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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 C5
管理番号 1334414 
審判番号 不服2017-5810
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-04 
確定日 2017-09-30 
意匠に係る物品 飲食用容器 
事件の表示 意願2015-24358「飲食用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)10月15日に出願されたものであって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「飲食用容器」とし,形態を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
そして,本願意匠の形態について,主に以下の点を認めることができる。

(形態A)全体は,容器とコップで構成され,容器は,底部を有する略隅丸四角筒状の胴部の上部に,略逆椀状の肩部が設けられ,肩部上部に円筒状の口部が突出し,口部上部に蓋が設けられたものであり,コップは,容器の下方を覆うように設けられ,底部を有する略隅丸四角筒状のものである点。
(形態B)肩部の下方は,なだらかな山形状の面が周面の四方に設けられ,口部下端の外周から放射状に,山形状の面に至る線模様が略等間隔に32本設けられている点。
(形態C)胴部は,全体の高さの略中央に位置するくびれ部を介して,上方胴部と下方胴部で構成されている点。
(形態D)上方胴部は,正背面に,幅が同じで高さの比が略2:1の2つの横長矩形状の線模様が上下に設けられ,左右側面のほぼ一杯に,略正方形の線模様が設けられている点。
(形態E)くびれ部は,上方及び下方胴部の幅よりも狭い幅のごく偏平な中央部と,中央部から上下に広がるように上方及び下方胴部につながる傾斜部で構成されている点。
(形態F)下方胴部は,周面を周回する凹溝が,略等間隔に上から6本設けられることで,7つに区画されており,一番下の区画(上から7番目の区画)は,下方に向けてすぼまるように,周面が傾斜している点。
(形態G)くびれ部の中央部から下方胴部の上から3番目の区画にかけて,正背面及び左右側面視でやや縦長の隅丸長方形状の凹部が設けられている点。
(形態H)コップは,下方胴部の上から4番目の区画から一番下の区画を覆うように,下方胴部と同形で一回り大きく形成されている点。

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
1.原査定における拒絶の理由の概要
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,その概要は,以下のとおりである。
「この種飲料用容器において,横断面形状を略隅丸四角形状とし,外周部に横縞状の多数の凹環状部を形成し,高さ方向の略中央部をくびれ状に形成すると共に,指掛け用凹陥部を形成し,上方肩部は,略隅丸四角形状から円弧状に変化する稜線部を波状に形成したものは,引用意匠1に示すように公知であり,コップにおいて,有底筒状で,外周部に横縞状の多数の凹環状部を形成した態様のものは,引用意匠2に示すように公知であり,さらに,全体が,飲料用容器本体と,コップとからなり,コップは,飲料用容器本体下部と略同形状とし,同部に被せる態様に形成したものは,引用意匠3に示すように公知であるから,本願意匠は,引用意匠1ないし引用意匠3の意匠に基づき,一の意匠としたものであって,当業者が容易に想到できたものと認められる。」

2.引用意匠
原査定における拒絶の理由で示した引用意匠は,以下のとおりである。

(1)引用意匠1
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2015年 2月10日
掲載者 日本コカ・コーラ株式会社
表題 ニュースリリース「つぶしやすさ」と「注ぎやすさ」を両立した新しい大型ペットボトル「ペコらくボトル」2月23日より全国展開
掲載ページのアドレス http://www.cocacola.co.jp/press-center/press-release/news-20150210
に掲載された(矢印で示した)「ペコらく2Lペットボトル(左)と圧縮後のペコらく2Lペットボトル(右)の比較画像」の左側のボトルの意匠

(2)引用意匠2
特許庁発行の公開実用新案公報記載 平成1年実用新案出願公開第177127号 第1図ないし第3図「7・・・上蓋」(下蓋の誤記と思われる)に表された容器の意匠

(3)引用意匠3
特許庁発行の公開特許公報記載 特開2002-080045 【図1】及び【図2】に表された飲料用容器本体とコップの意匠

第3 当審の判断
本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.引用意匠の形態
引用意匠の形態を認定するにあたり,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にも当てはめることとする。

(1)引用意匠1
(形態1A)ペコらくボトルの全体は,底部を有する略隅丸四角筒状の胴部の上部に,略逆椀状の肩部が設けられ,肩部上部に円筒状の口部が突出したものである点。
(形態1B)肩部の下方は,なだらかな山形状の面が正面に設けられている点。
(形態1C)胴部は,全体の高さの略中央に位置するくびれ部を介して,上方胴部と下方胴部で構成されている点。
(形態1D)上方胴部は,肩部との境界に,周面を周回する凹溝が設けられ,同様の凹溝が上から8本設けられることで,9つに区画されている点。
(形態1E)くびれ部は,上方及び下方胴部の幅よりも狭い幅のごく偏平な中央部と,中央部から上下に広がるように上方及び下方胴部につながる傾斜部で構成されている点。
(形態1F)下方胴部は,周面を周回する凹溝が,上から8本設けられることで,9つに区画されており,一番下の区画(上から9番目の区画)は,下方に向けてすぼまるように,周面が傾斜している点。
(形態1G)くびれ部の上方傾斜部から下方胴部の上方にかけて,正面視でやや縦長の隅丸長方形状の凹部が設けられている点。

(2)引用意匠2
(形態2A)下蓋7の全体は,底部を有する略円筒状のものである点。
(形態2H)周面を周回する凹溝が,略等間隔に上から4ないし5本設けられることで,5つないし6つに区画されている点。

(3)引用意匠3
(形態3A)ペットボトル全体は,容器とラベルのコップで構成され,容器は,底部を有する略円筒状の胴部の上部に,略逆椀状の肩部が設けられ,肩部上部に円筒状の口部が突出して設けられたものであり,コップは,容器の下方を覆うように設けられ,底部を有する略円筒状のものである点。
(形態3H)コップは,胴部の略2/5を覆うように,胴部と同形で一回り大きく形成されている点。

2.本願意匠の創作容易
上記第1に示す本願意匠の形態のうち,形態D,すなわち上方胴部は,正背面に,幅が同じで高さの比が略2:1の2つの横長矩形状の線模様が上下に設けられ,左右側面のほぼ一杯に,略正方形の線模様が設けられている点,及び形態B,すなわち肩部の下方は,なだらかな山形状の面が周面の四方に設けられ,口部下端の外周から放射状に,山形状の面に至る線模様が略等間隔に32本設けられている点は,引用意匠1ないし引用意匠3に示されていない。
また,本願意匠に係る形態D及び形態Bが,飲食用容器の物品分野において,周知の形態であるということもできない。
したがって,本願意匠は,引用意匠1ないし引用意匠3に示す形態に基づいて,当業者が容易に創作することができたものということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原審が示した理由によっては意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないものであり,その拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-09-07 
出願番号 意願2015-24358(D2015-24358) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (C5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 油科 壮一内藤 弘樹 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 刈間 宏信
渡邉 久美
登録日 2017-11-10 
登録番号 意匠登録第1592117号(D1592117) 

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