信回線の種類: インターネット 表題: みたにっき@はてな 三角形の紙袋 掲載年月日(公知日):2012年 3月18日 検索日: 2016年 9月 6日 掲載ページのアドレス:http://d.hatena.ne.jp/JunMitani/20120318 に掲載の「三角形の紙袋」と表示された包装用袋の意匠(別紙第2参照) 第3 当審の判断 以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。 (なお,両意匠を対比するにあたり,引用意匠の向きを,本願意匠に合わせて,紐の取り付け孔が2個設けてある面を正面として,認定する。) 1.両意匠の共通点及び相違点 (1)共通点 意匠に係る物品については,両意匠ともに「包装用袋」であるから,一致し,形態については,以下の(A)ないし(C)の点が共通する。 (A)全体の基本的な構成態様について,両意匠ともに,上方が開口した有底の正三角筒状の本体(以下「本体」という。)に,一対の紐状の取手(以下,この取手を「紐」という。)を設けたものである。 (B)具体的な態様について,両意匠ともに,(B-1)本体の上端を内側へ細幅帯状に折り返し,(B-2)その折り返しのある本体の上端寄りに紐取り付け孔(以下「孔」という。)を,正面においては,左右両側の2か所,左側面においては,左側の1か所,右側面においては,右側の1か所の計4か所に設け,正面の左側の孔と左側面の左側の孔を,一方の紐を通す孔とし,正面の右側の孔と右側面の右側の孔を,他方の紐を通す孔とし,紐の端部を結んで作った結び目の係止部を,袋本体の内側にくるように紐を貫通させたものである。 (C)不使用時の態様について,両意匠ともに,折り筋に沿って折ることにより,本体を四角形板状に折り畳むことができるものである。 (2)相違点 形態について,以下の(ア)ないし(ウ)の点が相違する。 (ア)本体の正面の縦横比について,本願意匠は,約6対5とする,やや縦長としたものであるのに対して,引用意匠は,折り畳んだ状態の写真によると,やや横長としたものである。 (イ)折り筋の配置態様について,本願意匠は,左側面図と右側面図に折り筋が形成され,正面図と底面図には折り筋が形成されていないものであって,左側面図においては,上辺の中央から下辺の中央まで鉛直線状の折り筋が形成されるとともに,左下角から,前記鉛直線状の折り筋の下端から約4分の1上がった位置まで延びる直線状の折り筋と,右下角から,前記鉛直線状の折り筋の下端から約4分の1上がった位置を通り,左側縦辺の中央やや下に達する直線状の折り筋が形成されたものであるのに対して,引用意匠は,正面において,上辺の中央から,下方に向けて鉛直線状の折り筋が形成されているものの,下方の態様は隠れていて確認することができず,右側面には,折り筋が形成されておらず,左側面及び底面は,隠れていて確認することはできないものの,右側面に折り筋が形成されていないことから,全体を四角形状に折り畳むためには,何らかの折り筋が形成されているものと推認することができる。 (ウ)本体を四角形板状に折り畳んだ状態における表裏両面の態様について,本願意匠は表面については,折り畳まれた箇所のない正面が四角形状として表れ,裏面については,折り畳まれた箇所のない略正三角形状の底面が,四角形状の右側面の略下半部に重なる状態で表れているものであるのに対して,引用意匠は,表面については,折り畳まれた箇所のない右側面が四角形状として表れているものであるが,裏面については,不明である。 2.共通点及び相違点の評価 以下,共通点及び相違点が存在する形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。 (1)共通点について 共通点(A)の,基本的な構成態様については,両意匠にのみ見られる特徴といえるものではないが,意匠全体に及ぶものであるから,共通点(A)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。 共通点(B-1)の,本体上端の態様については,この種物品分野においては極普通に見られるものであるから,共通点(B-1)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 共通点(B-2)の,紐の態様等については,この種物品分野においてはありふれたものといえるが,紐の態様等は需要者が関心を寄せる部分でもあるから,共通点(B-2)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。 共通点(C)の,不使用時の態様については,この物品分野において,折り筋に沿って,折り畳んで本体を四角形板状とすることは極普通に行われているから,折り畳んだ状態の各面の具体的な態様を考慮せずに,概略的な共通点(C)の両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きいということはできない。 そうすると,共通点(A)ないし(C)が,直ちに両意匠の類否判断を決するということはできない。 (2)相違点について 相違点(ア)の,本体の縦横の構成比の相違については,極端に異なるものではなく,両意匠ともにこの物品分野においては珍しいものではないから,相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 相違点(イ)の,折り筋の配置態様の相違については,両意匠ともに,うっすらとした態様で表れているものであり,単なる折り筋という認識を超える模様として需要者に訴えかける程のものともいえないから,相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度に止まる。 相違点(ウ)の,本体を四角形板状に折り畳んだ状態における表裏両面の態様の相違については,特に本願意匠のように略正三角形状の底面が四角形状の右側面の略下半部に重なる状態で表れている態様が,本体内底に敷いた中敷きを折り曲げてしまうことなく,本体を四角形板状に折り畳むことができる態様として,流通時や,不使用時においては目立つものであり,需要者の注意を惹くものといえるから,相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 そうすると,特に相違点(ウ)が相違点(イ)と相俟って,両意匠について需要者に異なる印象を与えるものであるから,これらの相違点は,両意匠の類否判断を決するものといえる。 3.類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するものの,両意匠の相違点が相俟って生じる視覚的効果は,両意匠の共通点のそれを凌駕するものであって,需要者に異なる美感を起こさせるものである。 したがって,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-09-05 |
出願番号 | 意願2016-9879(D2016-9879) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鶴田 愛 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2017-09-29 |
登録番号 | 意匠登録第1588858号(D1588858) |
代理人 | 渡辺 隆一 |